no3...コメント欄の有用性

「やった! テイム出来た!」


 私は急いで《ちょっと鑑定》を使い再度ステータスを確認した。


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名 前:ベネッサ・ユーリーン

スキル:ちょっと鑑定Lv1 モブテイムLv1 光魔法Lv1 配信魔法Lv1

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「配信魔法?! やった。増えてる増えてる!」


 相変わらずちょっとしか見せてくれないので、ステータスも何もわからないけど、配信スライムをテイムしたことで《配信魔法》が追加されている。すぐに配信魔法の詳細を《ちょっと鑑定》した。


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配信魔法Lv1:コメ視聴:コメントが聞ける

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 コメ視聴って、やっぱり配信のコメントが読めるのかな?! 視聴者はどうやって入力するの?! まぁいいや、やってみよう!


「《配信魔法》コメ視聴!」


 呪文を唱えた瞬間、私の中には先ほど地上にいた群衆の声は、脳に直接入ってきた。


〉暗くて何も見えねぇ

〉いやさっき少し光ったぞ

〉見た見た。テイムした時の光に似てなかった?

〉どうなったんだ?

〉もう死んだのか?


「わ! なんか聞こえる……。これ見てる人の声?」


 突然脳に直接届いた視聴者の声。これが配信魔法の効果なんだ。もしかして、私が声をかければ会話できる?


「あのー、聞こえますか?」


〉絶死ダンジョンってこんなに長いのか

〉配信スライムに光魔法のルーメンかけてから落とせよ

〉これ落下しても見えないんじゃね?


 どうやら私の声は聞こえてないみたいだ。なんか、vtuberになった気分。おまけに視聴者のコメントでいい情報を貰った。こうしてる間にも私は縦穴を落下している。急がないと……。


「《ちょっと鑑定》光魔法!」


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光魔法Lv1:ルーメン:周囲を照らす

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「やった! これだ! 《ルーメン》!」


 唱えた瞬間に、自分の周りがぼんやりと明るくなった。


〉お、見えた

〉よかったよかった。これで死ぬところが見られるな

〉光魔法使えたんか、さすが腐っても貴族

〉落下早くしろ

〉悪女の癖に生意気だ


 相変わらずコメントが脳を賑わせるが、明るくなったおかげで、周囲の状況が分かった。

 私が落下している穴は直径三メートルほどの狭い穴で、壁面は苔が生えた岩で覆われていた。とってもじゃないけど壁面をよじ登るなんて不可能だ。


 とにかく落下が止まらない。もしかしたら壁面に横穴でも無いかと岩壁を眺めていると、一定のラインを超えた瞬間、壁一面に目玉が現れた。比喩ではない、本当に目玉が壁一面にびっしりと張り巡らされ、すべての瞳が私を見ている。


「きも……」

 悪趣味すぎるその光景に、このダンジョンを作った人の神経を疑った。

〉うえ、これが絶死のダンジョンか

〉カースアイの壁とかヤバいな

〉つか、なんでカースアイに睨まれて死なねぇの?

〉あー、最下層近いぞ、これ


 この目玉はカースアイっていうらしい。コメント欄が賑わっているけど、なんで死なないかなんて、私にわかるわけもない。最下層が近いのか……。


 でも、もう私には出来ることは何も無い。短い人生だったなー。来世はスローライフもって付け加えよう。私は目を閉じて歯を食いしばり衝撃に備えていると、突然体が跳ねた。ぼよーんと、跳ねてそのまま着地した。


 着地した!


〉は? なんだ?

〉死なねぇのかよ!

〉なんかアイテムでも持っていたか?

〉落下耐性の魔法でも付与されたのか?

〉あーあ、落下死に今月の生活費全部賭けたのによぉ


 なんで死ななかったか。私に聞かれても困る。理由はわからないけど、とにかく私は落下死は免れて奈落の底へと辿り着いた。


――配信累計時間:18分


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知恵を絞って出来る限りの対処を探したが

結局何もできずに落下した涼音。

だけどこの地面、なぜか跳ねる?!

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