no4...奈落の底の剣
「はぁ、びっくりしたぁ……」
何が起こったのか私にもわからないけど、地面がトランポリンのように跳ねた。わからないことがあったら調べよう。私は地面に対して《ちょっと鑑定》を実行した。
=======================
地面:付与[ 衝撃吸収&やわらか素材 ]
=======================
「なんでだろう。衝撃を吸収する属性?が付与されている」
〉なんだよ! 剣山でも立てておけばいいものを
〉ま、どうせそこからは出られないだろう
残念がる声が多数届いております。えーえー、死ななくてすみませんね。辺りを見回すと古ぼけた骸骨が何体か落ちていた。
「私だけが運良く衝撃吸収の付与された地面に落ちられたのかな……」
『ふむ 生きたままの人間は久しいな』
「だ、誰?」
どこからか男の人の声が聞こえた。
相変わらず周囲の壁は目玉だらけで気持ち悪いけど、人影は見えない。
『我の声が聞こえるのか』
「どこにいるの?!」
目を凝らすと目玉の壁面の先に通路が見える。でも声はすぐ近くから聞こえる。どこから……。狭い部屋を目玉の壁に沿って少し歩くと、腰ほどの大きさの岩に一本の剣が突き刺さっていた。
『ようこそ 奈落の底へ』
「け、剣が……。喋ってる?!」
〉なんだあの剣!
〉あんな形状の剣は見た事ないぞ!
〉うおー! 欲しいー!
〉上級鍛治師……いや! 宮廷鍛治師呼んでこい!
岩に突き刺された剣は、日本刀に似ていた。剣には詳しくないけど、両刃の剣を真っ二つに割ったような形だから、日本刀だよね?
中世ファンタジーの世界なのに何故日本刀が?
そして喋ってる。私はこんな注文はつけてないけど。
疑問しか湧かない状況で戸惑っていると、剣は勝手に自己紹介を始めた。
『我が名は 神剣カグラ・マサラ 神級鍛治師マサラの作りし神剣だ』
カグラ・マサラと名乗った日本刀は、いつからここにあるのか。持ち手に巻かれた赤黒い布はボロボロになっているが、刀身はルーメンの光が反射し見事な輝きを放っている。
『さぁ 我を抜け』
「抜けって、抜けるわけないでしょ。こんな岩に刺さってるのに……」
私はひ弱な悪役令嬢よ? この細腕で抜けるわけないでしょ。
でも、この剣があれば……。
あれ? これって……。私は神剣カグラ・マサラの柄を握ると魔法を唱えた。
「《モブテイム》!」
『なっ?!』
私がテイム魔法発動させると、神剣カグラ・マサラが輝き出し、配信スライムをテイムした時と同じく頭の中にメッセージが流れた。
【神剣カグラ・マサラをテイムしました】
『待て いま 我をテイムしたのか?!』
「そうみたいですね。あなたに近づいたら〈テイム可能〉って出たから思わず……」
『神剣である我を まさかモンスター扱いとは……』
なんだかカグラはすごくショックを受けているようだ。そりゃ自称神剣と呼ぶくらいなのに、テイムされるなんてショックだよね。でもテイム可能って出ていたんだもん。
『解せぬ』
「でも出来ちゃったんだもん」
〉おいおいおい、剣をテイムしたぞ?!
〉意味わかんねぇ、擬態モンスターだったのか?
〉ミミックって剣に擬態すんのか?
コメントもザワザワしてる。しかし仰る通り、私は剣技なんて習ったこともない。
――配信累計時間:25分
―――――――――――――――――――――
この作品を読んで頂きありがとうございます
執筆の励みとなりますので、フォローと★で応援お願いします。
「面白い!頑張れ!」と思ったら★3を
「まぁまぁかな」と思ったら★1をお願いします。ペコリ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます