秘密8

 紀子は家のソファの上で、思わず久保の部屋から奪い取って来た手帳を何の罪悪感もなく眺めていた。ずっと読んでいてわかったことがある。これは日記でも伝言板でもなく独白だ。彼の一人遊び。

 彼の中には複数人の精神が混在している。であるように思われる。だけど、そんなわけない。これは彼のふざけた遊戯だ。そうに決まっている。

 紀子はフッと笑ってから、それをゴミ箱に向かって放り投げて、眠りに着いた。昨日あれだけ眠っていたのに、夜がくればまた眠くなる。


 ――そして、告白の時は来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る