第8話

「待って待って。これは私が勝手に見ちゃったミスだから、もちろん個人情報とかは守るし、新美くんが嫌なことは何もしない。あ、見ちゃった時点で嫌だったかもしれないけど。」

ふうっと一息ついて紺野さんはまた話し始めた。

「私が今日、新美くんを呼んだのは他でもない、小説の書き方のコツを教えて欲しかったの。だって私、吉南の大ファンだもん。昔からSFとかファンタジー系のお話は全部好きだったんだけど、クスッと笑えるような日常的なネタから好きな人を守るために自分を犠牲にするような熱量とか全部入ってて……すごく好きなんだよね。」

「本当に?……笹村さんとかに唆されたりとかも、ない?」

「ないよ。もし仮に笹村さんに新美くんを貶めるようなことを言えって言われても、私は絶対にしない。大好きな作家さんが自分の言葉で傷ついてるところなんか死んでも見たくない。」

……なんなんだろう。今までいいねの一つでもついていたら一日中ずっと嬉しかったというのにこれじゃ一年、下手したら十年分くらいのいいねをもらった気がする。いや、百億年かな、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る