第7話

乾いた僕の口から出たのはたった一言。

「……なんでそれ、」

「なんで知ってるのか、だよね。」

すみません、というふうに彼女は頷く。

「これは本当に申し訳ないことしたなって思ったんだけど、見えちゃって、新美くんがアプリ開いてるときにアカウントがチラリと。本当にごめん」

深々と礼をする彼女に合わせ、長い黒髪も一緒になって動く。こんな人に見られていたのかという恥ずかしさが全身を駆け巡る。

「謝罪とか、ほんとに大丈夫、だから。だから、お願いを聞いてほしい。このこと、他の人には言わないでください。お願いします。」

え、という紺野さんの声が聞こえる。まずい。お願いだけではダメか。土下座か。いや、土下座の写真なんか撮られたらおしまいだ。どうすればいい、どうすれば…………

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