第119話【第3部_ 最終章】エピローグ

その後の顛末を少しだけ。


三崎の固有魔法デウス・エクス・マキナの真の能力により地球圏からダンジョンやモンスターに関連するあらゆるものが消え去った直後。


地球を取り囲んでいた50万体にもおよぶモンスター群が消滅したことで人類は滅亡の危機を脱したものの、その影響は甚大なものとなっていた。社会のあらゆる場所でダンジョン素材が活用されていたためである。


そして三崎の方も大変な事になっていた。月から地球に帰る途中でデウス・エクス・マキナを発動したのである。それまで乗っていたゴッドロマンやらマク◯ス級などのあらゆるロマン武器が消滅し、さらにアルファ達もいなくなったのだ。


もちろんデウス・エクス・マキナを発動し、その影響で全てが消え去る前に三崎は純粋な科学の力のみで作成しておいた宇宙船と宇宙服をアイテムボックスから取り出しており、それに乗り込んで地球へ向かって帰還した。


ロマン武器やらアルファ達の演算能力に頼りきりだったために非常に苦労することになったが、1960年代の宇宙船に搭載されていた計算機は一説によると初代ファミコン以下の性能だったとも言われており、それには流石に負けない!と奮起した三崎の努力によってなんとか地球周回軌道までたどり着く。


そして大気圏への再突入の際にはあまりにも機体の振動が激しく、高温になって制御を失いかけた機体だったがなんとか太平洋に着水。三崎は無事に地球に戻ってくることができたのだ。



・ ・ ・



そして時は流れ5年後。


三崎のデウス・エクス・マキナの余波は当然残っており社会は未だに混乱していたが、一方で多くの進展も見られていた。


さらに一度は完全に消失したと思われた魔素が再度地球圏でも観測されるようになってきており、どうやら5年前の三崎の固有魔法は地球圏のみに影響を及ぼしていたことが判明してきていた。


要するにこのまま他の宙域から魔素が流入することが想定され、そのうちダンジョンやモンスターが復活することが想定されていたのであった。


そんな慌ただしい世界の中で、今日も三崎はいつものように三鷹市の旧国立ダンジョン技術研究所、現在は国立高度計算機研究所のデータセンターにて作業を進める。


そしてその諸々の作業が完了した三崎は、すこし目を閉じ深呼吸をした後に作業用端末のエンターキーを押した。


「…アルファ・システム。起動」


三崎の呟きとともに稼働を始めるデータセンターの大量のサーバー。この5年間、彼はバックアップをしておいたあらゆるデータや、配信の動画のデータを活用することで再びアルファを蘇らせることに取り組んでいた。


ダンジョン産の素材に頼らない完全に努力と科学の結晶である。その過程で彼は数多のソフトウェアを産み出すことで人類の技術の進歩に貢献していた。


そしてついに今日、三鷹に新設されたデータセンターが起動をする。唸りを上げるサーバー群。それを確認した三崎はごくりと息をのむと、端末越しに語りかける。


「アルファ、聞こえるか??」


『…こういう場合、AIらしく回答するにはhello worldと答えるのが良いですかね?』


「ばーか、その答えの時点でAIらしくないんだよ」


今日も三崎は己が信じたロマンを実現するために突き進む。



・ ・ ・



ダンジョン技術研究所職員、自作ロマン武器を試したくて副業で配信始めました。


【完結】2023年11月11日

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