第115話

南極エイトケン盆地ダンジョンの中心部、アントニアディ・クレーターから人類観測史上最大濃度の魔素が吹き出すと同時、超大型の人型らしきモンスターが地下構造物から這い出るように出現した。


なおアントニアディ・クレーターの深さは約9キロにも及んでおり、そしてその広さは不明瞭。そんな超巨大なダンジョンから這い出てきたモンスターのサイズも当然それ相応であり、


「…アルファ、あれのサイズは?」


「既に1キロを超えていますがまだ地下部に本体が残っているようです。完全に人型に近いのであればまだ上半身しか出てきてないですね。全高はおよそ2,3キロはあるのでは?」


”もはや意味がわらないレベル”

”鬼ヶ島の鬼の時も大概にせえよと思ったけどw”

”長さのサイズの単位がキロとかになってくると意味がわからないよねw”

”要するにアレだ、富士山サイズ”

”なるほどw”

”富士山サイズの人型モンスターが暴れるとか”


コロニーが突き刺さったアントニアディ・クレーターの中心部からのたうち回るように出現した超大型モンスター。その全身は未だに月面地表部には出現しておらず、地上には上半身らしき部分しかみえていない。


超巨大モンスターは腕を使いながらモゾモゾと穴から這い出るようにその全身を月面上に引きずり出そうとしていた。


その様子を見た三崎は月面への降下作戦を一旦中止し、月の静止軌道上から


「ここから仕掛けるぞ。全艦、強攻型に変形。本艦、およびクオーター型の全艦で一斉に主砲を発射する。それに手抜きは無しだ!宇宙戦艦ムサシ、およびトルーパーも召喚!!!!」


三崎達が搭乗してきたSDF-X級の旗艦、およびその随伴艦としてずっと戦ってきた4隻のクオーター級が一斉に空母状態から強攻型への変形を開始する。


さらに三崎の召喚とともに宇宙戦艦ムサシと、サテライトキャノンを装備したトルーパーが出現。その全ての機体が主砲の発射準備に入った。


”マク◯ス1隻、クオーター4隻、ヤ◯ト、サテライトキャノンw”

”思いつく限りの主砲並べてみました状態w”

”なんとまぁ壮観な…”

”この並びはエグいな”


地上で超大型モンスターが穴から這い出ようとしている間に発射準備を整えた三崎達は


「全艦、巨大モンスターロックオン!主砲発射準備!!!!」


「発射準備、完了しています。カウントダウン、どうぞ」


「主砲発射!!!!!」


「了解、5カウントで主砲発射します、対ショック用意。3,2,1,主砲発射!!!」


月静止軌道上からコロニー落下の跡地に向けて全ての主砲が放たれる。これらの攻撃だけでもコロニー落としに匹敵するようなエネルギーとなり、まばゆい光が世界を包む。


轟音とともに超巨大モンスターに着弾する主砲。そして数秒後。


「…アルファ、状況を頼む」


「敵の超巨大モンスター、健在。やはり超巨大な魔法障壁らしきものを展開して凌いだようです」


光がおさまり、地上の爆発が晴れるとアントニアディ・クレーター付近はさらにえぐれていたがその中心には超巨大な人型モンスターが仁王立ちしていた。その全長は約3キロにもおよび、まさに超弩級モンスターとよぶに相応しい姿だった。


さらにそのモンスターがゆっくりと右手を突き出してくると、その掌に光が集まりだし、


「マスター!!!!超高密度のエネルギー反応!!!!」


「わかっている、全艦回避!!!!エネルギーシールドも全開だ!!!!」


慌てて回避行動をとった三崎艦隊をかすめるようにモンスターから魔法攻撃が連続して放たれる。それらの攻撃をなんとか躱し、バリアでそらしながら


「遠距離戦だと不利だな!敵に突っ込むぞ!!!!」


すでにこちらの主砲が防がれることがわかっているため三崎は敵に近づこうとするが、


「ですがマスター!!!!相手のサイズが大きすぎて近づいたとしても!!!!」


アルファが珍しく慌てた様子で三崎を窘めようとする。その間にも月面からの攻撃はやむことがなく三崎達はその攻撃に翻弄されるが、


「大丈夫だ!!!!俺を誰だと思っている!!!!!」


気合一閃、三崎からさらに強い波動の魔力が放出されると、


「デウス・エクス・マキナはこういう時のためにあるんだよおおおおお!!!!!」


と叫びながらもその出力を上げ続け、


「いくぞ!!!!!!!全艦、合体だ!!!!!」


三崎の掛け声とともに全長1,000メートルを超える旗艦、そして4隻のクオーター級、さらに宇宙戦艦ムサシ、サテライトキャノン搭載のトルーパーが並んで月面へ急降下をしながら合体を始める。


旗艦SDF-Xが強攻型から更に変形し胴体部に、4隻のクオーター級が強攻型から空母型に変形しつつ、さらにそれぞれ腕部、脚部に変形して胴体部に合体。


さらに宇宙戦艦ムサシがその形状を超大型のビーム兵器に変形させ、それを既に合体していた本体が両腕で抱えるように把持。


そして最後にトルーパーがその形状を大きく変えて頭部となり、合体。


「いくぞ!!!!俺のロマンは全てを叶えるためのロマン!!!!!ロマン合体、超銀河ゴッドロマン!!!!!」


全長2,000メートルにも及ぶ超大型のロボットが変形合体すると同時、月軌道上からの落下エネルギーを利用してそのまま


「超銀河ロマンキック!!!!!!!」


敵のモンスターに盛大な飛び蹴りを食らわせた。

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