第112話
「…3,2,1、コロニーレーザー、発射!!!!!」
三崎の掛け声とともに発射される極大のレーザー。コロニー全体が大きな唸りを上げながらその出力を上げ続け凄まじい光量が世界を覆う。そしてその光の柱は一直線に月に向かって突き進み、その射線上に存在していた全てのものを消滅させる。
三崎達が利用する想定だった月への軌道上が非常に綺麗に片付いたことはもちろん、その威力は減衰しないままに月表面にまで直撃。大きな爆発を引き起こしていた。
”圧倒的すぎるw”
”光量がカットされてても眩しい…”
”おい、月の方見てみろよw”
”何か光の線が伸びてるw”
”マジか”
”幻想的すぎて意味がわからない”
そのあまりにも巨大な光の柱はもちろん地球上からも確認され、まるで月へ光の柱が渡されたように見えた。
そしてコロニーレーザーが放たれたタイミングから時を遡るほど1時間前。三崎達がコロニーレーザーを完成させた後、各種計器を確認してからすぐにエネルギーチャージに入った。その間のコロニーの防衛戦も継続しつつ、月への突入作戦も具体化されていく。
その作戦立案では月に存在すると想定されているダンジョンコアの制圧・魔力同調が最優先の目標として設定された。
「ということでこのまま一気に月にアタックをかけます」
三崎の宣言にうなずくアルファシスターズ。その様子を見ながら三崎が作戦の説明を続ける。
「繰り返しになるけど、このまま普通に月に近づいていっても消耗戦になるだけで俺たちにメリットが無いので電撃作戦でいく。まずはコロニーレーザーで月までの道を一気に切り開く。そしてそのままその綺麗になった軌道上をコロニーごと移動する」
艦橋の作戦台上では三崎の言葉に合わせてアルファが3次元地図上に作成行動を追加していく。その様子を確認しながら話を続ける三崎。
「コロニーを全速で進める際には各艦隊もコロニーの牽引に使う。とにかく全速前進で文字通りまっすぐ月へ突っ込んでいくぞ。そしてそのままコロニーを月へ落とす」
”まさかのコロニー落としw”
”三崎、ダンジョンに対してはマジで容赦ないよなw”
”この巨大質量が落ちてくるとか”
”まさかコロニー落としをリアルに見ることができるとは…”
”え、ということはコロニー落としを地球にも出来るってこと?”
”おい、やめろw”
”三崎のアレコレは今更やぞw”
”そこは触れるなw もはやそういうエンタメだと思ってみるのが吉”
三崎のコロニー落とし宣言を聞いたリスナー達が「あれ?こいつまたヤバいことしでかそうとしてるんじゃね?」とふと我に返ったりしながらも作戦行動の詳細が詰められていく。
「ちなみに少し細く説明をしておくと、事前の調査や観測から月の裏側にはいくつかのダンジョンらしき構造物が確認されている。今回は最初からその中でも最大の月面ダンジョン”南極エイトケン盆地ダンジョン”にダンジョンアタックをかける」
これまでの月の観測や調査結果から月の地球側にはダンジョンらしきものやモンスターと思われるものはほとんど確認されていなかった。これらの理由の詳細は不明であるものの、「月の海」と呼ばれているものの存在が影響しているのではないかと考えられている。
一方で地球から見た時の月の裏側には超大型のダンジョンらしき構造物の存在がこれまでの数少ない調査結果から判明していた。そのダンジョンこそ南極エイトケン盆地ダンジョンである。
この盆地ダンジョンは直径が2500キロメートルもある非常に巨大な盆地であり、さらにその中でもアントニアディ・クレーターと呼ばれる場所が月でもっとも深いところだとわかっている。その深さはなんと9.02キロメートル程にも及ぶ。
そしてその場所こそが月ダンジョンにおける最深部であり、ダンジョンコアが存在していると考えられている場所である。
そもそものダンジョンの規模からして地球上に存在しているダンジョンとは比較にならないサイズであることから三崎は当初から正攻法での攻略は難しいと考えていた。
実際に宇宙に来てからその考えが正しかったと判断した彼は、まずはコロニーレーザーを斉射することで月への軌道を確保しつつ、さらに月表面へも直接攻撃を加えて余計な構造物を破壊することにした。
そしてそのままの勢いでコロニーごと突っ込んでいき、アントニアディ・クレーターへコロニー落としを決行する。直径が2500キロメートルもするような盆地に存在する、深さ9.02キロメートルの穴への攻撃である。
たとえ数キロにもおよぶコロニー落としを実施したとしても、月重力の関係もありシミュレーション上ではダンジョン最奥部までの破壊には至ってなかった。だがたとえそうであったとしても間違いなく攻略は楽になる。
かくしてコロニー落としとともに、人類史上最大となる南極エイトケン盆地ダンジョンへのダンジョンアタックが開始された。
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