第111話
最終回さながらのマク◯ス艦隊での艦隊決戦を経て、三崎達はいよいよ月へ到達するまでに1日を切る距離まで近づいてきていた。
艦隊決戦の後、月に近づくにつれて敵モンスターの襲撃頻度がどんどん上がっておりもはや恒常的に攻撃を受け続けさすがの三崎も少しヘタれている。
数分前に敵モンスター軍を撃退したにも関わらず再度艦内にアラートが鳴り響く。その音を聞いた三崎はゲンナリした表情をしながらアルファ達に状況を確認した。
「…また敵モンスターか。数は?」
「再び数万体の規模ですね。ある程度大規模な反抗を受けることは予期していましたがここまでの規模で波状攻撃をうけるとさすがにキツいですね」
各種データを確認しながらこちらもやや疲れた表情をしたアルファが三崎の質問に答える。なおこの艦橋の様子ももちろん配信されており連続配信はもはや3日目に突入していた。
”また数万体”
”毎回の襲撃がもはやスタンピードクラス”
”三崎達が撃破したモンスターの数を数えている人がいるらしいw”
”一説によると人類が1年で駆逐するモンスター数をこの3日で既に超えたらしいw”
”マ?”
”意味がわからないw”
”まぁこのペースならなw”
”相変わらず宇宙はレートがおかしいw”
艦橋の三崎とアルファ達の若干低いテンションとは異なり配信のコメント欄は引き続き盛り上がりを見せていた。三崎達の戦いによる戦果が文字通り桁が違うものになっていること、そして彼らの戦いを随時まとめた切り抜きなどがすぐに出回っていたためだった。
今回の配信をスタートした最初のうちこそコメント欄など時折気にしていた三崎ではあったが、もはや3日目にもなるとそれらの様子を気にすることなくややダラけた雰囲気で対策を考える。
「アルファ、今後もこのままのペースで接敵すると思うか?」
何やら思案顔の三崎に質問されたアルファは手元の端末をいくつか操作した後、
「そうですね。むしろこのペースが上がる可能性があると思います。月に近づくにつれて更に魔素濃度があがっていってますね。というか基本的には地球から離れれば離れるほど魔素濃度は上がるので」
「そうだよなぁ」
アルファの無慈悲な宣告を聞いた三崎は、しゃーないかと思いつつ艦橋の司令官席から立ち上がると少し気合を入れ直した張りのある声で宣言した。
「このままだと埒が明かないから一気に勝負をつけに行くぞ。まずはコロニーレーザーを使う」
・ ・ ・
三崎の宣言から慌ただしく準備が進んでいく。
まず三崎はデウス・エクス・マキナを使いつつ、さらにもはや大型の転移門と化したアイテムボックスから各種材料などを召喚し、加えてスペースデブリや隕石群なども活用することで全長数キロにもおよぶ巨大なコロニーレーザーを形作っていく。
その間、押し寄せてくる敵モンスター達は自動制御されたクオーター級の艦隊が対処しつつ防空圏を抜けてくるような敵にはアルファシスターズが直接の対応に当たった。
三崎はこの後の月への突入まで含めて休む暇が無いことを考慮して、ある程度の作業までを自身で対応した後は自室でしばらくの休憩を取っていた。いよいよ最後の盛大な花火が上がろうとする緊張感に艦橋は包まれ、そしてそれを見ていたリスナー達もその時に備えていた。
”この隙に色々終わらせてこようw”
”これ、マジでそろそろクライマックスなのでは?”
”しかもコロニーレーザーとかw”
”ちょっと風呂行ってくる”
”ちょっとトイレ行ってくる”
”ちょっと飯行ってくる”
”やかましいわw はよ勝手に行けw”
そして三崎がコロニーレーザー使用宣言から数時間後。急ピッチで準備されたその威容が宇宙空間に静かに出現していた。
その周囲をマク◯ス級で周回して状況をチェックしていく三崎達。なおこれを作った本人もやや呆然とした表情でそのコロニーを艦橋から眺めていた。
「…これは数時間で完成して良いようなものでは無いのでは?」
「今更あなたがそれを言いますか?」
本当に今更な三崎の発言を聞いたアルファ達も苦笑いしながら三崎ともにコロニーレーザーを眺めている。
「宇宙からモンスターがいなくなったらこういう大型構造物もマジでちゃんと作ってみたいもんだなぁ」
「マスター、その言い方はなんだかフラグっぽいからやめといた方が良いと思うよ」
「…発言のタイミングが良くない」
デウス・エクス・マキナやら色んな資材やらの合わせ技で超特急でコロニーレーザーの完成まで漕ぎ着けた三崎の中で研究者魂がくすぶった結果としての言葉だったがアルファ2やアルファ4からの的確なツッコミが入る。
三崎も悪い悪いと言いつつも、真面目な確認を進めるためにデータを確認していたアルファ3に状況を確認した。
「アルファ3,状況は?」
「コロニーレーザーは完成しました。太陽との角度も良好なので30分ほどでエネルギーチャージが完了します。推進装置などもテスト結果良好です」
「よし。ならそろそろ月に向かってお仕置きしに行きますかね」
”おいw”
”おまえ、このタイミングでそれはないw”
”言い間違えしやすいやつなw”
”本来は「変わって」だからなw”
”おまえが一回お仕置きされてこいw”
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