第109話
艦隊戦をやるつもり満々で形状や数、統制機構などを揃えていたモンスター群が真・ロマンロボという圧倒的な個の力で蹂躙されてからしばらくは再び静かな時間が経過していた。
三崎達が宇宙に来てから既に約2日が経過し、月への旅路も半分以上を消化し残すは約1日程度となっていた。
”もう半分過ぎたのか”
”最初に波動砲が防がれたときはどうなるかと思ったけど”
”三崎がそれ以上にヤベーやつだということを忘れていたw”
”存在が理不尽w”
”しかもモンスターの適応パターン見越して準備してるしなw”
配信の方もすでに丸2日以上流しっぱなしとなっておりリスナー達も出たり入ったりを継続。なお配信は艦内では艦橋の様子だけが流れており、その他の区画はプライベートな空間として三崎達が活用していた。
現在は艦橋には三崎とアルファ3が残っており、その他のアルファシスターズは休憩や食事、シャワーなど思い思いに過ごしていた。少し落ち着いた空気が流れる中で三崎はアルファ3と雑談をしていた。
「なぁ、前から気になってたんだけどアルファ3達は腹減ったり眠くなったりするのか?」
鬼ヶ島で過ごしているときからアルファシスターズは普通に食事を取り、三崎と同様に眠ったりとまるで本当の人間かのように過ごしていた。
あまりにも自然に過ごしていたものだから三崎も特に意識していなかったのだが、今回のような戦闘期間が長期に及ぶ場合は輪番制で休息を取る。
そのために今更ながらに色々気になった三崎であった。三崎の質問に対して目をパチクリさせたアルファ3は「うーん」と少し考えた後に
「私自身も実体化した際には、”この体はそういうもの”という認識だったので今まで特段気にしてなかったですが確かに不思議ですね?お腹も減るし、眠くもなるんですよ」
”この話もおもろいな”
”宇宙に来てから艦橋からの配信流しっぱなしだから雑談配信も聞けておもろい”
”確かに普段の配信は必ず何かしらの戦闘とかイベントあるもんなw”
”日常パートが配信されることがほとんどなかったよな”
”こういう何気ない日常パートのほうがデウス・エクス・マキナの異常さが際立つなw”
三崎とアルファ3の何気ない会話を聞き流していたリスナー達も話題がなにやら興味深いものに変わってきたことに気づいて聞き耳を立てていた。リスナー達のコメント欄の動きをチラリと見た三崎もそのまま話を続ける。
「確かに俺もデウス・エクス・マキナって固有魔法を当たり前に”そういうものだ”として使えるしなぁ。もしかしたらこの固有魔法ってロマン武器を生成するとかそういう話だけじゃないのかもな?」
「それは有り得る話ですね。もしかしたら何かしらの認識とか認知とかそういったものに働きかける類の固有魔法なのかもしれません」
「ふむ。ということはこれは思い込みの力とかそういうのも実は大事なパターンだったり?」
「かもしれませんね。それを考えるとそもそもロマン武器が生成されること自体が、実はマスターの思いの強さの具現化なのかもですね?」
2人は何気ない会話からデウス・エクス・マキナという固有魔法の不思議さと、汎用性が非常に高いがゆえにこれまで詳細について気にしてこなかったその能力について改めて考え始めていた。
2人がそのままこれまでのデウス・エクス・マキナの効果や、具現化してきたロマン武器について振り返っていると艦橋に続々とアルファシスターズが戻ってくる。
「おつかれさまー。おや?2人は何を楽しそうに話ししてるの?」
その様子を見たアルファ2が会話の輪に入ってくると
「なぁ、アルファ2、お前さんは腹減ったり眠くなったりするか?」
「ん?まぁそりゃね。それがどうしたの?」
「あぁ、それ自体が改めて考えると不思議だよなって話をアルファ3としてたんだよ」
「これは何の話をされてるのですか?」
とさらにアルファとアルファ4まで会話に入ってきて5人であれやこれやと確認したり、各種のデータを確認し始めていると会話を遮るように艦橋にアラートが鳴り響いた。
さっそく通信・管制席に戻ったアルファ4がそのアラートの内容を確認すると
「…マスター、またモンスターの大群のお出迎え。しかも今回も少し趣向が違う」
アルファ4が艦橋の大型スクリーンに超望遠の映像を投影するとそこには超大型のモンスターが数体存在していた。今回はどうやら圧倒的なこの力に対抗するために数ではなく質で、しつもサイズで対抗することにしたらしい。
”遠目に見てわかるサイズ感w”
”何じゃアレw”
”鬼ヶ島の鬼のサイズを余裕で超えているのでは?w”
”もはや意味不明なサイズ感だなw”
全長1,000メートルにも及ぼうかという超巨大な複数体のモンスターを確認した三崎はニヤリと笑い、
「さて、コレも出番があってよかったぜ!デウス・エクス・マキナ、最大出力!!!!来い、超時空要塞SDF-X、出撃!!!!」
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