第95話 閑話⑥

「リスナーのみなさん、こんにちは。ダン研 オフィシャル 広報チャンネルです。今回は記念すべき第10回目の配信です!」


”まだ10回目w”

”色々あったなぁw”

”前回の配信の爆発オチよ”

”前回の三崎はひどかったなw”

”ん?今回はコレはどこから配信してるんだ?”


前回のプリ◯ュア VS ロストロマンの配信から1週間と少しが経過したある日。三崎は10回目の配信をはじめていた。今回の出だしは至って普通な感じである。


ただし三崎がなにやらコックピットのような場所に座って何かを操縦しようと準備をしており、配信アングルもまるで自動車を運転している様子をカメラで写しているような画角だった。


”なんかのコックピット?”

”お?”

”前にみた可変戦闘機とはまた違う感じ?”

”ん?よく見たら奥にも人いない?複座型?”


「お、気づいた人が結構いますね。正解です!今回はとある乗り物のコックピットからお送りしています。そしてご覧の通り複座型です」


三崎が手元の端末を操作して画面を引くと、複座型のコックピットの全体像を確認することができるようになった。


「…みなさんこんにちは。アルファ4です」


その複座型コックピットの後部座席にはアルファ4が座っており、無表情でピースを決めていた。


”アルファ4w”

”この子も地味にクセになるよなw”

”外見年齢が戻ってるw”

”複座型コックピットは何気に初登場では??”

”今回の乗り物も楽しみw”


リスナー達のリアクションを確認しながらコックピット内で各機器の確認を進めていた三崎とアルファ4。お互いに各計器が問題ないことを確認し、


「おし。ステータスオールグリーン!ということでそろそろ発進しますか。今回の乗り物、もちろんまた第3者視点のカメラも用意してあるのですが、まずは動かすので何なのか?をリスナーのみなさんも考えてみて下さいね。しばらくしたら正解を画面にうつします」


”おお!”

”そういう趣向もあり!”

”わくわく”

”今まで出てきてない、かつ複座型…”

”うーむw”


「ということで、アルファ4準備はいいか?」


「ばっちり。いつでもどうぞ」


「おーけー!じゃあ発進!」


三崎が威勢よく叫ぶとコックピット内が持ち上がるように動き、周囲の建物が相対的に低くなる。そして三崎が操縦用のレバーを前に倒すと機体がドシンドシンドシン、とまるで歩くような大きな音が聞こえてきた。コックピット内もそれ相応に上下に揺られており配信画面はその揺れを補正する形で動画が配信されていた。


”周りの風景から考えるに高さ的には10メートルちょいくらい?”

”ガ◯ダムよりは小さいな”

”歩いてるよね??”

”アーム・◯レイブよりはちょい大きいくらいか”

”ん?これ歩いてるけど何か二足歩行型とは違う感じしない??”


あれやこれやとコメントし合うリスナー達をみて、そろそろ頃合いかな?と考えた三崎は、


「じゃあちょっとスピード上げますね!これでもしかしたら分かる人でてくるかも」


さらに速度を上げた機体の足音は明らかに二足歩行型の大型ロボットのものとは事なる足音で疾走していた。


”この音は!”

”四足歩行だ!”

”おお!?”

”なんか動物型の大型ロボに乗ってるわけだな…”

”動物型で、大型で、10メートルちょいのロボットで、複座型で無口系の女の子が後部座席に座る…??”

”あ!わかった!”


リスナー達の中にチラホラ気づいた人たちが出てきたのを確認した三崎はちょうど前方に大型のモンスターの出現も捉えていた。


「…マスター。前方に大型のトリケラトプス型のモンスターを確認」


「よし、じゃあそろそろお披露目と行きますか!!ブースター、およびブレード展開!!そんでもってブースター全開!!!」


”おおお!!!”

”ブレードきた!!!!”

”ブースターとブレードの組み合わせときたら!!!”


このタイミングで配信画面が分割され、三崎とアルファ4が映るコックピットの画面に加えて、機体に追走しているドローンからの第三者目線からの映像、さらに上空からの第三者視点の映像が加わった。


”ブレー◯ライガーきたああああああ!!!!!”

”これはロマン間違いない”

”祝40周年!!!!!”

”プラモよく作ったw”

”最近のお高いプラモも良いぞw”

”確かに良いものだけど、ガチで高いよなw”


三崎が手元の操縦レバーを引き、そして横に倒すとブレードが展開され、さらに背部のブースターが展開。一気にブレー◯ライガーのスピードが上がる。


”コックピット内の演出もバン仕様w”

”操縦桿を引いて倒すやつなw”

”ブレードの展開がアツかったなぁ”

”冷静に考えるとあの時代で3Dモデルってすごかったね”


リスナー達がわいわい盛り上がってるのを横目に、トリケラトプス型の大型モンスターにあっと言う間に近づくと


「はぁあああああ!!!!」


と気合を入れた三崎の掛け声とともにブレー◯ライガーはトリケラトプス型モンスターを通りざまにブレードで切り裂き、高速を維持したままで駆け抜けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る