第93話 閑話④

キュアエンジェル達の必殺技によってロストロマンが浄化されてから数日後の平日夜。三崎は鬼ヶ島の海岸沿い自宅リビングでのんびり寛いでいた。


なお光の柱で浄化されたロストロマン、ボロボロになっていたものの何とか生き残っており、さらなる追撃を防ぐためにその場で全力でアルファさんにごめんなさいをして許されたために今がある。


その反省を活かして今週は家事や私生活もアルファ大先生の指導どおりに対応している三崎であった。元々私生活はルーズな方ではあるのだが、さすがにアルファを怒らせてはいけないと学んだロマン馬鹿であった。


そんな先週末を乗り越え日中は引き続き島の開発に勤しみ、そして現在はソファで寛ぎながらのんびりと手元のPad的な端末をいじる三崎。彼と同じ三人掛けのソファでグダりながらテレビを見ているアルファ2とアルファ4。すぐそばの一人がけのソファではアルファがゆったり腰掛け雑誌を読んでおり、そしてアルファ3は風呂に入っているようでリビングには不在だった。


何の変哲もない平日の夜である。


「ね~マスター。さっきから何を調べてるの??」


テレビにも飽きてきたのかアルファ2が三崎に絡みはじめる。三崎は先程から何やら考え事をしている表情をしながらPad的な端末を眺めていた。


「あぁ、開発エリアでのモンスターの撃退状況を確認してた」


「モンスターの?」


三崎とアルファ2の話に興味をもったアルファとアルファ4もなんとなく彼らの会話に聞き耳を立てていた。


「そうそう。鬼ヶ島はどこにでもモンスターがいるじゃん?だから当然開発に際してもモンスターを撃退し続ける必要があるわけでさ、基本的には三鷹のデータセンターを守るドローンと同じような感じのドローンを今は稼働させて撃退させてるんだけど」


「知ってるよ。何度か見たことあるし、それにそもそも私もそのドローンの設置とか管制もやってるからね。でもそれがどうしたの?」


「まぁ明確な問題が発生してる訳じゃないんだけどさ。ドローンだけだとどうしても事後対応になりがちだから、モンスターに対して何か牽制になるようなものとか無いかなと思って考え事してた。それにこのまま開発エリアが拡張していくとドローンのみで守り切るのも難しいかも?とか思って」


三崎の言葉を聞いたアルファ2達も「うーん」と考えはじめる。


確かに三崎の言う通り、直近では開発エリアにおけるドローン防衛網に大きな問題は発生していない。しかし基本的にはモンスターが攻めてきたらドローンが出撃する形になるためどうしても初動が一手遅れているのは事実だった。


さらにこのまま島の開発が進みインフラが整備され居住可能区域が拡充するにしたがって当然守るべきエリアは広がるわけだが、それに対応する形でドローン基地などの整備も必要になる。


現状の人数では開発エリア外まで出て定期的にモンスターを間引くという活動も中々難しく、さてどうしたものか?と三崎と同じく考えはじめるアルファ2達。


「もっと強いドローンを準備してモンスターを間引く活動に従事させれば良いのでは?」


ありきたりではあるが王道な案をアルファが雑誌を閉じながら三崎たちに提案する。


「だよな、それは俺も考えた。ただ問題は補給なんだよなぁ。結局ドローンの類って動力源に課題があるから拠点とセットで運用する必要があるんだよ。それを考えると結局モンスターを間引くためにそのドローン用の拠点を各地に作る必要が出てきて、さらにそれを守るためのドローンが必要になり…と無限拡大ループに入る気がしてる」


三崎の答えを受けてアルファも「確かにそうですね」と言いつつまた何か良い案が無いかしら?と考えはじめる。


「いっそのこと無人航空機飛ばして定期的に空爆でもしてみるとかは??」


とアルファ2が物騒な提案をするが、


「それは考えてなかったけど島の中でモンスターの存在密度を考えると空爆は非効率だな。あと空爆は音が煩いから個人的にもパス」


アルファ2も「だよね~」と言いながらソファでさらにだらけはじめ隣りにいたアルファ4にだらりと寄りかかっていた。


そして今まで静かに話を聞いていたアルファ4がテレビのチャンネルを変えながら、ぼそりと


「…マスター。あれとか参考にならない?」


アルファ4がつけたチャンネルではニュース番組が流れておりとあるイベントの特集がなされていた。40周年記念 大Z◯IDS博2023のニュースである。それを見た三崎はカッ!と目を見開きソファから立ち上がって叫んだ。


「次はリアルZ◯IDS作るぞ!!!!」

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