第92話 閑話③

プリ◯ュア戦士に変身したアルファ達4人はそのままの勢いで思念体ロマンガーに乗っ取られていた大型建機に立ち向かっていく。


”プリ◯ュアwww”

”テレビでもまさにいまプリ◯ュア流れているぞw”

”これはヒドイw”

”けど無しではないw”

”というか三崎ボイスの妖精が頭から離れないw”


彼女たちの変身を見たリスナーたちが日曜の朝から謎テンションになる中、


「はぁあああああああ!!!!」


裂帛の気合を入れたキュアウィッシュ(某アルファ氏)が恥ずかしさを振り切るように全力のパンチをぶち込み、


「とりゃあああああ!!!!」


とノリノリな様子でキュアパーシスト(某アルファ2氏)は回し蹴りを叩き込み、


「せあああああああ!!!!」


とキュアウィッシュと同様に恥ずかしさを振り切るようにキュアイデアル(某アルファ3氏)がパンチを連打し、


「やぁあああああああ!!!!」


と意外なことにテンション高く楽しそうにキュアオース(某アルファ4氏)が踵落としを決める。


彼女たちの攻撃をまともにくらった思念体ロマンガーに乗っ取られていた大型建機たちは、


「ロォオオマァアアンガァアアアア!!!!!」


と謎の叫び超えを出しながら倒れていく。そのまま魔法少女(物理)で場を制圧していくプリ◯ュアの戦士たちだったが、


「危ない!!メポ!!!」


という機械の妖精の注意喚起とともに一斉にその場を離れて後退する。先程まで彼女たちが戦っていた場所に黒い光の奔流が直撃し大きな爆発を引き起こした。


そしてその煙の向こう側から


「ふはははははははは!!!!!ようこそ、プ◯キュアの諸君!!!!」


「あ、あれは!?なんであいつがここにいるメポ!?」


とまるでピエロのような格好をした謎の人物が煙の向こう側から現れた。そしてその人物はふははは笑いをした後に、すぐさま手元の端末を口元に寄せるとメカメカしい謎の妖精を経由してセルフツッコミをしていた。一人二役である。


”どこからどう見ても三崎w”

”謎の妖精と怪人親玉の一人二役w”

”まさにこれこそがマッチポンプw”

”隠す気がなさすぎるw”

”今日は平和ですねw”


「プリ◯ュアの戦士たち、あのピエロは実現されなかったロマン、叶わなかった夢、そういった無念が集積した存在、ロストロマン!!ロマンガーたちの親玉メポ!!あいつを倒すにはプリ◯ュアの力で浄化するしかないメポ!!!」


”設定の中身よw”

”草w”

”ロストロマンってw”

”けどガチで三崎が闇落ちしたら笑い事じゃすまないだろうなw”

”不穏な事言うなよw”

”あとやっぱメポってクセになるメポ!”

”確かに初代のインパクトはすごかったメポ!”


もはや今回は完全にノリで自重を忘れた三崎は、


「さてプリ◯ュアの諸君。せっかくの機会だ。君たちには格の違いを教えてあげよう」


そうピエロ顔でニヤリと笑った瞬間、その姿がぶれ一瞬でキュアウィッシュの懐に入り込むとかなりガチのパンチを放つ。それを間一髪でガードしたキュアウィッシュは吹き飛ばされつつも、空中で体勢を立て直し華麗に着地した。


そのままピエロ顔のロストロマンは4人のプリ◯ュアを相手に同等以上の戦いを繰り広げる。


”三崎が普通に強くて草w”

”4対1でむしろ押してるなw”

”アルファさん達結構マジ顔で苦戦しているなw”

”あれだ、これは要するに模擬戦的なやつなんだなw”

”ロストロマン、ちょっとクセになるかもしれないw”


そんな戦いが数分間繰り広げられた後、ロストロマンと4人のプリ◯ュアは少し距離を取り対峙しなおす。


「ふははははははは!!!プリ◯ュアの諸君!!!4人もいるというのに情けないではないか!!!!ほれほれ、もっと真面目にやらないと盛り上がらないだろう???」


とニヤニヤしながら三崎、もといロストロマンがプリ◯ュア達を煽る。そしてついに「ブチッ」という非常に不穏な音が聞こえた。後にアルファ2は震えながら証言する。姉さんだけは怒らせてはいけないと。


元々恥ずかしいからやりたくなかった事に付き合わされているうえに、1週間ものあいだ、平日の仕事の後に毎晩毎晩アホマスターの演技指導のもと変身シーンと名乗りを練習させられていたのだ。


さらに実体を得てからマスターと暮らし始めたことで細かい家事、風呂の使い方、使い切ったトイレットペーパーの芯を捨てないこと、朝の目覚まし、裏返して出さない洗濯物の靴下など細かいイライラが積み重なっていた。


そういった全てがロストロマン(アホ三崎)の煽りによりついに臨界点に達し、そして爆発した。そう。普段しっかりしている人は絶対に怒らせてはいけないのである。


「ふふっ。良いでしょうロストロマン。あなたがそう言うのであれば私達も本気を出しましょう」


キュアウィッシュがそう呟くと、いきなりゴウッ!!!!っと魔力の風が吹き荒れ、そして天が輝き出した。


「キュアパーシスト、キュアイデアル、キュアオース。あれをやります」


キュアウィッシュのその言葉を聞いた面々はお互いにしっかりと頷き合い、そのまま全員が空へ飛び上がり奇跡の変身を遂げる。


「「「「チェインジプリ◯ュア!!!カルテットロマンスウェーブ!!!」」」」


掛け声とともに天を舞うプリ◯ュアの戦士たち4人が再び虹色の光に包まれ、彼女たちの背中に天使のような大きな羽が生え、衣装のドレスもさらに豪華になり、頭部には王冠のようなティアラが追加され、そして光り輝く空中で決めポーズを決めた。


「「「「ロマンのハートはみんなの心!!!羽ばたけロマンス!!!キュアエンジェル!!!!」」」」


高まりつ続ける彼女達の魔力を見たロストロマンは一瞬で素に戻り、


「え?アルファさん達?そんな追加の超変身、俺知らないんだけど?」


と冷や汗をダラダラと流しはじめる。そんな三崎のアホ面をみたキュアウィッシュは天空でまるで三崎のようにニヤリと笑い、


「これで決めます!!!ロストロマン、私達のロマン、受け止めなさい!!!!」


キュアウィッシュ、キュアパーシスト、キュアイデアル、キュアオースが羽ばたいて移動し、ロストロマンを四方から囲み結界を張る。


真面目に焦ったロストロマンはその結界から逃れようとするが一足遅く、


「「「「ロマンクローバー、グランドフィナーレ!!!!!」」」」


キュアエンジェル達4人の力を合わせた必殺技がついに炸裂。天から降ってきた光の柱がロストロマンを包み込み、そして盛大な爆発を引き起こした。

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