第91話 閑話②

「リスナーのみなさん、こんにちは。ダン研 オフィシャル 広報チャンネルです。今回は鬼ヶ島事変以来の第9回目の放送となりますね」


”おお!”

”やっときた!”

”というかこの子誰?アルファっぽいけど…?”

”なんかアルファが幼くなってない??”

”あれ?三崎は?”

”日曜のこの時間から配信とか珍しいw”


三崎がプリ◯ュアがどうのと言い出した日曜日からちょうど一週間後。日曜日の朝。アルファ達は鬼ヶ島事変以来の配信を開始していた。


リスナーたちが疑問に思ったように今回のオープニングはやや若返ったアルファが進行をしており三崎の姿はどこにも見当たらない。幼くなったアルファ、そして見当たらない三崎、珍しい朝からの配信ということでリスナーたちは完全に「?」状態である。


そんな空気を察しつつもアルファは表向きはいつもどおりに淡々とした表情で配信を進めていく。


「さて早速いくつかご質問いただいていますが、私はアルファです。諸事情につき年齢設定が若返りました。そしてマスターは今日は不在です」


”諸事情??”

”年齢設定w”

”三崎が不在?”

”…これは?w”

”確実になにか仕込んでるだろw”

”わくわく”

”というか最早実体化がデフォルトなんだなw”


そんな訳ありげなオープニングを経て、10代前半の中学生程度の容姿になったアルファを含めたアルファシスターズが鬼ヶ島事変やその後の顛末をリスナーたちに説明する。


その後、鬼ヶ島各所を4人でぶらつきながら島の開発状況をリスナー向けに説明していく。普通の散歩ロケのような状態となっていた。


”なんか思ったよりも普通の内容で逆に不穏w”

”島の開発状況とか見られるのは確かに貴重だけど”

”アルファシスターズ4人の雑談回自体も初だからまぁこれはこれで?”

”三崎がいないのが気になりすぎるw”


リスナーたちがそわそわしつつも、これはこれで珍しいアルファシスターズ4人のお散歩雑談回をリスナー達がそこそこ楽しみはじめてから約10分が経過した頃、突然、


「きゃあああああ!!!」


という声がインフラ工事の現場から聞こえてきた。


”おおお!!!???”

”なんかイベント発生したw”

”これは何だ?w”

”…ふむ。日曜の朝8時30分。そして中学生くらいのアルファ…”

”…はっ!まさか!”


一部の勘が良いリスナーが正解に辿り着こうとする中で、アルファ達4人は叫び声が聞こえてきた工事現場へ急行した。


その現場では謎のオーラに乗っ取られた建機が建設現場にいた人々に襲いかかろうとしていた。なおこの建設現場にいた方々。鬼ヶ島の建設現場は基本的には無人であるため、わざわざ今回の三崎のしょうもない演出のためにエキストラとして駆り出されたSATや特殊作戦群の方々である。三崎が迷惑かけて本当にすいません。


それはさておき。


人々が逃げ惑う中、彼ら彼女らを助けようと駆け出したアルファ達だったが暴れる大型建機に近づくことができず人々を避難誘導することで手一杯だった。


そんな中、アルファがわざとらしく若干棒読みで


「こんな時はどうすれば…!?」


と言った瞬間にアルファ達の直ぐそばの空間が光り輝き、マスコットサイズのメカメカしい見た目をした謎の妖精が突然現れた。


「メポ!アレはロマンガー!!ロマンに取り憑かれた悲しき思念体メポ!なんでこんなところにいるメポ!?」


”くそwww”

”急になんか出てきたw”

”この声、三崎かw”

”もう話の流れもオチも見えたじゃないかw”

”だから日曜朝8時30分開始だったのねw”


マスコットサイズのメカメカしい謎の妖精はアルファ達の直ぐ側で宙に浮いたまま、アルファ達を見ると


「おい、そこの女子ども、早く変身してアレをやっつけるメポ!」


とどこぞの初代妖精の初登場回のように意味不明なリクエストをその場のアルファ達4人に要求する。それと同時、アルファ達4人の手元が発光し無駄に可愛い携帯型端末のカードリーダーと数枚のカードが現れた。


流れに若干戸惑っているアルファ達4人をほっといてノリノリな機械の妖精は


「早くそのカードをカードリーダーにスラッシュするメポ!」


とアルファ達をせっつく。もはや流れに乗るしかないアルファ達4人は一斉にカードリーダーにカードを通した。そしてアルファ達は


「「「「チェインジプリ◯ュア!!!カルテットロマンスウェーブ!!!」」」」


と声を揃えて叫ぶと、その瞬間に4人の周囲を虹色の光が囲み、そして彼女たちは宙を飛びながら謎の光に包まれて変身をはじめた。


4人それぞれが元々来ていた服が光り、各自のテーマカラーに合わせたフリフリなドレスに変化し、そして右腕、左腕、右足、左足の順にグローブとブーツを身にまとう。さらに髪が輝き、色を変えながらその長さが伸びる。


最後にブローチやチョーカーなどの小物類を身にまとったアルファ達は着地すると同時にポーズを決めながら名のりを上げた。


「白いロマンは可能性の印!! 無限のロマンス!! キュアウィッシュ!!」


「青いロマンは不屈の印!! 貫くロマンス!! キュアパーシスト!!」


「黄色いロマンは理想の印!! 輝くロマンス!! キュアイデアル!!」


「真っ赤なロマンは誓いの証!! 駆け抜けるロマンス!! キュアオース!!」


「「「「届け!!!4人の願い!!!ロマンスプリ◯ュア!!!」」」」

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