第84話

三崎の固有魔法デウス・エクス・マキナにより近未来都市と化した鬼ヶ島にて、ダンジョン戦隊ロマンレンジャーの5人のロマン戦士が決めポーズを決めていた。


全身から溢れんばかりのドヤ感が出ているロマンレッド。内心の恥ずかしさを押し殺しながらポーズを決めるロマンホワイト。マスターはアホだなぁと思いながらノリノリでポースを決めるロマンブルー。特に何も考えていないロマンイエロー。そしてさっさと片付けて休みたいと思っているロマンピンク。


内心はさておきぶっつけ本番にしてはそれは綺麗にポーズが決まり、そして三崎が無駄に固有魔法を活用して変身シーンの爆発を再現したことで配信を見ていた人たちは思った。あれ?今ってニチアサだっけ?と。


”ロマンレンジャーw”

”ついに戦隊キター!!!!”

”これは確かに一人じゃできないw”

”けど絶対に外せないロマンだよなw”

”謎の爆発の再現度w”


そして変身直後、リスナーたちが呆気に取られつつもテンションが上り続ける中、三崎のバインドに囚われていたウォードは何とか無理やり拘束を破壊しその場を離脱しようとした。


その直後、


「変身シーンが終わるまで待っててくれるなんてお前は分かってるな!」


とウォードの眼前に突然、赤いパワードスーツを身にまとった三崎が皮肉を言いながら現れ強烈な腹パンをアッパー気味にお見舞する。


そして空にふっとばされたウォードは空中で体制を立て直そうとするが、その背後から


「とりあえずまずは一発」


とゾッとするような冷たい声で話しかけてきた白いパワードスーツを来たアルファから身が軋むほどの回し蹴りを喰らい、さらにふっ飛ばされ、


「まぁ私はコレくらいにしておいてあげるよ」


と朗らかな声の青いパワードスーツのアルファ2に踵落としを喰らい地面に叩きつけられ、そして地面をゴロゴロと転がる中で


「じゃあ最後は私達ですね」

「…早く終わらせよ」


黄色とピンクのパワードスーツをまとったアルファ3とアルファ4が2人揃ってウォードをサッカーボールキックで蹴り上げる。


ボロボロになって宙を舞うウォード。そして地面にそのまま落ちてきて悶絶しながら荒い息を吐いていた。


”なるほど、リアルで戦隊モノを見るとこういう感じになるのかw”

”5対1w”

”さっきまでの話はさておき、悪役が可哀想になるパターンだなw”

”圧倒的過ぎるw”

”…え、ウォードさん、巨大化とかしないよね?w”


一瞬で形勢が逆転した様子を見ていたリスナーたちがわいわい騒いでいる中で、ウォードは最後の気力を振り絞りながらなんとか打開策を考えようとしていた。


「…オメガ、周囲の味方機の様子はどう?」


『…現在は我々の方が通信が遮断されています。完全に孤立無援です』


「ははっ、最悪だな!」


アイテムボックスから取り出したポーションで少し回復したウォードはふらふらと立ち上がる。彼の目の前には5人のロマン戦士が仁王立ちで並んで立っていた。


「お。その状態でまだ立ち上がるなんてやるじゃないか」


「マスター。もう終わらせましょう。今日はまだ鬼ヶ島ダンジョンの攻略も残っています」


”そうだったw”

”完全に忘れてたw”

”俺もw”

”内容が濃すぎるわw”

”ウォードの登場ですっかり忘れてたわw”


この後の予定が存在していたことを思い出した三崎は、


「ということで悪いな、ウォード。ここらで幕引きのお時間だ」


とウォードに話しかけつつ、改めて


「バインド」


と拘束魔法をウォードに放ち、


「アルファ達もバインド重ねがけしといてくれる?」


「はいはい」

「おっけー!」

「了解です」

「…うん」


「「「「バインド」」」」


ロマン戦士たち5人による5重拘束魔法によってウォードは完全に身動きが取れなくなる。


”これはヒドイw”

”絶対に逃さないマンw”

”ウォード君の絶望的な表情w”

”そりゃそうなるだろw”

”この状態を考えるとニチアサの敵幹部はマジで強いんだなぁ”


何とか拘束を逃れようと暴れるウォードを傍目に、


「じゃあ行くぜ!今日の仕上げだ!!」


三崎の掛け声とともに5人のロマン戦士の手元が急に発光し、それぞれの専用武器が出現した。


大剣を肩にかけるロマンレッド。大型弓を構えるロマンホワイト。双剣を両手にぶら下げるロマンブルー。レールガンを両手で持つロマンイエロー。そしてパイルバンカーを掲げるロマンピンク。


そのまま5人は並びを変え、そして声を揃えて


「「「「「武装変形、合体武器!!!!」」」」」


5人が声を揃えてジャンプをしてそれぞれの武器を重ね合わせると一瞬まばゆい光が世界を覆い、そしてそこには大型のバズーカらしき武装が出現した。


そのバズーカの前方を左右から挟む形でロマンイエローとロマンピンクが、後方をロマンホワイトとロマンブルーが支え、そして最後方ではロマンレッドが仁王立ちで腕を組み構えていた。


”おおお!!!!”

”合体武器キタ!!!!”

”そういえば最近あんまり見ないね?w”

”そして確かに毎回レッドは武器持ってないよなw”

”そこの人、いる?と毎回思ってたw”


「いくぞ、ウォード!これで決着だ!!!!!」


大型のバズーカに凄まじい量の魔力が込められていき、三崎が形成した近未来都市自体も魔力にあてられ歪みはじめる。


そして、


「よし、エネルギーチャージ完了、みんな、いくぞ!」


「「「「「ロマンキャノン、ファイア!!!!!!!」」」」」


光の奔流がウォードを飲み込んだ。

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