第79話
試作2号機が試作3号機に突撃し、そして盛大に自爆した。
その自爆の威力は凄まじく煙がはれない中で配信は継続されていた。なお毎度おなじみで三崎のコックピットからの映像は途絶えている。
”自爆…w”
”え、これ大丈夫だよね?”
”真面目に結構えぐい爆発だったぞ”
”ガ○ダムで自爆と言えばヒイ○・ユイ。自爆では死なないように出来てるから大丈夫w”
”いやまぁそうだけどw”
”フィクションと現実を混ぜるなと言いたいけどw”
”フィクション以上にフィクションしている最近の現実w”
そんなワイワイしたやり取りの中
”なぁ、さっき自爆の前に一瞬通信乱れなかった??”
”あ、俺も。自宅のネット環境かと思ったわ”
”お?俺も俺も”
”俺も乱れた”
”これは…?通信乱れなかった人いる??”
通信の乱れとその違和感に気づいたリスナー達の話が盛り上がろうとしている中で、煙の中からボロボロになった試作3号機が見えてきた。
その試作3号機はほぼ原型を留めていなかったものの、コックピットだったらしき場所のドアが急に吹き飛び、中から三崎が這い出てきた。
”相変わらずの不死身w”
”コックピットを蹴破って出てくるのは最早様式美w”
”しかしまぁ機体の方はボロボロですな”
”試作2号機のほうはどこいった?”
”あっちの方はさすがに原型すらのこってないじゃない?”
ヘッドセットをつけ直しつつ、手元の端末を確認した三崎は
「はい、ということで僕は無事です。けどもうこの機体はダメですね…さすがに結構えぐい自爆でした」
『そうですね、魔素エンジンのリミッター解除をした上で更に暴走状態にさせての自爆。かなりのものですね』
などとアルファと喋っていた三崎の前についにウォードが現れた。そして日本語でにこやかに語りかけてくるウォード。
「やぁ、三崎さん。はじめまして。会えて嬉しいよ!ウォード・ドーアと言います」
そういって更に近づいてきて握手を求めてくるウォード。あまりにも自然でフレンドリーな振る舞いに面食らっていた三崎だが、求められるがままに握手を交わす。
そして握手を終えてそのまま話はじめる2人。
「あなたがあの試作2号機に乗ってたのか?」
「そうですよ。ちょっと道に迷ってどうやらダンジョンに紛れ込んでしまったらしくてですね」
”無茶苦茶な言い訳w”
”ここまでの開き直りはヒドイw”
”でもここまで来るとキライじゃないw”
三崎とウォードの会話を興味深く見守るリスナー達。軽い挨拶を終えた2人はそのまま技術談義に入る。
「試作2号機、よくあそこまで動くようになりましたね」
「少し苦労しましたけど、まぁなんとかというところです。それにしても三崎さん、あなたのハードウェアは素晴らしい。さすがの僕も凹みました。ただですね。僕も負けっぱなしはキライなので」
だんだんと話の流れが不穏な方向に流れ始めたことを察した三崎は、とりあえず眼前の男を無力化しようかと思いを巡らしていると
「ということなので三崎さん。ここからは第2ラウンドです。オメガ。システム解放」
『OK、ボス。システム開放しました』
そしてまた一瞬乱れる配信画面の映像。三崎は警戒をしつつも、何もおきない状況にリスナー達と同じく首を傾げる。
そして念のためアルファに確認しようとして
「アルファ、今ので何かあったか?」
数秒立ってもアルファからの回答が無いことに気づいた。
「…アルファ?聞こえるか??」
”え、なになに?”
”アルファちゃんどうしたの?”
”この流れはもしや…”
”ほんまもんのピンチの香り”
アルファと通信が取れないことに気づいた三崎は慌ててウォードから距離を取ろうとするが、身にまとっていた強化外骨格がうまく動かないことにも気づいた。
そしてその三崎の様子を確認したウォードは、ゆったりと歩いて三崎に近づいてくると
「改めて三崎さん、ここからが第2ラウンドですよ」
微笑みながら全力の魔力をこめて三崎をぶん殴った。
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