第78話
トルーパー試作3号機フルアーマー装備デストロイモード。
この言葉の並びだけで最高にテンションが上がる人はロマンを分かっている。三崎はそんなどうでも良い事を思いながら眼前の試作2号機に遠慮なく各兵装をぶっ放していった。
トラ○ザム状態の試作2号機は三崎からの弾幕を何とか避けながら、稀にできる一瞬の隙をついて巨大化したビームサーベルで切りかかってくる。
そのビームサーベルを避けたり、ファ○ネルバリアを展開して受け止めたりしながら三崎はビーム・カノンやビームガトリングをお返しする。
鬼ヶ島の東側海域ではまさにロボ同士の決戦と呼ぶに相応しい戦いが繰り広げられていた。
”トラ○ザムとデストロイモードw”
”確かにその組み合わせは俺も妄想したことあるけどさw”
”現実でやられると脳がバグるw”
”フルアーマー装備のデストロイモードとか最高すぎる”
”シンプルに巨大ビームサーベルしかない黒い方の機体も意外と好きw”
”わかるw”
試作3号機と試作2号機の熱戦にリスナー達のテンションも上がり続ける。
しかしトラ○ザムによって一瞬形勢を盛り返した試作2号機だが、地力の差はいかんともしがたく段々と劣勢になっていく。
そして2機の戦いはだんだんと海上から陸地の方へ移って行っており、ついに被弾した試作2号機が鬼ヶ島東岸の平野部に墜落した。
「やったか?」
『マスター。それはフラグです』
三崎の迂闊な一言を聞いたアルファが呆れながら突っ込みを入れつつ警戒を怠らない。
試作2号機が墜落したエリアを注視しつつ砂塵が晴れるのを待つ2人。
そしてその砂塵の中から片足を失い、大型シールドも手放し、機体全体に損傷が目立つようになってきた試作2号機が飛び出してくる。
それを見た三崎は冷静に無力化しようとしてビーム・カノンを放とうとするが、一瞬謎のノイズが干渉しビームを放つ前に試作2号機に抱きつかれた。
「な!?げ!?」
一瞬試作3号機が操縦を受け付けなかったこと、そしてトランザム状態の試作2号機に抱きつかれた事で驚き、焦る三崎をよそに外部からオープンチャンネルで謎の男が語りかけてきた。
「Nice to meet you, Misaki. It's a real pleasure to meet you! Let's talk again later!」
ウォードが語り終えると同時、試作2号機の発光がますます強くなり、そして一拍の後、盛大に自爆した。
・ ・ ・
盛大な自爆をお披露目することになる数分前。トラ○ザムモードを解禁したにも関わらず劣勢を強いられるウォードは機体の中で半ば呆れながら愚痴っていた。
「なぁ、さすがにアレはチート過ぎない?」
『そうですね、ボス。動画を研究して理不尽さは理解していたつもりですが実際に相対すると理不尽さが際立ちますね』
トラ○ザムモードでシールドバッシュを決めたまでは良かったものの、その後はフルアーマー装備のデストロイモードに移行した三崎からの圧倒的な攻撃力の前に何とか攻撃を避けつつ、たまに一撃を入れることしか出来ていない。
もとからこの機体を使っての戦いで勝てるとは思っていなかったものの、ここまで圧倒的に劣勢だと流石に凹むウォードであった。
そんなやり取りをコックピット内でしつつ、高速で機体を操るウォードも一般的な水準から考えると充分以上に異常な存在ではあるのだが三崎の前では霞んでいた。
そしてついに三崎からの攻撃が直接被弾してしまい左足を失い鬼ヶ島に墜落してしまう試作2号機。
「…ってぇ。オメガ、状況は?」
『左足を失いました。その他の部分も損傷が激しいです。リミッター解除状態もそろそろ限界ですね』
「OK、ならこれはもうここまでだな。本命の仕込みのほうはどう?」
『そちらは先程完了しました。東京を含めた該当エリアのネットワーク、および鬼ヶ島ダンジョン周囲の通信網ともに物理的にも仮想的にも共に掌握できました。短時間にはなりますがいつでもいけますよ』
オメガの言葉を聞いたウォードはニヤリと悪い笑みを浮かべつつ、
「じゃあここからは俺のターンということだね」
『そうですね。ボスの得意分野はここからだと思うので、これで勝ちましょう』
「ありがとう、じゃあOmega System;トロイの木馬 起動」
『システム起動しました。いつでも行けます』
コックピットの中で探索者としての装備を改めて確認するウォード。しっかりとポーションなどの確認もした上で、
「じゃあとりあえずこの機体は自爆させて処分しよう。砂塵が晴れたら三崎の機体に突撃する。Omega System;トロイの木馬を5秒だけまずはお試しで開放してくれ。それで隙を作って抱きついて自爆する」
そしてウォードは試作2号機を三崎の機体に向かって突撃させ、
「Omega System;トロイの木馬限定解放」
『開放しました』
一瞬の隙をつき試作2号機を三崎の機体に張り付かせ、自身はコックピットから全力で退避しつつ防御魔法を展開し、そして機体を自爆させた。
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