第69話
鬼ヶ島西側の海域に緊急浮上したわだつみからカタパルトを利用して発進した小型トルーパー6機は、背面に装着した緊急展開ブースターを利用して鬼ヶ島東岸の平野部までひとっ飛びで展開。
一足先に鬼ヶ島東岸平野部に強襲揚陸し、現地のモンスターと交戦状態にあった各国の特殊部隊の面々は突如空から降って来た人型ロボット6機を見て悟った。
すなわち三崎達に動きが読まれていたことを。
空から降ってきたロボット達は東岸平野部に着陸後、手に持っていたアサルトライフルを周囲のモンスターに乱射しつつ円周状に展開。
そして6機が円周状に展開した直後、その円周の中心に向けて更に空からコンテナが降ってきた。
そのコンテナは地面に激突する直前で、その底面に備えていたエンジンを噴射して軟着陸。
コンテナは着陸と同時にその前面が展開し、そこから強化外骨格を身にまとった6名の探索者達が飛び出してきた。
そして6機の人型ロボットと強化外骨格をまとった6人の探索者達は周囲のモンスター群を蹂躙していく。
この様子を少し離れた位置から確認した各国の特殊部隊はその場を離脱することに決め、平野部を抜けて山岳地帯方面に動き出そうとした。
しかしそこに平野部の周囲を囲むように雨のように艦砲射撃が降り注ぐ。
6機の小型トルーパーと1つの輸送コンテナを射出したわだつみはそのまま海上にとどまり、各国の特殊部隊を平野部にとどめつつ更に平野部周辺のモンスター群を駆逐するために艦砲射撃を実施し始めたのだ。
ここに至り各国の特殊部隊は逃げ場がなくなったことを悟り、人型ロボットと強化外骨格というトンデモ集団と戦うことを決意する。
三崎が配信を切ってからここまでわずか10分弱。鬼ヶ島東岸平野部は既に非常にカオスな状態となっていた。
さらにこの状態に追い打ちをかけるように、鬼ヶ島北西と南東に存在する山岳地帯頂上付近から飛行型モンスターが多数飛び立つところが確認された。
「こちら三崎です。全軍に通達。先程北西、および南東の山岳地帯から翼竜型モンスターとドラゴン種が飛び立つのを確認しました。平野部の乱戦の音に釣られたようですが、空の方は俺とアルファが抑えますので引き続き平野部の方はよろしくお願いします」
「こちら林。了解した。同じく全軍に通達。空は三崎が抑えるので、特殊作戦群、おおよびSATの諸君は引き続き東岸平野部にて未知の敵勢力の鎮圧・無力化を頼む」
「こちらブラボー1。了解。引き続き小型トルーパーチームはブラボー1からブラボー6まで東岸平野部にてモンスター群を殲滅しつつ、適宜敵探索者たちに非致死性兵器にて攻撃を加え戦力を削ぐ」
「こちらチャーリー1。こちらも了解。同じく引き続きチャーリー1からチャーリー6は東岸平野部にて敵探索者たちと直接交戦を実施し、敵勢力の制圧・確保を進めます。確保した敵勢力はコンテナに収容します」
鬼ヶ島東岸平野部に上陸していた各国の部隊は概ね1カ国15人ずつ程度でそれが3つ。
したがって三崎たちの仲間である強化外骨格を纏ったSATの面々を入れて50人強、そして6体の小型トルーパーが入り乱れての乱戦となった。
しかもこの敵方の45人、彼らも三崎たちのチーム同様、全員が深層探索者という各国のエリート中のエリートの寄せ集めであり、数の利を活かして小型トルーパーと強化外骨格を身にまとった面々と何とか拮抗状態を作り出すことに成功していた。
そんな事をしていたら当然凄まじい戦闘音が周囲に響き渡る訳で、その音を聞きつけ東岸平野部に遠方から寄ってくるモンスター群はわだつみからの艦砲射撃で粉砕されていたものの、山間部から飛び出してきた飛行型モンスターにまではわだつみの火力では足りなかったため、いよいよ三崎の出番となった。
「よし、じゃあアルファ、次は可変戦闘機を使う。カタパルトに戦闘機モードで出してくれ」
『こんなこともあろうかと格納庫に実体化済みです。そのまま乗って下さい。いつでも出せますよ』
リフボードで空を駆け、浮遊航空艦ほあかりを出した時点で今回の三崎の気分は空がテーマなのかな?と察したアルファが事前に格納庫に実体化しておいた可変戦闘機。
要するにまんまヴァ◯キリーである。
ほあかりの艦橋から格納庫に向かった三崎は強化外骨格を纏ってコックピットに乗り込んだ。
「よし、じゃあ浮遊航空艦ほあかりの管制はアルファ3に任せる。アルファは引き続き俺の支援を頼む」
『こちらアルファ。了解です』
『こちらアルファ3。起動しました。浮遊航空艦ほあかりの管制を実施します』
「俺は南東側の翼竜型モンスターの群れの殲滅に向かう。アルファ3は北西側のドラゴン種の殲滅を頼む。あとほあかりの直掩機として無人航空機を50機アイテムボックスから展開してくれ」
そして浮遊航空艦ほあかりの周囲に無人航空機50機が出現した。
ほあかりは地上からの攻撃に対してはエネルギーシールドで攻撃の大半を防ぐことが可能だが、カタパルトやそのほか通信設備などの関係で上部側の防御が比較的薄いため。そこを無人機で重点的にカバーする構成になっている。
「さて、じゃあそろそろ俺も行きますか!可変戦闘機ドラグーン、カタパルトに出してくれ」
ほあかり艦内に警報音が鳴り響き、格納庫の可変戦闘機ドラグーンがカタパルトにセットされた。
『こちらアルファ3。発進シークエンスオールクリア。発進タイミングをパイロットに移管します』
可変戦闘機ドラグーン内で各種計器を確認していた三崎はその確認を終えると、ひとつ深呼吸をして、
「三崎 考、可変戦闘機ドラグーン、出撃する!」
三崎の合図と共にカタパルトから射出されたドラグーンは一瞬で時速300kmを超え、ほあかりから天空へ飛び出した。
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