第48話
20時06分。六本木ダンジョン地上部。
大型人型兵器トルーパー試作1号機と、統合型火力追加兵装および多目的飛行モジュール、ヘビィ・キャバルリィが六本木の空に浮いていた。
”六本木の高層ビルを背景にした巨大ロボw”
”しかも浮いてるw”
”なんで浮いてるの?w”
”マジで意味がわからないw”
”意味がわからなさすぎて意味がわからないw”
”おい、NHK他各局のテレビでも六本木の映像が出てるぞw”
”日本のテレビどころか海外のテレビでも緊急生放送しているぞw”
日本どころかもはや世界中の注目をその一身に集めている三崎だったが、本人はそれどころではなかった。
試作機をいきなり実戦投入したのである。
本当にちゃんと動くのかどうかは三崎本人すらわかっておらず、冷や汗をかきながら操縦をしていた。
「アルファ、各計器はどうだ?」
『現在のところ全ての機能は問題ありません。計器にも異常なし。飛行モジュールについても理論値と誤差がない範囲で稼働しています』
「了解、データセンターの方はどうだ?」
『稼働率が100%を超えそうです。発熱量もかなり多いので非常用冷却装置を起動しました。どちらかというとこっちの機体よりもデータセンターの方が先にダメになるかもしれません』
「それはマジでまずいな。まぁなんとか保ってくれと祈りつつ…そろそろ来たか?」
『はい。ダンジョン内に設置していたセンサーでも確認しました。モンスター群、地上に出ます』
アルファの言葉とほぼ同時に地上にモンスターの大群が現れた。
そのモンスターの大群が現れた瞬間、三崎は
「アルファ、ダンジョン開口部にフルバースト!」
『了解、フルバースト』
六本木の空に浮かぶヘビィ・キャバルリィの全兵装からあらゆる攻撃がダンジョン開口部に放たれた。
大量のミサイル、ビームガトリング、ごん太のビーム。
着弾した瞬間に大爆発が発生し、モンスターたちの阿鼻叫喚の叫び声が東京の地上に響き渡る。
そして砂煙が晴れたところにはモンスターだったものの残骸の山が積み上がっていた。
「アルファ、状況は?」
『地上部への第1波は今ので鎮圧しました。小型のモンスターをいくつか取り逃がしたようですが、あの程度であれば周囲の警戒網で余裕をもって対応可能です』
「そうか。第2波以降は?」
『そろそろ来ますね。どうやらラスボスもお出ましです』
数秒して再び地上にモンスターの大群が現れ、容赦なくそこに再び大量のミサイル、ビームガトリング、ごん太のビームが叩き込まれた。
そんなまさしく地獄絵図のダンジョン開口部からついにラスボスが地上に現れる。
「キャオォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」
やや甲高い鳴き声をあげるヤマタノオロチ。
超深層級のモンスターにして、ダンジョン黎明期において日本の探索者達の多くを屠ってきた最早伝説となっているモンスター。
”うわぁあああああ!!!!!”
”これがヤマタノオロチ…”
”こわっ”
”伝説のモンスターじゃん…”
”こんなん地上に出てきたらいかんですよ”
”ヤマタノオロチと睨み合うデンド○ビウム”
”はたしてコレは現実なのかw”
”俺ももうこれが現実なのかどうか自信がないw”
”大丈夫、スマホの緊急速報見てみ、これ現実やでw”
一瞬の静寂ののち、ヤマタノオロチの口々からヘビィ・キャバルリィに対して何種類もの魔法攻撃が放たれた。
事前に周囲に展開している部隊に通達していたとはいえ、その全ての攻撃を避けるわけにもいかなかった三崎はバリアを用いていくつかの攻撃にわざと被弾した。
ヤマタノオロチの魔法攻撃のあまりの強力さにバリアも弾けそうになり、ジェネレーターが悲鳴をあげる。
空中を旋回した三崎はそのままお返しとばかりにミサイル、ビームガトリング、ごん太ビームを叩き込んだ。
それらの攻撃を魔法障壁で防ぎつつ、さらに攻撃を返してくるヤマタノオロチ。さらにこの両者の攻撃の流れ弾を防ぐ周囲の部隊。六本木の周辺は完全にカオスな状態に陥っていた。
お互いに攻撃を撃ち合いながら数分後。
『マスター。ヘビィ・キャバルリィの実体弾が尽きました。ビーム兵器もエネルギー残量が心もとないです』
「ヤマタノオロチもけっこう削ったけどな…あーもうしゃあない、超大型ビームサーベルを使う」
『承知しました。これで決めましょう』
「あぁ、やっぱこの機体乗ってたらこれ言わないとダメだよな。いくぞヤマタノオロチ。これで決める!!!!三崎 考、吶喊します!!!!!」
『超大型ビームサーベル起動しました』
ヤマタノオロチからのあらゆる攻撃をその身に受けつつ三崎は吶喊した。
機体の全身が被弾しボロボロになっていく中で、ついに距離が近づく。
そして超大型ビームサーベルが振るわれる。
ヤマタノオロチの首が全て飛ぶと同時にヘビィ・キャバルリィ自体もヤマタノオロチに激突し、大爆発を引き起こした。
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