第45話
六本木ダンジョン下層エリアの半ば。19時45分頃。ダンジョン震発生から約3分後。
「ここで迎撃するか。アルファ、演算領域を最大限に確保したい。三鷹のファクトリーを停止して全ての電源をデータセンターに回してくれ。バックアップ系統もガチのバックアップ以外は全てリソースを投入で」
『承知しました。全ての演算領域を開放します』
「よし。接敵まであとどれくらい?」
『深層に設置されていたセンサーの類がどんどんロストしてますね。あと1、2分で下層に到着するといった感じです』
「おっけい。じゃあ準備しますか。とりあえず大型ドローン全部出して」
『承知しました。対モンスター用の大型ドローン、全機実体化します』
アルファの宣言とともに、三鷹ダンジョンでデータセンターを守っていたタイプと同型の大型ドローンが100機出現した。
この機体の数を一気に出すのは三崎も流石に初めてだったためやや呆けた感じで
「さすがにこの数を一気にだすと壮観だな…」
と言葉を漏らしていた。
”100機w”
”さっきまで悲壮な覚悟でこの配信見てたけどなんとなく何とかなる気がしてきたw”
”エゲツない絵面だなw
『マスター。申し訳ないですが過去のスタンピードの事例を考えるとこれでも数分抑えるのが限界です』
”げ”
”まじ?”
”スタンピード怖すぎる”
”スタンピードは歴史の教科書にのるタイプの災害だからな…”
「はいはい、わかってるよ。まだ開発中なんだけどアレも出しちゃおう。自律型強化外骨格全機展開。5体にレールガン。5体に大型ビーム型ガトリング」
『承知しました。自律型強化外骨格を10体展開します。武装もそれぞれ展開』
三崎の前に10体の強化外骨格が現れる。その色は無骨なグレー。
形状は三崎が纏っているニュートラルフォームよりも幾分簡素化されたものだった。
そしてそれぞれの自律型強化外骨格の手にはレールガンと大型ビームガトリングが握られていた。
”うおおおお!!!???”
”なんかすごいの出てきたw”
”自律型!”
”強化外骨格が勝手に動いてる!!??”
”大型ビームガトリングw”
「まぁ難しい動きはまだできない自律型だけど固定砲台としてはそこそこ役に立つだろ」
『そうですね。現状でもある程度の戦線は維持できると思われます』
「あとは固定砲台で思い出したけどバルカン・ファランクスも全機出しちゃおう」
『承知しました。近接防御火器システム、バルカン・ファランクスも20機展開します』
バルカン・ファランクスとは一般的には大型の艦艇などに搭載される多銃身機銃と小型の捕捉・追尾レーダーを組み合わせた近接防御火器システムである。
三崎は大型の何かを作ろうとしてこういった艦艇などに搭載されるような武装の開発も行っていた。
大型ドローンが100機、自律型の強化外骨格が10体、そしてバルカン・ファランクスが20機。
一見すると過剰戦力にも見えるこのラインナップに配信を見ていた視聴者の多くは安心感を感じていた。
だが一方で三崎もアルファも内心ではこれでもスタンピードは止められないであろうと考えており、いかにして時間を稼ぎつつ上層まで後退していくかを考えいた。
そんな短くも長い時間が経過した19時47分頃。ついにその戦いは始まる。
『マスター。来ます』
「接敵と同時にフルバーストの準備」
『了解しました』
ダンジョンの奥の方からゴゴゴゴゴゴ…というダンジョン震とはまた異なる振動が三崎にも伝わってきた。
そしてついに三崎の視界を埋め尽くすようにモンスターの大群が現れる。その数は数百をくだらない。
”うおおおお!!!???”
”ええええ!!!!!??????”
”スタンピードってこんなに数多いの!!!!???”
”モンスターが壁になってる…”
”これはあかん”
”東京終わった”
実際のスタンピードをみたリスナー達の心が一瞬で折れる中、
「マルチロック起動。銃身が焼き切れてもいいからフルバーストを継続」
『承知しました。マルチロック完了。いつでもどうぞ』
「フルバースト」
三崎の言葉とともに全ての銃身から攻撃が放たれた。すさまじい光量と轟音が続き、文字通りモンスターの壁が削られていく。
しかしモンスター側も止まらない。
モンスターの屍を超えてそのまま前進を続けつつ魔法攻撃を放ってきた。
三崎側のドローンや自律型強化外骨格、ファランクスはバリアで攻撃を防ぎつつもそのまま攻撃を継続。
そのあまりに現実離れした光景を見せられたリスナー達はあっけにとられていた。
”怪獣大決戦…”
”いままでの三崎の配信も大概だったけど…”
”これはひどいw”
”エグすぎるw”
”ビームやら魔法やら色んな攻撃が飛び交いすぎてて音がわけわからんw”
”漫画でこういう表現見たことがある。現実だとこうなるんだねw”
それから約3分後。19時50分。
圧倒的な面への攻撃でモンスターの進出をなんとか抑えていた三崎だったが限界が訪れる。
『マスター。各機の銃身がそろそろ焼き切れます。ドローンも37機消失。自律型強化外骨格、ファランクスは全機無事ですがそろそろ武装がつきます』
「まだ3分しか経ってないのか…所長リクエストの19時52分まではあと2分」
三崎がさてどうするかと冷や汗を書きながら考えていると更に悪いことに、
『マスター、深層モンスターの下層への進出を確認しました。幻想種がきます』
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