第38話

データセンター、およびファクトリーの概観を紹介しつつ理不尽な拠点防衛システムのお披露目まで無事に済んだところで三崎はデータセンターの内部に入っていた。


「データセンターの内部自体は一般的なデータセンターとほぼ変わらないです。部屋があって、各部屋の中にラックがあって、それぞれのラックの中にサーバーとかが入っている感じです」


口頭で補足説明をしながらデータセンター内をサクサクと歩いていく三崎。その言葉の通り、ここがダンジョン内だと言われなければ一見すると地上の普通のデータセンターと大差ない設備だった。


”確かに普通のデータセンターと変わらんな”

”普通のデータセンターをみたことが無いけどなw”

”IT系の仕事してたら意外と見る機会あるぞw”


「ご覧頂いている通り見た目は本当に変わらないと思いますよ。最大の違いは前の配信でもお話させて頂いた通り、電源とサーバーの部品の材質ですからね」


”そこがとんでもなさすぎるw”

”気になるのはそこw”

”改めてさらっと言われても意味が分からないw”


「ただ非常に申し訳ないのですが、電源室も、サーバールームも今回はお見せすることができません。ちょっと各所から怒られそうなので」


”それはそうw”

”一番見たいところだけど流石に色々とアレな気がするので我慢するw”

”怒られるで済めばいいけどなw”


三崎の説明によると「ダンジョン内のデータセンター」というコンセプト自体が非常に斬新だったらしく、魔素を用いた電源やダンジョン産資源を用いたサーバーについては日本国内に限らず世界中から問い合わせが来ているらしい。


現在のところはダン研が改めて網羅的に特許の整理・確認を進めつつ、まずは日本国内から情報公開をするべく共同研究先や研究委託先の企業選定などを進めている。


「という感じで最近結構真面目に働いてるんですよね。本当はもっとロマン武器の開発・実験に注力したいんですがさすがにここで手を抜くと洒落にならないと思うので」


『かなり真面目にあれこれ仕事されていますよね。なのでマスターがまともな仕事をしている間に私の方で色々と素材の加工、整備を進めたりファクトリーの拡充をしているのでこれはこれで良いタイミングだとは思いますが』


「確かにそろそろロマン武器自体も俺がそのまま扱えるサイズのものはだいたい作り終わってきたしな。もっとデカいやつとか複雑なやつを作ろうと思ったらどちらにしろ時間も資源も必要だから確かにちょうどよかったんだけどな」


”もっとデカいやつw”

”もっと複雑なやつw”

”これは期待したいw”

”確かに大型のロマン武器を作ろうと思ったらしっかりした製造拠点が必要だよな”

”ロマン魂が荒ぶるw”


そんな会話をしつつ、三崎はデータセンター内の当たり障りが無いエリアの紹介が終わった後に渡り通路を経由してファクトリーの方に入っていった。


「次はファクトリー内を紹介させていただきますね。こちらは現在2階建てになっています。そういえば先日の配信で登場した強化外骨格や武器たちがちょうど2階でメンテナンスされているはずなのでまずはそちらに向かいますね」


ファクトリーの2階はこちらも見た目は割りと一般的な無人工場のような雰囲気となっており、広いフロアの様々なエリアでロボットアームやコンベア、各種設備が稼働していた。


その一角では先日の配信で大活躍した強化外骨格シリーズと、それらの専用兵装が並んで修理を受けているところだった。


「こちらが先日ご紹介させていただいた強化外骨格とその専用武装ですね。ご覧頂いているように一度完成したロマン武器の修復はほとんど自動化できていて、ほぼ全部をアルファが制御しているロボたちが修理を進めてくれます」


『特にこれらの強化外骨格の第1世代については基本的にデータを取り終わっているので修理も簡単ですね。修理用の手順や機材も揃っているのでほとんど全て私の方で対応できます。一方で新型のロマン武器の場合は、修理の際にデータを取ったりもするのでわりとマスターが自分の手で確認しながら進めることもありますよ』


「補足ありがとう。あとそう言えばですが、これらの第1世代の強化外骨格シリーズも含めて量産化の打診と言うか相談が各所から来ています。これらについてもまずはダン研の技術評価本部に手伝ってもらいながら先行量産型の設計を進めています」


「あとは量産化にあたっては企業さんにもご協力してもらうと考えているので、その辺りについてはダン研からまた追ってオフィシャルな広報がでると思うので確認してみてくださいね」


”さらっと大事な話がたくさん出てきてるw”

”確かにw”

”これが量産できたらダンジョン内での戦い方とかだいぶ変わるんじゃね?”

”どうでも良いけど先行量産型ってカッコイイよねw”


「ということで2階はこんな感じです。奥の方とかはちょっとまだ見せられないものが色々とあるのですいません。では1階に戻りましょうか」


そういった三崎はエレベーターに乗り1階に戻る。ただそのエレベーターに乗っている時間の長さに違和感を感じたリスナーがいた。


”なぁ、1階から2階に登るときも思ったけどエレベーター長くね?”

”そういえば外から見た感じでも2階ってかんじの高さじゃなかったよな”

”ということは1階の天井が高いってこと??”


リスナー達のコメントに気づいた三崎はニヤリとしつつ


「お、良いところに気が付きましたね。コメントいただいたように1階部分は地面から天井まで約20メートルあります。しかも1階の一部は地下の方にも掘り進めている部分があって、最大で縦方向に50メートルを確保することができます」


”天井まで20メートル!”

”待てよ、某ガ○ダムシリーズってだいたい18メートルくらいだった気が…!”

”これはたぎってきたw”

”最大で50メートルとか何作る気だよw”

”そんなデカいもんダンジョン内で動かせるのか?w”

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