第35話

「リスナーのみなさん、こんにちは。ダン研 オフィシャル 広報チャンネルです。早速第4回目の配信を開始させていただきますね。本日は我らが三鷹ダンジョンからです」


古賀との打ち合わせの翌週、平日の19時。三崎はダンジョン技術研究所の直下に存在している三鷹ダンジョンから配信をスタートしていた。


”待ってました!”

”前回は面白かったよ!”

”今回も期待。”

”今回は顔出しスタートw”

”至ってノーマルな探索者スタイルw”


「事前に告知させて頂いていた通り本日の配信は軽めに1時間、19時~20時の枠で実施させていただきますね。短い時間ですがよろしくお願いいたします」


三崎の紹介通り、前回の配信が週末の半日ほどになったことから今回は軽めの配信枠となっている。


しかも配信場所も手近な三鷹ダンジョンからということで、三崎は18時ころまで普通に仕事をしてから早めの夕食を済ませてこの配信に臨んでいた。


「今回のテーマも事前に告知済みですが、ずばり『ロマン武器の裏側』ということで三鷹ダンジョン内に設置したデータセンターについて軽く紹介させていただきます」


『アルファこと特殊兵装群統合火器管制型人工知能が稼働しているデータセンターです。第2回の配信以降かなり多くの方々からご質問いただいていましたね』


”気になってた!”

”ダンジョンの中にデータセンターとか意味不明すぎてそりゃ気になるわw”

”ロマン武器の裏側ってテーマも良き”


「みなさまコメントありがとうございます!アルファも補足ありがとう。先程もご紹介させていただいた通り今回は『ロマン武器の裏側』ということでデータセンターの紹介をさせていただくのですが、実はもう一つ紹介させて頂きたいと思います」


”お?w”

”お?w”

”お?w”

”なんかくるぞw”

”次はなんだw”


事前の告知には出していなかったネタの登場に盛り上がるリスナー達。そして彼らのリアクションを見た三崎はにやりと笑った後、


「今回はデータセンターに加えて『ファクトリー』も紹介させて頂きます。ファクトリーとはその名の通り、僕のロマン武器たちを製造してくれる設備です」


”おお!”

”確かにロマン武器の裏側!”

”ロマン武器と工房とか工場はセットだよね!”

”しかしダンジョン内にファクトリー…?”


「疑問に思った方々もいらっしゃるようなのでファクトリーについても説明させていただきますね」


三崎によるとファクトリーとは、完全自動で稼働しているロマン武器専用の工場である。


もともと三崎は学生時代からロマン武器を手作りで作成していたのだが、ある日3Dプリンターを見てふと思った。「これなら1点ものの製造工程でも完全自動化できるんじゃね?」と。


さらに電気自動車で有名なテ○ラのギガファクトリーの「機械を作る機械」というコンセプトを知り、その他にもAm○zonの大部分の作業が自動化された配送センターなどの大規模施設を見学した三崎はこれらの施設にも非常に強いロマンを感じた。


そこからは自前の工場の建設を進めるべく様々な資材調達を進めたり、基本設計をしたりと細々と活動を継続していたのだがアルファの開発完了と共に全ての詳細設計をアルファに丸投げ。


以降はアルファが出してくる詳細設計や施工計画にあれやこれやと手をいれつつ、三崎自身は様々なダンジョンから必要な資材を調達してきて、設計の期間を除くと約1年という短時間でファクトリーの建設が完了した。


「というような形で建設したのがファクトリーです。なのでアルファが稼働しているデータセンターの建設完了から約1年後に本格稼働したという感じですね」


”着々と進化しているw”

”ひとつのロマン武器の裏側にこんなに大規模な設備がいくつも…w”

”マジレスすると製造とかどうしてるのかめちゃくちゃ不思議だったから納得”


「しかもファクトリーは基本的に完全自動で稼働している状態なので、色んなロマン武器を日々せっせと作成してくれていますし、さらにファクトリー自体も日々拡張・進化しています」


『例えるのであればロマン武器の生成AIみたいな状態ですね。画像生成AIやChatGPTみたいな感じでロマン武器が作れる状態になっています』


『マスターが作成したいロマン武器のコンセプトや概念設計をプロンプトとして入力してくれると後は私が良い感じに詳細設計をします。その後、マスターがその設計書や仕様を確認してOKがでたら、あとはファクトリーの方で私がちょいちょいと製造しておくという流れです』


”これは便利w”

”便利すぎてやばいw”

”しかしなんかとんでもなく不穏な発言してないか?w”

”既に自己進化し始めているw”


「まぁファクトリーの概要はそんな感じなのでさっそく現場に向かいましょうか。この手のやつは実際に施設を見ていただいた方が楽しいでしょうし」


「ということで今回は三鷹ダンジョンの上層の転移門を利用して下層まで一気に向かいます」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る