第33話

「次回の配信の話と、あと西原さんとのコラボ配信の相談がしたくて」


コーヒーを手に戻ってきた古賀がさっそく三崎に配信の相談をし始めた。


第3回目の配信は「変身!」と「フォームチェンジ!」というわかりやすいコンセプトで、かつ富士五湖ダンジョンという難関ダンジョンでドラゴン種との4連戦ということで非常に良い配信となった。


第3回目の配信は各フォームの性能や爽快さもあり、配信から数日が経過した現在でも切り抜きの数は増え各所で話題になっていた。


「3回目の配信も非常に好評でしたよ。当日の同接数もよかったですし、その後のアーカイブの再生数も良い感じに伸びています」


「そりゃよかった。しかし5,6時間も喋りながら深層アタックするのは地味に疲れたぞ」


やや不満げな顔で主張する三崎。コーヒーを飲むために体を起こしてはいたが引き続きソファーにだらっと腰掛けていた。


「確かに5,6時間の配信って普通にやっても大変ですよね。三崎先輩ならなんとかなるだろうと思って今回は詰め込みすぎました、その点はすいません」


若干凹んだ雰囲気をだしてきた古賀をみた三崎は慌てて、


「いや、3回目の企画はそもそも俺が言い出したことだし古賀さんは悪くないよ」


とフォローを入れが、そのフォローを見た古賀は一瞬で凹んだ雰囲気を解消し、元のテンションに戻った。


その変わり身の速さをみた三崎は「コイツ…!」と内心でややイラっとしつつ次回の配信についても話を進める。


「そういえば西原さんとのコラボ配信は正式にOKとれたのか?」


「はい、ちゃんとOKとれましたよ。広報部の部長、7課の南野課長、それから林所長からOKいただきました」


「了解、許可取りおつかれさん、ありがとう。ちなみに西原さん側はなんか言ってるの?」


「いえ、西原さんもテーマ設定を迷っているみたいですね。ちなみにスケジュールの方はダン研側に合わせますとご連絡いただいています」


「そっか。ならある程度こちらで決めちゃうか」


そしてあれやこれやと三崎と古賀が相談をしてアイデアを出していく。十数分後には概ねアイデアが固まってきたため、あとは古賀がこの素案をもとにより具体的な企画書を作成することになった。


「じゃあ後は任せるわ。いつも助かる」


「いえいえ、そもそもこれは私が言い出した仕事なので!それにこの手の企画を考えるのは本当に楽しいんですよ」


にこにこと本気で「私楽しんでます!」オーラを出している古賀をみてほっこりした気持ちになった三崎。


三崎自身も好きだからこそロマン武器の開発も研究も続けられている自覚があるため、やっぱモチベーションって大事だよななどと考えていた。


「じゃあ西原さんとのコラボ配信のテーマはそれで良いとして、第4回目の配信はどうする?コラボ配信を4回目の配信にするか?」


「うーん、そうですねぇ。3回目の配信がかなり重めの配信だったので、コラボ配信は少し先のほうがいいかもです。4回目はさくっと軽めの配信にしませんか?」


「軽めの配信ね?」


「はい。私的にはそろそろ一回箸休め的な配信をやってもいいと思うんですよね。1回目も3回目もバトルも武器ももりもり。2回目は雑談配信だったものの内容的に衝撃的な内容がもりもりでしたし」


「…なるほど。たしかに客観的にみるとなかなか濃いかもな」


「ですよね。なのでちょっと胸焼け気味なんじゃないかと気になってるので、4回目の配信は1,2時間位で、なにかさくっと軽食をつまめるくらいのイメージでできないかなって」


「3回目の配信とかそれこそフルコースだったしな」


「そうなんですよ。配信時間自体も比較的長めでしたけど、強化外骨格が4種類出てきて、ソレに合わせてロマン武器もたくさん出てきて、しかも相手はドラゴン種。これはかなりフルコースです」

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