第27話
「ベーシックフォームはその名の通り一番基本的なフォームです。というかニュートラルフォームの前に作成していたフォームで、本当だったらこのフォームが一番基本のフォームなんですけどね」
赤いベーシックフォーム、青いスピードフォーム、紫のパワードフォーム、そして緑のマジックフォームの4つのフォームがそもそも三崎が最初に開発した第1世代の強化外骨格である。
これら第1世代の各フォームを実際にダンジョン内で検証することで長所、短所を洗い出し、更に各フォームの長所を伸ばす形で無理やり一つのフォームに詰め込んだのが第2世代のニュートラルフォームにあたる。
第1世代の各フォームは極端なパラメータに加え、各専用兵装とセットに運用する前提でそもそも作成しており、相手や環境に応じて換装しながら戦うことを想定していた。
実際今回の富士五湖ダンジョンのような多様な環境においては、条件が揃えば各フォームの長所が遺憾なく発揮されるため運用がうまく行けば問題なく機能するのが第1世代の各フォームだった。
一方でそもそも各フォームが特化型であり専用兵装がセットだったことから、三崎はある日ふと気づいてしまった。「これからも色んなロマン武器を開発進めると特化型フォームが足かせになってしまうのでは…?」と。
そんなこんなで第2世代のニュートラルフォームは、各種ロマン武器を運用する前提で、かつ第1世代の特化型フォームたちの長所を織り込んだ形で設計されている。
「という感じで実は今回の配信は第1世代の強化外骨格のお披露目会だったというわけです!」
”ほぇー”
”第1世代と言われながら圧倒的な戦闘能力だったけどなw”
”けど確かに真面目に武装として評価するなら完成度は低いなw”
”各フォームの継戦能力が低すぎるw”
”ロマン武器としては正しいけどなw”
「そして最後にベーシックフォームに戻ってくるというのもそれはそれで味があるので良しとしましょう」
と言いながら赤いベーシックフォームを纏った三崎が火山エリアを進む。その途中ではサラマンダーなどのモンスターと数度遭遇していたが、その度に粉砕していきながら順調に深層エリア最奥に向かっていた。
”なぁ、さっきのはサラマンダーなんじゃ…?w”
”もはやドラゴン種じゃないとそもそも戦いにすらならないんだなw”
”なおドラゴン種も一撃で撃破されている模様w”
そして火山エリアに進出してから20分ほどが経過した頃、
『マスター。前方に大型モンスターの気配を探知しました』
「お。ついに来たか」
”お!”
”お!”
”これは本日ラストの戦いの予感。”
”火山エリアでしかも大型モンスターと言えば…”
警戒したまま進み、そして広場らしきところに出た瞬間その巨体が咆哮をあげた。
「「「「「グァガァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」」」」」
”おおお!?”
”こわw”
”レッド・ドラゴンきたーーーーー!!!!”
”ドラゴン種の中でも間違いなく最強候補!!!!”
”初めて見たわw”
「さて、レッド・ドラゴンさんのお手並み拝見と行きますか!」
三崎はそのままレッド・ドラゴンに向かって駆け出した。レッド・ドラゴンもブレス攻撃を放ってくるが、それらの攻撃をひょいひょいと避けつつ一気に接敵し、そして
「うぉらっ!!!!!」
という掛け声とともにレッド・ドラゴンをぶん殴ったが、「ゴンッ!!!!」と硬いものをぶったたいた音がしたもののドラゴンは痛がるそぶりを見せずに反撃してきた。
それらの攻撃を慌てて回避しつつ、レッド・ドラゴンからやや距離をとっった三崎。
「なぁアルファ、さすがにさっきのパンチでノーダメージは硬すぎないか?」
『そうですね、あの防御力は私も想定外でした。ベーシックフォームの通常攻撃ではダメージを与えられなさそうですね』
「おっけー、じゃあ手加減は抜きだ。ベーシックフォーム出力最大!さらに第1リミッター解除!!!」
『ベーシックフォーム出力最大、第1リミッター解除しました』
アルファの言葉と共に赤い強化外骨格が淡く発光を始めた。さらに各関節部や装甲の一部が開き、そこから光の粒子が放出される。
”おおおお!!!”
”リミッター解除きたああああ!!!!”
”ベーシックフォームは専用武装ない代わりに白兵戦特化って感じなのね!”
『戦闘可能時間、残り5分です』
「おっしゃ了解!」
そして再びレッド・ドラゴンに向かって駆け出した三崎は、ドラゴンからの攻撃を躱し、叩き落し、そして
「今度は喰らっとけよ!!!!!」
といいながらレッド・ドラゴンに強烈な一撃をお見舞いした。先程の攻撃が全く効いてなかったことから油断していたドラゴンは轟音を立てながらふっとばされ、そして壁に叩きつけられていた。
その隙を逃さずラッシュをお見舞いする三崎。ドラゴンも必死で反撃しようとするが、それらの攻撃の機先を制する形で攻撃を加えていく。
そしてレッド・ドラゴンの動きがやや鈍ったところで、
「アルファ、トドメの一撃だ!右腕部、第2リミッター解除!」
『了解です。右腕部のみ第2リミッター解除しました。エネルギー集中させます』
三崎は右手を天にかざすと、その右手に凄まじい量のエネルギーが集中し始め、右手が真っ赤に輝き出した。
「いくぞ、レッド・ドラゴン。この一撃でお前を倒す!!!!」
『エネルギー充填率200%超えました。いつでもどうぞ』
真っ赤に輝く右手を振り被り、そしてその拳を三崎はレッド・ドラゴンに叩きつけた。
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