第10話

「リスナーのみなさん、こんばんは。ダン研 オフィシャル 広報チャンネルです」


三崎がダイアモンドタートルをドリルランスで串刺しにしてから数日後、事前に告知していた通り金曜日の19時、第2回目の配信が始まった。


”ん?”

”ん?”

”ん?”

”ん?”

”誰?w”


。。。配信が始まったのだったがコメント欄は「?」というコメントで埋め尽くされた。それを見た三崎は若干慌てて、


「あ、すんません。仮面の人の中の人です。今回はダン研の会議室内からの配信ということで装備は一切なしでした」


”おお!中の人!”

”確かに声が一緒w”

”でも全然分からんかったw”


などとリスナーが意識してなかった突然の顔出しにコメント欄が賑やかになる中、


”けどこれだと中の人が入れ替わっててもわからんなw”


という一言を一言をきっかけに


”まぁそれはそう”

”たしかに”

”別にええんちゃう?”


などと配信早々コメント欄が若干怪しい方向に進んでいく。


「あー、リスナーの皆さんのご懸念はわかります」


コメント欄を見ながら椅子から立ち上がった三崎は、机からやや距離をとり、


「ということで俺が本当に仮面の人だということをまずは示してから今日の本題に入りますね」


”どいうこと?”

”なんかすんの??”

”別に気にしなくていいんじゃない?”


というコメント欄を横目に急に三崎は右手を掲げ、左手で右手を支え、そして最後に両手を前に突き出して叫んだ。


「アルファ、強化外骨格 ニュートラルモード スタンバイ!」


『Ready! Set!』


そしていつもは平坦な日本語で喋っているアルファが無駄に良い発音の英語で応える。そして、


「変身!!!!!」


『変身コマンド承認しました。強化外骨格を量子空間から実体化、使用者に装着します』


まばゆい光が一瞬にして三崎を包んだ後、そこには仮面とボディーアーマー一式に身を包んだいつもの探索者スタイルの三崎がそこにいた。


”ファーーーーwwww”

”いきなりすぎるwww”

”出オチ感がすごいw”

”切り抜き班がまたはかどりますねw”

”変身は確かにロマンwww”

”超技術の無駄遣いw”


「ということで俺が中の人だとちゃんとお伝えできたところで今日の本題に入ります」


そういうと強化外骨格を身にまとった三崎はそのまま元の席についた。


”シュールすぎるw”

”シュールすぎるw”

”シュールすぎるw”

”確かに装備つけたままならこうなるわなw”


「本日は雑談配信ということで、これまでに僕が利用した装備などについて皆様のご質問に答えられたらと思います。


”そのまま進めるのかw”

”自由人w”

”絵面w”


「ただ素人の自分が雑談配信を一人でうまく回せる気がしなかったので援軍を呼んでいます。ということで援軍一人目はこちらの方」


三崎の振り出しに応える形で画面内に登場したのは


「みなさま、はじめまして!国立ダンジョン技術研究所 支援本部 広報部所属の古賀 愛といいます!ダン研内の広報業務を担当しております。本日は三崎さんのお手伝いということで、司会進行を勤めさせていただきますね!」


この一連の配信企画を立ち上げた古賀だった。


”お、新キャラきた!”

”広報部のお姉さん!”

”確かにダン研の何かのイベントでみたことあるな。”


コメント欄も好意的に古賀の登場を受けて止めている。


「こちらの古賀さんが今回の雑談配信の司会進行を務めてくれます。そして実は今回はもう一人、ゲストもいらっしゃってます!どうぞ!」


三崎の呼び込みに続いて登場したのは、


「みなさーん、こんにちは!ダンジョン配信者の西原誉です!本日はよろしくお願いします!」


三崎がバズるきっかけとなった西原だった。


”おおおお!?”

”ホマレきた!!!!!!!”

”不意打ちすぎるw”

”最近のダン研、まじでぬかりないw”

”これは神回確定”


「はい、ということで今回は配信者の西原さんにもお越しいただきました。西原さんにはダン研外の人として、素朴な疑問や質問なんかをしていただければと思いますのでよろしくお願いします」


三崎の呼び込み後、軽い自己紹介・雑談タイムを経て司会進行役の古賀が本題に入る。


「ではここからは司会進行役の古賀が進めさせていただきます!リスナーさん含めて、ダン研宛に多くの質問がよせされていますので今日は三崎さんにしっかり答えていただければと思います」


古賀からチラリと目線を向けられた三崎はしっかり頷くが…


「なぁ、古賀さん」


「どうしました、三崎先輩?」


「強化外骨格、そろそろ脱いでいい??座りにくくてケツが痛い」


”草wwww”

”草wwww”

”こいつw”

”確かにそのフォルムは痛いだろうよw”


ホマレの方もどうやら三崎の発言がツボに入ったらしく、笑い声がマイクに入りすぎないように気をつけながら静かに爆笑するという器用なことをしていた。古賀のほうも一瞬キョトンとしたあと、笑いながら、


「はい、そうですね、脱いでいただいて大丈夫ですよ!」


それを聞いた三崎は早速椅子から立ち上がり、


「よかった、じゃあ早速。アルファ、強化外骨格、パージ!!」


『了解しました。アイテムボックス起動、強化外骨格を量子化して格納します』


三崎の体が光で包まれ、そして一瞬で強化外骨格が消えた。


”絵面はシュールだけど相変わらず超技術w”

”ほんとこれ不思議だよなぁ”

”話の流れがギャグっぽいけど技術がガチすぎて意味がわからんw”


それらのコメントを見ていた古賀は


「はい、じゃあそろそろ本題に入っていきますね。話の流れ的にせっかくなのでアイテムボックスの話からしていきましょう!」


とみんなが気になっていた本題に入っていった。

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