第6話

「リスナーのみなさん、はじめまして。ダン研 オフィシャル 広報チャンネルです」


”本当にきた!!!”

”ホマレを助けてくれてありがとう!”

”ダン研、マジでやるなんてイメージ変わったわw”

”相変わらずの不審者スタイルw”


やや棒読み気味にドローンに向かって挨拶したのはもちろん三崎である。ホマレを助けた際の黒尽くめに仮面スタイルだ。


「事前に告知させていただいていた通り、本チャンネルでは今後ダンジョン探索を通じてダン研のロマン武器についてご紹介させていただきます」


林所長と古賀からの提案をうけた翌日、すなわちホマレがドラゴンに襲われ、三崎の切り抜き動画がバズってから2日後。


三崎は秩父ダンジョンで初の配信を実施していた。


古賀によると、とにかくバズったあとにはダメ押しですぐ次の手を打つ必要があるとのことでこのタイミングでの配信となった。


「今回の配信では秩父ダンジョンを攻略しつつ、特殊な資材集めを実施したいと思います」


”おk”

”おk”

”おk”

”おk”


「では本題に入る前に一言だけ、先日の変異種ドラゴン騒動についてですが被害者の女性探索者の方は大きな怪我もなく無事に過ごしていると警察から聞いています」


”ほんとよかった!まじでありとう。”

”@ホマレ:先日はありがとうございました!直接お礼を言えずにすいません><”

”お!本人だ!”

”マジじゃん。”


「あら?これは本人なんですかね?ホマレさん、コメントありがとうございます、体調なども問題ないと聞いていますので僕もホッとしました。ドラゴンみたいな変異種に遭遇することはそうないですがこれからも気をつけて探索してくださいね」


”@ホマレ:丁寧にありがとうございます!せめてものお礼としてチャンネル拡散しておきます!”

”なぁ、「ドラゴンみたいな変異種に遭遇することはそうない」ってフラグなんじゃ…w”

”ばかやろう、ロマン武器にフラグは不可欠だろ。”

”そういえばロマン武器といえば切り抜きで見た変なドローンとかでかい銃について知りたい”

”たしかに”

”それな”


「みなさん、コメントありがとうございます。そうですね、今日はそのドローン兵装を主に使いながら探索を進めていきたいと思います」


「なおでかい銃の方についてはあの一発で故障していて、その修理のために必要な材料が秩父ダンジョンで取れるので本日ここから配信させていただきました」


”さすがロマン武器w”

”一発で壊れるのが王道。”

”わかってるw”


配信をはじめ、ある程度リズムを掴めた三崎は気軽な感じでダンジョン内に進んでいった。


「ドローン兵装は正式名称を空間制圧型自律起動兵装って呼んでます。。。まぁ要するにファ○ネルですね」


”ファ○ネルw”

”ファ○ネルw”

”ファ○ネルw”

”ファ○ネルw”

”ファ○ネルw”

”どストレートに言いやがったw”


「この兵装は現在12機まで自律制御可能で、基本的には音声コマンドを入力することでAIがアシストして最適な運用を実現してくれます」


などと三崎がドラゴン戦で活躍した空間制圧型自律起動兵装について説明していると、


『マスター、お話中失礼します。前方500mほどの位置にゴブリン5匹を確認しました』


「アルファ、ありがとう。殲滅を頼む」


『了解です。ターゲット確認。空間制圧型自律起動兵装を5機射出します』


そしてゴブリンの元へ飛んでいったファ○ネルがあっという間にゴブリンを撃ち抜く。


”改めて見るとトンデモナイなw”

”そりゃドラゴンさんたおしたもんな”

”なんか他の人の声もきこえなかった?”


その後も空間制圧型自律起動兵装やアルファ(特殊兵装群統合火器管制型人工知能)について説明しながらダンジョン上層をさくさく進んでいく三崎。


ダンジョン上層部では三崎の相手になるようなモンスターが出現するはずもなく、途中からはスピードアップのために背部スラスターも起動しものすごい勢いでダンジョン上層を攻略していく。


あっという間にダンジョン上層を攻略した三崎はその勢いのままダンジョン中層の攻略も進めていく。


”なぁ、ダンジョン内で爆速で人が飛びながら、ファ○ネル乱れ打ちしてモンスターを虐殺しているフェイク動画が俺の目の前にあるんだけど”

”奇遇だね、俺も”

”俺も”

”俺も”

”俺も”

”というかこの配信、本当に感覚狂うな”

”なんかもうつっこみどころ多すぎてあれなんだけど、探索者って飛べるの?”


リスナーの反応を仮面内のヘッドアップディスプレイで随時見ながら、時たまはいる古賀からの指示チャットを確認し配信が順調に進んでいることを確認した三崎はダンジョン中層の踏破も完了した。


「さて、そろそろ下層に入ります。今回は超電磁砲の修復のために特殊な磁石というか鉱物が必要なのでロックタートルを狩りに行きます」


”ロックタートル!”

”マジか!下層最大級のモンスターじゃん!”

”これは面白くなってきた”

”だから秩父ダンジョンね”


「下層からはスラスターは使わずに徒歩で慎重に進みたいと思います」


そう言いながらダンジョン中層から下層に続く階段を降りていく途中、いきなりダンジョン内部を大きな振動が襲った。


「アルファ、地震か?」


『ダンジョン外界では地震は観測されていません。ダンジョン内部に起因する振動だと思われます』


”これって。。。”

”これは…ドキドキ”

”うん、知ってたw”

”マジで引き強すぎない?w”


三崎がアルファと状況を確認し、リスナーが早速のフラグ回収の予感にドキドキし始めたその瞬間、


「「「「グガァアアアアアアアアアアアア!!!!!」」」」


という叫び声とともに大きな揺れが再びダンジョン内をおそった。

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