第13.5話 管理者とその部下のある日の出来事

 私の名前はアイゼンフェルト。この世界の管理者だ。最近「サンジーフ王国」という国が作られ、またたく間に有名な国になったから遊びに行ったり話を聞いてみたりすると、想像よりとても面白い国だということがわかった。また「食べ物の国」として主に有名らしいが、その言葉通り美味しい物を食べさせてもらったし、届けてももらった。


「そう!これがカップラーメンさ。」


「ただの円柱状のカップじゃないのかよ。」


「まあまあ、見てみろよ。」


 彼女はアリという。私に一番近い部下だからか、私に対する口が少し悪いのだ。でもその他は忠実な手下だから、良いとしているが...


 んで、私はお湯を沸騰させた。管理者が住んでいる所だからと言って特別何かがあるわけではない。召使いも居ないし、特別な装置もない。ただ中央の街を管理するための物で散らかっている。


「そして、これで3分待つんだ。」


「そうしたら、食べれるってわけね。私もちょっと気になってくるわね。シュウヤの事。」



 三分経った。僕は蓋を開けてみせた。するとあの時のような良い匂いがあたりを立ち込める。いつ嗅いでもいい匂いだ、お腹が減ってくる。


「あとは、食べるだけだ。さあ、食え。」


「管理者!とてもいい匂いがしますねぇ!俺も食って良いんですか?」


「構わないよ。」


 彼はダリ・ホーチスと言う。みんなはいつも「ダリ」と呼んでいる。部下の中で唯一名前に「・」があるからみんな最初の時は珍しがっていた。


「こんな早く出来た物が美味しいわけ無いでしょ。まあ私は優しいから一口くらいは食べてもいいわ。」


「どこからそういう言葉が出てくるんだよ...」


「ん!管理者、これとても美味しいですよ!早く出来たからと言って侮るなかれ!です!俺は気に入りましたね。」


「確かに美味しいわね。良い醤油の香りが食べるほどに鼻を通っていくわね。」


「だろ。今日は10個あるからみんなで食べようね。」


「10個じゃ足りないわよ!もっと頼みましょう!定期的に届けてもらったり出来ないかしら。」


「...一応電話してみるか」


 私はシュウヤの所に電話をしてみた。電話番号は交換してあるから多分、分かるだろう。


「もしもし、シュウヤです。」


「もしもし、アイゼンフェルトだ。今日カップラーメンが届いて、みんな喜んでいた。だから定期的に届けてくれないだろうか?お金はちゃんと払う。」


「ああ、今定期配達サービスをやっておりまして、通常より料金はかかりますが、季節限定の味が食べれるというサービスです!今月は味噌味ですね。」


 なるほど、1ヶ月に1度限定の味を提供して集客を増やそうとしているのか。こんなの...頼むしか無いだろう!


「じゃあ、3人分を半年分お願いします。」


「分かりました!じゃあ料金は...」


「管理者だから君の所に定期的に入金しておくよ。」


「あ、そうでしたね。じゃあそういう事で、よろしくおねがいします!」


 お前たち、1週間に1度カップラーメンが届くぞ。しかも限定の味が毎週届くらしい。もし飽きたら他の部下に与えればいいから、楽しんでくれ。


「フフフ、今までなんてこんな事1度もしてくれなかったのに。」


「だから今までって何だよ...私だってずっと優しくしているだろう。」


「まあ、そういうことにしておいてやれよ!アリ!」


「そうね。」


「どういう事だよ。」


 まあ良い。来週から定期的に限定の味が届くらしいからな。そして更に生きるのが少し楽しみになったな。こう考えると、管理者って仕事も悪くないな...うん、すごい満足感。


「早く缶詰の定期配達やらないかなぁ...」

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