第13話 工場の完成と宣伝

 あれから数週間経った。みんなの働きのおかげで予定よりも工場が予定より早くできそうだ。それで僕は働き手を国内で募集した。一応「国家が関わっているプロジェクト」のため給料は相当出すつもりだ。


「財源はどうとでもなるけど、後は誰を選ぶかだよな...リサ、僕と一緒に面接を手伝ってくれないか?」


「はーい!分かりました!」



 面接は1日で終わり、いや終わらせ、500人居た希望者も200人採用で落ち着いた。採用者全員に「王」が直接挨拶に行った。一応国が関わっているから僕が出向かないことにははじまらないからね。


「え!採用ですか!」


「ええ、再来週から頑張ってくださいね。」


「はい!頑張ります!」


 こうした挨拶を200回も繰り返した。そして5日に渡ってやっと終わらせた。終わったかと思ったら次は国政のあり方についてまたいつものメンバーを呼んで大きな指針を発表したり、どうすればいいかを指示したり。


「やっと大きな日程が終わりましたね、シュウヤ様...」


「もう一回休みがほしいくらいだな...まあでも後は工場の視察だけだな!頑張ろう。」


「はい...」


 こうしているうちに工場はほぼ完成して、内装も出来上がっていた。早速視察をしたが、僕の言った通りきれいで清潔な内装になっている。


「きれいだろ?俺のお墨付きを得ているからな!」


「うん!すごい綺麗だよ、バレット!ありがとう!」


「...順調ですね、シュウヤ殿。」


「うわあアイゼンフェルトさん!てかまた遊びに来てたのか。」


「いや、今日は話があってきたのですよ。」


「ほう」



 僕は迎賓館に彼を連れていき、椅子に座らせた。こうして話すのは初めてでは無いだろうか。僕は彼が何を話すのだろうと思っていた。


「...単刀直入に言うと、君らが工場で作った『カンズメ』とやらを食べてみたいのだ。どうだ?」


「...ははは!そんな事か、全然いいよ!逆にこんなことにいちいち許可を求める必要なんて無いよ!」


「許可を求めなくても良いのですか...」


「うん!今試作してるから、食べてみる?」


「ええ...喜んで!」


 僕は試作品をいくつか出した。パイナップル缶、おでん缶、そして僕がこだわって作った焼き鳥缶だ。あとカップラーメンも再現してもらったから持ってきた。この世界の技術者は結構再現度を高く作ってもらえるから素晴らしい。


「これが...食べ物ですか?とても固くて口には...」


「これはね、この道具を使って開けるんだ。」


 と言って僕はくるくると回しながら開けてみせた。彼は興味深く缶詰を見ていた。


「なぜそのように厳重にしてあるのでしょうか。」


「これは主に腐らないようにするためなんだ。長く美味しく食べられるように工夫がこなされている。」


「なるほど、これで空気が入らないようにしているのか...ますますこの国の文化が木になります...!」


 缶詰だけでこの国の文化に関心を持つのか...管理者も意外とこういう所があるんだな。


「食べてみていいよ!」


 彼は匂いを嗅いで一口食べてみた。すごく美味しいという顔が伺える。


「これは美味いな。いわば保存食品のはずなのに味付けもちゃんとしている。」


 喜んでくれてよかった。続けざまに次はカップラーメンを紹介してみた。


「次はこれ。名前を『カップラーメン』と言います。これは麺料理をお湯をかけてしばらく待てばどこでも食べれるという物です。」


 と言って熱湯を持ってきて注いでみせた。またもや彼は興味津々とカップラーメンの方を見つめていた。


「これで3分待つんだ。」


「なるほど、3分待てば麺料理が食べれるのですか...」



「出来ましたね。これも食べてみていいですよ!」


 彼はなんの躊躇もなくひとくち食べた。流石に麺はすすらないか。彼は熱そうにしながらもまた良い顔をしていた。


「これも美味いな。お湯を入れると粉のようなものが溶けてスープになるのだろうか...また麺が不思議だ。さっきまで硬そうだったのに今はのどごしが良い麺に変わっているではないか。」


「...美味しかったよ。いまお金を払うから、もし工場が完成して大量生産できたら私の所に送ってくれ。はい、これ住所。」


「お金は...一つ1.5Gなので、とりあえず10個買って15Gで良いですか?」


「そんなに安くて良いのか...これなら経験上1つ10Gでも売れるぞ。」


「良いんですよ。これで。」


「...わかった、じゃあこれが15Gね。また来るから!絶対に!今度は缶詰買うから!」


「ありがとう!またね」


 彼にカップラーメンと缶詰を宣伝した。どっちも気に入ってくれたみたいだ。やっぱり日本初の料理はどこでも人気なんだな。地球を飛び越して、異世界の住民さえも虜にするなんてな。



 あれから3日後、工場は完成し早速稼働を開始した。大量生産もうまくいっている。工場内には色々な仕組みを搭載しているため、衛生的にも味的にもスピード的にも生産性に優れている。これも仕事をしてくれているみんなのおかげだ。


「シュウヤ様!これは美味しいですね!警備の合間にさっと食べれるカップラーメンは優秀な食品です!」


「そうだろ!」


 お次は色々な所に宣伝に行った。オルネジア王国のワズに真っ先に宣伝に行った。


「...なるほど、これはさっと食べたいときも、緊急時にも使えるな。しかも安いから、できるだけ大量に輸入させてもらおう。まずは100箱の缶詰とカップラーメンをお願いしよう。」


「はい!ありがとうございます!」



 ヴァルファン王国にも宣伝に行った。お金持ちなので大量に輸入するよう約束することができた。そして工場もさらなる増産体制に入った。一日何千とつくるように要請した。


「そう言えば、アイゼンフェルトさんにも送らないとな。」


 僕はアイゼンフェルトさんにカップラーメンを送った。無事に届いていればいいな。


 工場が出来てから国がさらに活気づいた。工場一帯を「カンズメルシティー」として街を作り社員や工場作業員用の寮を作ったりその家族の家を作った。またそこに小さな食品店を作ってやって、そこを憩いの場とした。僕は大満足だ。生産者にも消費者にもメリットがある街や国を作れたからだ。


「国も大きくなっている...次はイセ王国も何か産業の拠点にさせたいな。」


 僕は希望を膨らませていた。さらなる世界の繁栄を目指して。



「管理者様。『シュウヤ』から荷物が届いています。」


「おお、やっと来たか!じゃあみんなで食べてみようか。」


「もしかして、いつの間にか無断で経費を使っています?」


「いいじゃん、私は管理者なんだしさ...」


「「だめです!私達が困ります!」」


「...今後は気をつけますよ」


 今度はカップラーメンを買ったお礼としてシュウヤに愚痴でも聞いてもらおうかな。

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