第11.5話 おまけ その頃隣国では

「今日も平和じゃのー」


 わしはワズ=オルネジア。新しい物好きなただの爺だ。でも一応この国の王として君臨している。一応名前に国の名前が入っているから継がないわけにはいかなかったのだ。


 平和だなぁと言いながらぼんやりとしていたら、突然幹部が王の椅子の前に来た。


「王!外の門がすごいことになっています!」


「何?敵襲か!?」


「いえ、観光客の列です。100人位います。」


「へ?」


 最近の観光客は1日に3人来れば良いほうなのに、なぜいきなり100人も...わしは思い当たる節がなかった。


「とりあえず、貴重な観光客だ。もてなすが良い!」


「はっ!」


 しばらくして窓の外を見てみた。本当に100人位の人々が観光を楽しんでいた。それ自体は良いことだが、なぜ一気に来たのだろう...?


「古い国と聞いたが、意外と斬新な物が多いな!」


「どうやら、王は新しい者が好きみたいだぜ。」


 その通り。わしは古めかしいものがきらいじゃ。


「この軟膏は色々な傷に効くらしいわ!」


「なにそれ良いじゃない!」


 ここは一応薬草の産地でも有名だからな。他のイメージで埋もれてしまっているが...



 ...なかなかいい反応をしてくれているじゃないか。シュウヤの気持ちっていつもこんな感じなのか?とても嬉しい気持ちだ。観光業に力を入れるのも悪くないかもな。メモメモっと。


 でも観光って難しいよな。またシュウヤにノウハウを聞いてみようかな。新しい国から色々とノウハウやテクニックを聞くのも変な話に思えるかもしれないが、わしにとっては新鮮な気持ちなれてとても良いことだと思っている。


 そんな事を思っていたら、また我が部下が報告にやってきた。


「王!一気に観光に来た理由が分かりました!どうやらシュウヤとヒカルが宣伝をしたみたいです!」


「なるほどな。」


 もしそういうことなら思い当たることがある。わしは彼らの旅行前にここに寄ってもらって手紙を隣国へ届けて貰う用を頼んでいた。


「手紙を渡しておきますね!」


「ありがとな。あまり大した内容ではないが...」


「ワズに今までしてくれた事を思えばこんなこと朝飯前ですよ!」


「ハハ...いつか恩返しを待っておるぞ。なんてな。」


「恩返し...か。いつかしておきますよ。」



 この会話中の「恩返し」と言うのがこれなら本当に喜ばしいことだ。わしは7割冗談で言ったつもりなのに、本当にしてくれるとは。でも旅行目的で行ったのではないのか?


「その宣伝は『自由市』で行った物だとも観光客の1人が言っていましたね。」


 なるほど、アルビーグ王国では確かに港町ならではの自由市が行われる。そこでは多分料理を販売したのだろう。あそこはどんなものでも市場としてどの国よりも一番自由に販売できる。そして宣伝にはサンジーフの事と我が国オルネジアの事も書いてくれたということか...


「ありがたいことだな。これはお礼をしなければならない。」


「そうですね...ですがお礼となると...」


「わかっておるよ。彼らには国の土地をあげてやってもいい。それくらいの恩と付き合いはあるからな。」


「...王自らそう言われるならもし私達が拒否しても行いますね。」


「よくわかっているじゃないか」


 わしは早速電話をかけた。お礼をしようと思ったからだ。彼らの今までの働きを見れば国の土地の数%くらいならあげてもいい。でも決めるのはシュウヤだからな。


「突然の電話でびっくりしているだろうな。」


 わしは電話をかけた。さあ、どういう反応をするのだろうか...


「はい、もしもし!サンジーフ王国国王のシュウヤです!」


 意外と元気が良いな。いつもこんな感じなのか?わしはまた羨ましくなってしまうな。

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