第3話 仕事
僕はシュウヤ。今日は重要な会議があるので、僕の仲間たちを呼んだ。なんて言ったって、僕が国の名前をつけるのを忘れてしまっていたのだ。よく今まで国の名前無しでやっていけれたなぁと思ったほどだ。
「みんな、来てくれてありがとう!じゃあ早速だけど、新しい国の名前は何が良いと思いますか?」
「はーい!俺の尊敬するシュウヤ様のために『シュウヤ王国』なんていかがでしょう?」
「だめぇ!てかそもそもなんですぐ僕の名前をつけたがるの?」
「だってよお、やっぱり文化はお前がつくったものだしさぁ...」
僕は3人にはまだ日本のことや僕の前世を話していなかった。なので僕は僕のここまでのすべての事を漏らすことなく喋った。
「そういうことだったのかぁ、地球とかいう星から来たやつなら俺はもう一人知ってるぜ。また今度話すが。」
「なになに?シュウヤみたいなのがたくさんいるってこと?」
「少し興味がある...」
僕はみんなが話している中迷っていた。国の名前だが、できれば日本から取りたい。すべて音読みして「ヒーホン」?いや日本っぽさが無くなってしまう...日本と言えば富士山...あ、そうだ。
「新しい国の名前として『サンジーフ』というのを提案する。これでどうだ?」
「『サンジーフ』!響きが好きだぜ!俺は良いと思うぜ!」
「良いと思う!とっても!」
「私も...賛成です...」
「ふっ、我が恩人の言うことだけあって、素敵な名前ではないですか!賛成!」
重要な会議の割には意外とあっさり決まった。「富士山」から「山」以外を反対にしただけの「ザギンでシースー」的な壊滅的なネーミングセンスだが...
そして次に3人には役職を持たせることにした。防衛担当はもう居るからな。残りは...
「計算が得意な人は居るか?お金の計算ができれば上出来なのだが...」
場がシーンとした。みんな計算もお金のことも触りたくないようだ。
「しょうがない。お金の問題はしばらく僕が引き受けるよ。またいつか雇わないとなぁ...」
難しい話になるが、基本的に国に必要なのは立法権と行政権と司法権。これは地球に居た頃に興味があって予習したものだ。...じゃあ、3人をうまく立てられれば良いかな。
サラを三権分立の立法権、法律を作らせ管理するようにしよう。リサとバレットを司法権、罪人を罰するところに所属させよう。後は僕と、一人じゃ足りないからヒカルが行政権、政策を実行することにしよう。いつか人も集めて議会も開きたいな...
「よし!決めた!サラは、この国の法律をつくってくれ。あと観光の政策も決めてほしい。リサとバレットは裁判所のような役目をさせるが今のところは仕事がないため、リサは国の方針を決めるように。バレットは兼任で公共の衛生管理を担ってもらいたいため、後で来てくれ。そしてヒカルはバレットに色々教えた後で一緒に行政の仕組みを決めよう。君のノウハウが生きるときだ。では、早速頼む!」
「「「「はい!」」」」
僕は初めにバレットの所へ行き、温泉や水道の管理方法や、日本での食品衛生や保健衛生での基礎を教えた。また国民が増え飲食店や薬屋が増えても良いように衛生についての認定制度を作り、認定がないとそれらの店は運営できないというふうにしよう。
「さすがシュウヤ様!素晴らしい知識と発想力を持ってらー!わかった!私なりに頑張ってみるぜ!」
バレットはああ見えても結構頭が良いらしい。あとは敬語を今度教えよう。
「うん、よろしく!」
次はヒカルの所に行った。一緒に行政の仕組みを決めるのだ。
「やはり、シュウヤ様を王に立てて我々はそこに従うのが良いのでは...」
「それはあまり良くないよ。せっかく三権分立にした意味がないじゃない。だから僕から提案ね。僕は王になってもいい。けれど僕が、もしなにか変なことをしてもどうにか対処出来るように最高機関を作れるという決まりにしよう。『国民の6割以上の賛成があればいつでも王よりも高い権力の機関を作りことが出来る』ということにするのはどうだ?」
使うことはないだろうけど、一応と思った。王の暴走なんて今まで見たお話にもよくあることだったからな。
「なるほど、そうすれば権力の暴走も止めることが出来ると...あとは、なにか考えがあるのですか?」
「うん、後は議会をいつか作りたい。基本的な国の政策を決める機関だ。それは今の君たち4人と、通常の国民2人と、商人や医者などある道に精通している者を3人。計9人を議員としたい。まだ先の話だけどな。」
「それらは素晴らしい!では、そのような事を目標にしましょう!」
意外と難しい話になったが、さすが元王の幹部。同意してくれるのは嬉しい。あとヒカルが僕に忠実なことは良いんだが、程々に休みも与えなければな。考えておこう。
次はリサの所に行った。基本的なこの国の方針やスタンスを決めるように頼んでいる。
「どうだ?基本的なことは決まったか?」
「はい!私は、どんな国の人でも、どんな種族でも歓迎して、商業も盛んに行われる国にしたいと思います!どうでしょう?」
「上出来だ!あとはヒカルとサラにその旨を伝えてくれ!僕が承認したから実行してくれ。と。」
「はい!」
今のところ順調だ。あとはサラの法律づくり。後で思ったのだが、一人で作らせてしまったことを申し訳なかった。あとで謝りに行こう。きっと迷っているはずだ。
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「法律は基本的なことは抜け穴なくすべて出来たつもりです...確認をお願いします...」
「え?」
草案を読んでみたが、とても素晴らしいものだった。罰則や例外も丁度いい感じだったし。見たところ抜け穴がないのが素晴らしい。色々と裁くのが難しい事を考えながら見ていたが、それに関する事もすべて抜け穴が封じられていた。
「ありがとう!僕の立場ではokだ。あとはみんなに聞いて、多数決で通すぞ!」
「はい...ありがとうございます...!」
結局草案は満場一致で通り、この国の正式な法律第1号となった。後は国民や商人を集め、話を進めるだけだ。僕は色々と大変だったが、忙しくはなかった。楽しさすら覚えた。とても有意義で良い時間となった。
僕の異世界日本生活は、良い幕開けを迎えたのであった。借金を除けば...
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ここはサンジーフ王国の門の前。
「これが新しい国か...確かに栄えそうな感じはする。あとは我が元幹部を惹きつけ、恩人となっただけある王がどれほどの者か...この目で確かめてくれよう!」
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