第2話 隣の新参の国がやたら騒がしいので
僕の名前はヒカル。高貴なるオルネジア王国の王直属の、幹部といったところだ。僕は実を言うと異世界転生をしたのだ。ただどの星、どの国から来たのかを思い出せない。僕は聞いたことがある。これは本当に稀なケースで、転生したときに一部の記憶が欠損して転生してしまうというものらしい。
まあ、今日はそんなことを話すのではなく、新しく出来た国の視察だ。最近国が出来たらしい。僕の部下が宣伝を見て意外と近い国だと教えてくれた。だから今日は、その国の視察と、我らの国に脅威があるかを確かめる。なぜ直属の幹部が行くのかと疑問に思ったが、これも王の指示なので仕方がない。理由を聞いても無駄だからな。
門の前についた。僕は中途半端に居るのが嫌いな人なので、思いっきり入ってみることにした。
「ええい!ままよ!」
扉を開けた瞬間、すごい風景が広がっていた。どこか見たことがあるような、どこかノスタルジックなごちゃごちゃとした街が広がっていたのだ。しばらく無意識に見とれていたら、誰か人がやってきた。
「お前は、観光客ですか?」
「おーい!敬語でちゃんと話さないとぉ!『お前』は観光客に対して失礼でしょ!まったく...あ!」
「...二人とも失礼なことをしてしまいましたね...ご用はなんですか?観光ですか?」
どうやら、平和な国のようだ。私は安心した。いきなりなにかが飛んでくるかと思って身構えていた剣もそっとしまって、自己紹介をした。まったく、僕の心配性は治らないな。
「こんにちは、僕は隣のオルネジア王国直属の幹部のヒカルと言います。今日はこの国へ我が国への脅威がないか視察に来ました。そういえば、御三方のお名前は?」
「俺は!あ、僕はバレットって言うんだ。いや、言います。よろしくおねがいします!」
「私はリサって言います!よろしくおねがいします!さっきはごめんなさいね、私の仲間が迷惑をかけてしまい!」
「私は、サラって言います...よろしくおねがいします...私達はこの国の職員を任されています...私達の国の主はシュウヤと言います...お願いします。」
3人全員特徴的な人だが、優しい人そうな感じがする。争いは好まない人という感じもする。
「うん、よろしく頼むぞ。特に何もなさそうだが、一応視察して報告書をまとめないといけないからな。じゃあ、視察という名の観光をさせてくれないか?」
「良いですよ!私達はあなたを歓迎します!今も何人か来ているのでまとめてガイドする予定でした!こちらへどうぞ!」
彼女らに連れられて街の中央と思われるところに来た。やっぱりどこかで見たことがある景色なんだよなぁ。どこかは思い出せないが...
「皆さん!集まりましたか?今日は20人も!来ていただきありがとうございます!歓迎の言葉として、我が国の主であるシュウヤ様に挨拶をしていただきます!」
シュウヤとな?この新しい国の主か。観光客に向かってどのような挨拶をするのだろう。挨拶で人の性格も大体読み取れるからな。
「「なあ!恥ずかしいって!様は良いってさっきも言ったでしょ!」」
「「まあ、そう言わずに、もうちょっと主らしくしてくださいよ
!」」
「えっと、今日はこの国へ来てくれてありがとう!そう、僕はこの国の主であるシュウヤと言います!今日は皆さんにこの国の観光を十分にしてもらって、気に入ってもらうことが目的です!では早速、案内のものが観光名所などを一緒に行くので、ついていってください!今日は楽しんでいってください!」
とても良い人柄だった。これは隣の国のものとしてぜひ挨拶に行きたい。他の観光客が行った後に、僕は挨拶に行った。この国の主の者へ。
「こんにちは、私は隣国オルネジア王国の幹部で、ヒカルという。あなたがシュウヤ様ですね?少しお話を聞きたいのですが。」
「おお、隣国のおえらいさんが来てくださったんですね!光栄です!しかし、お話とは何でしょう?」
「うむ。私は色々な国を見てみたのだが、この国はどこか見たことがあるような気がするんだ。そう。転生前の記憶は、転生のショックで忘れてしまったんだ。が...なぜか見たことがある感じがする。答えてくれないか、この国はどの国をモチーフにしたのか」
「それは、『日本』という私が前世で住んでいた国をモチーフにしています!とてもいい国ですよ!」
「日本...あ!!」
僕は急に思い出した。フィルム映画のフィルムのように。そうだ、僕は日本に生まれて17歳まで生活していたのだが、事故で死んでしまったのだった。そして天使の前でこの異世界を選んで、王の幹部として雇ってもらったのだ。そうしたらたまたまこの国に来て、もやもやしていたことを晴らしてくれた。まさに恩人というものなのか...
「...ありがとう、君は僕が日本にいた頃の記憶を思い出させてくれた。恩人だよ。」
「ええ!ヒカルさんも日本出身だったんですか?ぜひお話聞きたいです!」
「わかった。ではゆっくりお話をしよう。双方が満足するまでな。」
日本での観光地の話、食べ物の話、流行っていたものの話とか、話していくうちにどんどん仲良くなっていくような感覚だ。
気づけば僕は夕方まで話し込んでいた。話しているうちに僕の色々なことが思い出される。そして同時に、この国で雇われたいと思うようになった。なぜかってかというと、恩返しとしてだ。
「今日は、ありがとう。長いことお話が出来たよ。」
「すまん!」
「え?どうしたの?」
「お願いがある。どうやらこの国は警備が薄いようなので...いや、正直僕はこの国に居たいので、国籍を取得して何かしらの役職につかせてくれないか?誠心誠意働くことを約束しよう。」
「...良いんですか?大したお給料も渡せないし、この国には借金もあるし、そもそもあなたは他の国の人ですよね?その辺がなんとかなるなら、居てほしいです。あ、あと、あなたの言ったと通り、この国の警備を任せたいです。」
「そのことなら安心してくれ、給料がなくても、借金があってもだ。あと国の幹部の事は、明日話をつけてやめさせてもらう。では、よろしく頼むぞ、シュウヤ様!」
「だから様付けは恥ずかしいんだって...まあ、悪くないな。これも!」
僕らは熱い握手を交わした。あと、同盟もオルネジアと結ぶように提案してみたが、喜んで受け入れてくれた。僕はこの国にこそ居るべきだと思った。
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「王!話があるのですが!」
「聞いたぞ、お前が前世の記憶を思い出して、あの国を恩返しに発展させたいと。私の部下が隠れて聞いていた。もちろん私は、許可しよう。同盟も結ばせてあげよう。私もあの国に少し興味を持った。」
「はっ!ありがたき幸せ!よろしくお願いします!」
「うむ!だが記憶を思い出せたのはこんな些細なことからだったなんて、あの『シュウヤ』とやらはお前にとって本当に恩人だな。命をかけてでも彼のために、あの国のために働くのだ!」
「はっ!」
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「...と言うことで、正式にこの国の警備係の係長になった!ヒカルだ!よろしく頼む!」
「無理はしなくていいよぉ!...でも、この国は危なっかしかったからなぁ、こちらこそよろしく!」
彼はとても喜んでいた。私もこの国を守ることが出来て幸せだ。そして同盟の話も進んでいてとても良いことだが、一つ疑問が残っていた。
「...そういえば、この国の名前は何だったのだ?僕は一度も聞いていないぞ。」
「そういえば!私達も聞いていなかった!」
「え...」
彼、主の顔は真顔になった後、だんだん青ざめていき、ついには倒れてしまった。
「シュウヤ様!大丈夫ですか?」
「クニノナマエ スッカリワスレテタ...アア」
「「「シュウヤ様あぁ!」」」
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