異世界で日本を再現したら仲間と億単位の借金ができました。〜異世界の国造りは少しでも楽しみたいので色々と頑張ります〜
オモ四郎
第1章 国の基礎をつくる編
第1話 異世界で日本を再現してみた
僕は崎野秀也という。日本に住んでいて、今は中学生だ。僕は今日、大人気のゲームが発売されると言うのでまるで小学生のようにはしゃいでいた。そのゲームは10年くらい前からあるPCゲームで、すごく有名。
でもそれだけでは小学生のようにはしゃいだりはしない。そのゲームは世間全体に発売される前に抽選販売で売られていて、たまたまそれを当てて手に入れたのだ。
「今日は徹夜でやりまくるぞ!」
部活が終わってもう夜の6時。外は薄暗くなっていた頃だった。ゲーム開封を楽しみにしながら歩いていたら、向こうから勢い良く走るトラックがいた。またその先には、明らかに僕より小さい女の子が交差点を歩いていた。
「危ない!」
僕はあの子を守るためにとっさに前に飛び込んで、死んだ。トラックに轢かれたことによる出血多量などが原因だ。僕はしばらく暗闇の中をさまよっていたが、しばらくして目を開けることが出来た。そこには、人間が考えているそのまんまの「天使」がいた。
「あなたはすごくかっこいい死に方をしました。あの女の子は生きています。このことはこれから転生する世界でも誇るべきものです。」
いきなりそう言われた。少し恥ずかしかったけど、嬉しかった。あの子が生きているなら、自己評価でもA、あるいは◎(二重丸)をつけるほど。人として良い死に方をしたと思う。ううん、自画自賛。
「そういえば聞きたいことがあるんですけど...」
「買ったゲームなら両親が仏壇の前に置いてありますよ?そのことではなくて?」
「ゲームも残念だけど、さっき『転生』って言ったよね?僕、本で見たんだけど、結構きついやつだよね?冒険だったり世界を救うだとか...」
「そのような質問でしたか!それなら大丈夫です!あなたのお好きにこの『オープン異世界リスト』から自由に選ぶことが出来ます!」
「なんですか?その『オープン異世界』って...?」
「要は先人たちによって作られた、誰でも自由に入れる異世界に参加できるということです!またこれは、自由に作ることも出来ます!簡単にその異世界の特徴・規模などを決めていただいて、参加可能範囲として『オープン』か『招待制』、または『クローズ』を設定いただければ異世界を作り、そこの管理者になることが出来ます!」
「まるで地球上にあるSNSに似ていますね。ていうか、『オープン』はわかるんだけど、あとの2つはなんなの?」
「『招待制』は例えば自分の仲間などを招待することによって、その人たちが死んだあとに、このような場で招待通知としてお知らせできるというものです。ですが最終的な決定権は招待された人にあるので、必ずしも集まるとは限らないですね。
『クローズ』は面白くないので個人的にあまりおすすめしませんが、一人で異世界生活を楽しむというものです。一応モブキャラは用意できますが、指定された行動のみしか出来ないので、面白みが欠けてしまうのです。どうします?」
招待制は友達が多くないとだめだし、しかもその友達も年をとってないとすぐには来ないだろうし。クローズはあまりにも寂しすぎる。やっぱり人のオープン異世界を見させてもらおう。
僕は天使に頼んでリストのカタログをもらった。できるだけ参加人数が多く、活発なのが良い。でも活発なのは大体冒険物だ。僕は端から端まですべて細かく見ていった。そして僕はある異世界を見つけた。
「『自由生活』というサーバっじゃなくて異世界にします。」
「わかりました!それではこちらから記念品としてなんでも能力を1つと道具を1つだけ与えましょう!何が良いですか?」
「自由生活」という異世界では任意で新規参加者のために1つの国を作ってくれて、そこだけの部分的な管理者にさせてくれるらしい。となればこれしかない...
「能力は建設に優れた能力。道具は日本列島のすごく精密で詳細な地図をくれ!」
「ほほう、わかりました!では転生先に送っておきますね!では楽しい異世界ライフを〜!」
その瞬間。僕の体は浮いて、一瞬の間でその世界に飛ばされた。
「す、すごい...!」
眼の前に広がっているのは、広大な景色。そしてすぐ底に鐘があった。どうやらここがリスポーン地点らしい。人もたくさん居る。そしてメッセージが届いた。
「Welcome to “自由生活” あなたに贈り物が届いています。受け取りますか?」
「はい」と受け取ったものをみて僕はびっくりした。すごく精密な日本列島の地図だ。一つ一つの家や施設がきれいに書かれていた。そして能力だが、僕はなにかすごいものが自分の体の中に入っていくのを感じたため、それが能力だなと思った。またメッセージが届いた。
「管理者からのご案内: この世界では部分的な管理者を募集しています。一つの『国』として土地を差し上げるので、この際に部分的な管理者になりませんか?もちろん物資や人員の調達もいたします。」
よしきた、と早速受け入れた。そしたら、またさっきのような感じにテレポート的なことがなされた。今度もまた、本当に広大な大地にスポーンされた。が、草や木くらいしか生えてなく何もない。ここから自分たちで整備して国を作れということか。
「管理者: この度は管理者の仲間入りおめでとうございます。管理者一同、心より歓迎いたします。
この世界では、国ランキングを設けていて、順位が高い者には、ギフトを送っております。そうして、お互いの国を強めあって行くのです。
では、あなたの国造りを応援しております!
この世界の総管理者 A」
さっきのメッセージとこのメッセージで大体のことが理解できた。しかし「A」とは...?まあ良いと、さっそく国をつくろうと思ったが、どこから始めるべきなのかと思っていた。
僕はさっきの地図を見ていた。東京から作るのもいいが、それだとありきたりすぎる。そもそも田舎にするべきか、都会にするべきか。まずはそこからだ。
そういえばと思い、ふと指で四角を作ってみたらメッセージが来たときのような画面が出てきた。そこには僕の思い通り、この世界のマップが出てきた。僕はこの世界の国々をもとに、分析をすることにした。
「目まぐるしい都会もあるし、なにか懐かしさを感じさせるようなド田舎まであるぞ。西洋の町並みもあるが、今回は日本を作るから関係ない...うーん。」
「そうだ」
僕はある日旅行に行った日のことを思い出した。もちろん地球にいたときのこと。離島に船で行って、色々食べてきたのだ。ぼくはあの雰囲気が大好きだった。あの雰囲気を真似れば良いのだ。海がないし離島でもないが、あの狭い中島の中はごちゃごちゃしているのに、ゆったりと時が流れている。どこか懐かしさを感じられる国。
「うん!それだ!」
僕の能力の「建築に優れた能力」を使って頭には既に特徴通りの建物と町並みが浮かび上がってくる。僕は試しに街の中心となる「役所」を作ろうとした。だが、人が足りない。いくら建設に長けていても、力はない。1人しかいないからそうか。でも人と物資は最低限届けてくれると言ったよなぁ。僕はふと画面を開くと「人員・物資要請」というアプリが入っていた。多分管理者専用なんだろう。僕はそれを開いて、指示通りに入力した。
「人員は60人。物資は外壁用のいろんな素材、道用のアスファルト、白線、砂、砂利、それらの加工道具...と、これで良いのかな。」
そして次の瞬間。一瞬にして人が60人。頼んだ物資が全て来た。
「おお、すげぇなぁ...これが管理者の力ってやつか?」
「私達は、あなたの国の建国をお手伝いをするために来ました。何なりとお申し付けください。」
僕は早速指示した。日本列島の地図から「役所」を拡大してみせた。あと、日本の道の特徴。左側通行で、歩道は広めにとってほしい。ついには役所だけでは物足りず、追加の人員240人を呼び、ライフラインを作らせることにした。すぐそばに大きい山があるので、山水を消毒しきれいな水にする設備と水道管を注文して人員に作らせた。あとは人が住めるようなところ...色々と注文したら、突然メッセージが出てきた。
「警告: 一日に注文できる物資は50件までです。あなたは今49件注文されました。」
「おお、あっぶね。」
ちょっと僕がびっくりしている間の、あの人たちの活躍はすごかった。なんと僕が言ったことがすべて出来ている。しかも再現度が高い。僕のあんな語彙力から作ってくれるなんてと、少し感動していた。
「みんな、ありがとう。今日は泊まっていってください。僕も君たちが作った建物で一夜過ごしたいんだ。」
僕らはできたての建物で一夜過ごしたが、いつの間にか布団も出来ていた。どうやら近くに綿が大量に出る植物があったらしく、それで作ってくれたのだ。僕がしれっと言った要望まで聞いてくれるのは素晴らしいなぁ。
僕の異世界管理者ライフは、いい感じにうまくいった。初めの一歩さえうまく行けば、あとは大丈夫なはず...!今日はすぐに寝てしまった。
...異世界に転生しておよそ3年がたった。あの人たちは去り、僕の国はほとんどそのまま日本の風景になっている。自然と都会を融合させたごちゃごちゃとした景観にした。そして更には日本のレストランも真似た。ファミリーレストランから、ファストフード店までね。日本の素晴らしい景観や料理もそうなのだが、文化も多く取り入れた。さっきのレストランもそうだけど、この異世界にある多くの物から極限にまで似ている料理も作った。もちろんその監督は僕さ。僕以外ここでは知らないからね。
いつの間にか、自分が3年前に死んだことも忘れていた。今度は自給自足にも手を付けていた。さすがに物資も頼み過ぎではいけないからな。そう思っていた矢先、突然の通知が来た。
「管理者からのメッセージ: 国造りお疲れ様です。あなたの国は今日で3年が経ちました。なのでいわば3周年です。いきなりこんな話で済まないんだが、3年経ったら色々と注文したお金を払うという規約になっている。素材費・人件費も含めて30億G(ゴールド)となる。流石に注文しすぎで値段も高過ぎなので、1年待ってあげよう。では、健闘を祈る」
「え!?...はぁ...」
今にも死にそうなくらいショックだ。30億Gとは相当すごい額なのだろう...1年待ってくれるのは優しいが、そこまで稼げるのか?
そして今、僕は家をたくさん作ったくせに国民が僕以外一人もいないことに気づいた。あまりにも3年間夢中になっていたのだ。地球で生きていれば今は卒業式だ。でも僕は同級生たちよりも立派なことをしていると思っている。でもそんな戯言を言っても借金は消えやしない。
僕は住民を呼ぶことにした。だがどうやって呼ぶかわからない。なので、最初のリスポーン地点の街に行ってみた。確かそこには役所があったはずは
「すみませーん」
「はい!こちらは相談窓口ですが、どうなさいましたか?」
「僕は一国の管理者なのですが、その国について宣伝する方法は有りますか?僕は今借金に困っていて、観光でも集客したいんです。できれば永住してくれるのが一番いいけど。」
「借金の相談なら、初心者応援制度で多少安くできます。あなたのここでの生活年数と、借金の額を教えてください。」
「3年で、30億Gです。」
「30億G!それは本当なの?そもそも3年では初心者応援制度は受けれないけど、30億Gってそのへんの都会の国3つ位を運営できる額は軽く超えますよ!?」
「ええ?!」
僕は驚いた。何にしろ、僕はお金を一銭も持ってないし、それで国をそんなに運営できることに驚いた。いやでも、僕の国は逆にそれだけこだわっているということになる。3国の文明を合わせたものを遥かに凌駕しているかもしれない...!なんてね
「とりあえず、宣伝してください。」
「...わかりました。ではあなたの国の写真を10枚程度と、その国の魅力を2、3行で書いてください!そちらがその紙です。」
「...ありがとうございます」
2、3行って学校じゃあるまい...よし、写真とって文章を書くか!
数日後。僕はまたリスポーン地点の街に来た。
「宣伝、これでお願いします...」
「わかりました!...って言うか、かなり独特な国ですね...あ、宣伝はちゃんとしておきますね!」
「そんなに独特ですか?」
「ええ、あの宣伝掲示板を見るとわかりますよ。」
僕は国を持ちたいからとわくわくしていて全く無視していた。が、少し掲示板を見てみると見たこともない文化が広がっていた。僕は全然見たことがない文明がたくさんあったので、わくわくしていた。
「今度暇が出来たら遊びに行こうかな。はぁ、今日は疲れたし自分の国に戻って休むとするかぁ」
国に帰ってきた。そういえばまだ国も名前すら決めてなかった。明日決めよう。と思っていて門を潜ろうとしたら複数人の人が立っていた。
「あの、ここが『日本』とやらを再現した国ですよね?」
「俺達掲示板を見て独特な文化だなぁと思って来たんだが、一泊止めてくれないか?お金はちゃんと払うぜ。」
「実は私、この国に興味があるのかも...実は私達、この辺で迷ってしまって...」
温泉で疲れを取って寝ようと思ったのに、まあ良いか、これが初めての観光客だし。逃すわけにはいかない...!
「もちろんです、どうぞ!旅館ならあそこに有りますよ!ですがあいにく国民が一人もいないので、ほぼセルフサービスにはなりますが、やり方はすべてここに記してありますので参考にしてください。後この本は大事に、一冊しかないので...」
「ありがとう!じゃあ今日はそこで泊まって、明日観光してみるよ!」
「...はい!」
初めてのこの国への客!かなり嬉しかった。やっと自分がやった努力が報われた感じですごく良かった。そして何より初めてのこの異世界のお金!そういえばいろんな異世界があったけど、他も違う通貨なのかなぁ、それとも世界のテンプレートみたいなのがあるのかなぁ...いつの間にか僕はぐっすり眠っていた。
朝になった。僕の半分住んでいる今まで一回も機能を果たしたことがない役所にあの3人組が来た。僕は急いで起き上がった。
「おはようございます!昨日は泊まらせていただきありがとうございました!今日も観光の同伴をよろしくお願いします!私の名前はリサって言います、これからもよろしくおねがいします!」
「おっす!俺はバレットって言うんだ!昨日の旅館のベッド!床にほぼ直に横たわる珍しいベッドだったけど、すごく寝やすかったぞ!そうそう、俺達は冒険でのパーティーなんだ。これからも世話になるぜ!」
「おはようございます...私はサラと言います。昨日の旅館の夕食。珍しい食べ物ばっかり並んでいて、とても良かったです。生魚をあの麦粒の塊のようなものの上に載せて大豆ソースにつけて食べる料理、すごく興味深いです。後でお話伺いたいです。これからもお願いしますね...」
「皆さんおはよう!僕はシュウヤって言います!僕は皆さんのことをこの国の第1号の観光客として国をあげて歓迎いたします!まあ僕しか国民はいないんですけどね...」
「おう!お前は何を言っているんだ!俺達は『これからも』と口を揃えて言ったんだぞ!ということは、この国の住民になりたいんだ!って事だよ!」
「...え!それ本当?」
「私達は旅館までの移動のときに本当に誰もいないことに気づいたの。だから、私達を国民にさせてよ!できることはたくさんするから!」
「私も...リサと同じ考え...」
「それならなおさら嬉しいよ!ありがとう!じゃあ、手続きをしてください!一応国民が増えたってことを報告しなきゃいけないからね!」
住民登録の手順は意外とサクサク進んだ。まさにこの日のために、地球にいたときに公民とか社会制度を先取りして勉強してたのかな。
そして僕は早速3人を連れて国を観光、いや、巡ってみた。もう観光ではない。彼らは「国民」だからね。
「そういえば、ここには飲食店はあるんですか?」
「はい、たくさんありますよ!国民は私達以外にいないので、店員は居ませんけど...」
僕が以前つくったこだわりのファストフード店がある。そこにつれていき、みんなに振る舞った。みんなは物珍しそうに食べ物を見た後、それを食べて喜んでいる。とりあえずほっとした
僕はある話を持ちかけた。それは、この国の職員にならないか。ということだ。この3人とならこの国を支えて行けるはずだから...きっと
「ねえ、君たち...いきなりだけどもし良かったら、この国の職員になってくれない?借金があって給料はまともに出せないけど...」
「良いぜ!俺達に何でも任せてくれよ!」
「私も賛成!」
「私も...」
「みんなありがとう!じゃあ早速だけど、仕事をしよう!まずは国の宣伝からだね!大変になりそうだから、明日あたりから少しずつやっていこう!」
「はい!」
僕らはこの国の宣伝を始める準備をした。まずは隣の国の旅人、冒険者から始めるつもりだ。そして永住させて、国の力をつけて、そしていずれ借金を返す...僕の目標だ。
僕はこの夢と目標を胸に、頑張りたいと思っている。今はまだ国民は僕合わせて4人だけど、いずれ何万人規模の大国にするんだ!と。
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