第112話 ゴーダとの取り引き ⚪︎

 無事クリスタルドラゴンを討伐した上に、各種宝石や珍しい鉱石をゲットし、ほくほく顔で帰って来た次の日、『万屋』開店準備を終えた僕は、開店時間を待っている間にステータスを確認してみた。昨日はかなりの量の魔物を倒したから、相当レベルが上がっているはずだからね。


種族 新人類

名前 ミスト

ランク SSS

レベル 105

体力 2763/2763

魔力    3226/3226

攻撃力   2922

防御力   2858

魔法攻撃力 3471

魔法防御力 3446

敏捷    2882


スキル

特殊進化

言語理解

詠唱破棄

暗視

念話

矮小化

アイテムボックス Lv30

鑑定 Lv30

ステータス隠蔽 Lv30

思考加速 Lv30

生命探知 Lv30

魔力探知 Lv30

敵意察知 Lv30

危機察知 Lv30

気配遮断 Lv30

魔力遮断 Lv30

体力自動回復 Lv30

魔力自動回復 Lv30

幻惑 Lv30

魔眼(麻痺) Lv30

剣術 Lv8

光其全照出者也

炎魔法 Lv8

水其全包込者也

風其全切刻者也

土其全圧壊者也

雷其全討滅者也

聖其全癒蘇者也

結界其全守護者也

時空其時流操者也

重力其全封込者也

猛毒生成 Lv30

麻痺毒生成 Lv30

睡眠毒生成 Lv30

混乱毒生成 Lv30

痛覚耐性 Lv30

猛毒耐性 Lv30

麻痺耐性 Lv30

睡眠耐性 Lv30

混乱耐性 Lv30

幻惑耐性 Lv30

聖無効

闇無効

光無効

炎耐性 Lv8

水無効

風無効

土無効

雷無効

瘴気 Lv30

硬化 Lv30

雷纏 Lv30


称号

転生者 

スキルコレクター

進化者

大物食いジャイアントキリング

暗殺者

同族殺し

加護主

古の種族


 おお! レベルが100の壁を突破している。流石は古の種族。どこまで上がるか楽しみだ! まあ、レベルが100を超える魔物は早々にはいないから、ここからのレベル上げは大変なんだけど……


 そんな感じでステータスを確認していると、すぐに開店の時間となった。僕が入り口のドアを開け、お店を開けるとすぐにドワーフのゴーダが店へと入ってきた。さては待ちきれなかったなこのおじさん。


「邪魔するぞ。それで例の鱗は見つかったか? 何枚くらい拾えたのだ?」


 ゴーダは店に入ってくるなり、大きな声を出しながら僕の方へと近寄ってくる。


 それにしても、拾ってきたとはどういうことだ? クリスタルドラゴンならしっかり討伐してきたんだけど……


「もちろんしっかりと討伐してもらいましたよ。昨日のうちに、ギルドに依頼達成の報告もさせてもらいましたから」


 そういえば、昨日、帰って来てからギルドに依頼達成の報告をしにいったときも、鱗だけ数枚見せて終了だったな。よく見つけたとかなんとか言ってたけど、今考えるとあれも拾ったと思われていたのか?


「はっ! 何の冗談だ? クリスタルドラゴンを討伐? そんなわけなかろう。あやつはSSランクの魔物じゃぞ。Sランクの冒険者がパーティーを組んで、ようやく倒せるかどうかって言うレベルじゃわい。それとも何だ。お前さんのとこの専属冒険者とやらはSランクなのか?」


 やっぱりそうか。ゴーダもギルドの人達も、僕がクリスタルドラゴンの鱗を拾ってきたと思っているのか。確かにあの防御力ならハヤト達であっても倒せるか怪しいけど……


「いえ、ランクで言えばDですが、それはまだ冒険者になったばかりだからで……」


「ほれみろ! Dランク冒険者なんぞにクリスタルドラゴンが倒せてたまるか! 大方、こそこそ隠れていって運良く鱗を拾って……拾って……拾ってこれるか? クリスタルドラゴンが棲息するのは地下迷宮ダンジョン『宝石箱』の奥深くじゃぞ。それこそSランクの魔物がひしめく魔境じゃ。そこでDランクの冒険者がクリスタルドラゴンの鱗を拾ってこれるか? それ本当にクリスタルドラゴンの鱗じゃったのか?」


 ああ、もう鱗まで偽物じゃないかと疑い始めてしまった。もうこれは実物を出した方が早いね。


「百聞は一見にしかずですね。ご自分で鑑定して下さいな」


 僕はそう告げてクリスタルドラゴンの鱗を5枚ほどカウンターに置いた。この鱗、1枚の直径が30cmくらいあるからね。結構大きいし、重さもある。


 僕が袋から取り出した鱗を見るなり、ゴーダの目つきが変わった。鱗を手に取り、目を輝かせてそれらを鑑定しているようだ。


「むほぉぉぉぉ!? 間違いないわ! これクリスタルドラゴンの鱗だわ! まさか本当に手に入れてくるとは! しかも5枚も! これだけあれば、依頼の剣を打っても十分におつりがくるわい!」


 朝一番に確認に来るくらいだからよっぽどほしかったのだろう。ひげもじゃの強面が可愛く見えるくらいほころんでいるからね。


 ところで今剣を打つって言ったよね? これ、もう少し鱗を渡したら僕の剣も打ってくれないかな?


 そう思い、ゴーダに依頼してみる。


「あの〜、もしかして鱗がもっとあればもう一振り剣を打ってくれたりしませんかね?」


 僕の依頼にゴーダの動きがピタッと止まる。そして、真剣な顔つきに戻って話し始めた。


「まさかまだ鱗があるというのか? 1枚でももうけもんだと思っていたのが、5枚も手に入って驚いているところなんじゃが。……まさかとは思うが本当に討伐したのか?」


 最初から討伐したって言ってるのに、なかなか信じないもんだね。ただ、クリスタルドラゴン全部を出すにはこの家は狭すぎる。さて、どうしたものか。


「そうですね。フォッグさんは確かに討伐してくれましたね。クリスタルドラゴンの素材は、余すことなくいただきましたので」


 とりあえずもう一度討伐したことを伝えてみるか。疑うなら求められた素材を出せばいいし。


「それならば、クリスタルドラゴンの爪はあるのか? あれは鱗とは違い生え替わることはないからの。少なくともあやつからたたき折らないと手に入らんぞ」


 なるほど。鱗は生え替わるのか。討伐しなくても運がよければ拾えると。だから、鱗だけじゃ信じてもらえなかったのか。


 僕は一度奥の偽装倉庫部屋に入って『宝石箱』に転移し、クリスタルドラゴンの爪を切り取ってから戻ってきた。そして、その爪をゴーダの前に差し出す。


 ゴーダはその爪を見て固まった。


 しばらく爪を見つめた後、恐る恐る手を伸ばし触れたと思ったらビクッとなって手を引いた。それを何度か繰り返した後、意を決したように爪を持ち上げ色々な角度から眺め始めた。


 だんだんと顔が呆けたようになっていき、目の焦点も合っていないように見える。正直、ちょっと気持ち悪い。


 ゴーダは十分満足したのか、クリスタルドラゴンの爪をカウンターに置き、目を閉じて腕組みをして立ち尽くしている。


「本物じゃ。紛れもない本物のクリスタルドラゴンの爪じゃ。これで剣を打ったらどれほどのものができるのか……このわしでも震えがくるわい。こちらからお願いする。この爪で剣を打たせてもらえないじゃろうか」


 おっと、どうやら剣を打ってくれるみたいだ。よかった。最近は、鋼の剣だと折れてしまうような固い魔物ばっかりと戦ってたから、どうしようか悩んでいたんだよね。せっかく剣術スキルを取ったのに、スキルレベルを上げられないと寂しいからね。


 剣を打つのに2週間ほどかかるらしく、出来上がったらこちらに届けてくれることになった。代金については、鱗代から引いてくれるらしい。それでも、鱗5枚を白金貨4枚で買ってくれた。剣代の白金貨1枚を差し引いてるとして、鱗1枚1000万円か。もうこれ商売する必要あるのかってレベルだね。


 とりあえず、ゴーダさんとの取り引きは無事終了し、大金を手に入れた僕は時々来るお客さんを捌きながら、この家を購入しようと決めたのだった。

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