第94話 ドラゴン族 全面戦争 ①
霊峰ドラゴニアに過激派のドラゴン数十頭が飛来した。元々ここに住んでいた穏健派の数十頭と合わせて、百を超えるドラゴンがこの場に集結するという異常事態だ。
〈久しいなナギニよ。今日こそ雌雄を決するためにわざわざこんな山奥まで来てやったぞ〉
〈抜かせクルドよ。貴様達が住んでいるのも山奥ではないか〉
クルドと呼ばれた過激派のリーダーと、穏健派のリーダーであるナギニが、早速舌戦を繰り広げる。このクルドと呼ばれた過激派のリーダーは、ナギニよりも一回り身体の大きくドラゴン族でも上位種族のダークドラゴンのようだ。
そして、その隣にいるのが噂のNo.2なのだろう。そのクルドよりもさらに大きな身体で、ふてぶてしい表情でナギニを見つめている。うん、ドラゴンの表情は僕にはわからないから、なんとなくの感想だけども。
さて、リーダー同士が会話をしている間にさっさと鑑定をすませておこう。
種族 ダークドラゴン
名前 クルド
ランク SS
レベル 120
体力 1011/1011
魔力 927/927
攻撃力 1142
防御力 1089
魔法攻撃力 998
魔法防御力 1072
敏捷 822
スキル
念話
飛翔 Lv20
咆哮 Lv20
ブレス(闇)Lv21
闇魔法 Lv24
土魔法 Lv20
闇耐性 Lv20
土耐性 Lv20
火耐性 Lv20
猛毒耐性 Lv20
麻痺耐性 Lv20
睡眠耐性 Lv20
混乱耐性 Lv20
種族 フレアドラゴン
名前 アグニ
ランク SSS
レベル 120
体力 1633/1633
魔力 1205/1205
攻撃力 1444
防御力 1351
魔法攻撃力 1298
魔法防御力 1301
敏捷 1049
スキル
念話
飛翔 Lv23
咆哮 Lv23
ブレス(火)Lv21
火魔法 Lv25
風魔法 Lv22
雷魔法 Lv20
火耐性 Lv25
風耐性 Lv22
雷耐性 Lv20
土耐性 Lv20
猛毒耐性 Lv22
麻痺耐性 Lv22
睡眠耐性 Lv22
混乱耐性 Lv22
魅了耐性 Lv22
石化耐性 Lv22
称号
邪神の使徒
おおう、リーダーのクルドはともかくこのアグニってなかなかの化け物じゃないですか。明らかにクルドより強いっしょ。なんでNo.2なんかやってるんだろう?
そしてこいつも"邪神の使徒"とやらなのか。そういえばズメイが邪神はドラゴンの姿をしてるって言ってたっけ? だからドラゴンの使徒がいるのはおかしくないのか?
まあこいつのことを考えるのは後にして、今は目の前のことに集中しよう。確かドラゴン族は全面戦争と言ってもみんなで戦うわけではなかったはずだ。元々数が少ないドラゴン族が殺し合いを始めてしまっては、種族の存続に関わるからね。
そもそもドラゴンは総じて人間よりも知能が高い。そんな彼らがいかに敵対しているとはいえ、その数を大きく減らすようなことをするわけがない。ここで言う全面戦争とは、お互いの代表者3名ずつを出し合い、その戦いで全てを決めるというものなのだ。
ちなみにもう一頭の代表っぽいドラゴンも鑑定してみたけど、ヴォーラにも及ばないステータスだったのでとりあえず無視して大丈夫だろう。現に今も会話には参加せず、クルドとアグニの後ろで黙って見てるだけだし。
僕が色々鑑定しているうちにリーダー同士の話も終わり、いよいよ三頭による頂上決戦が始まるようだ。僕達は山の頂上から少し離れたところにある開けた場所へと移動する。
そこは山をくり抜いてできた闘技場のような形になっており、一段下がった広場を囲むように残りのドラゴン達がずらりと並んだ。
見上げれば百頭を超えるドラゴン達が僕達の戦いの結末に注目している。どちらの派閥もこの戦いに勝利した方に従うことになっているそうだ。もちろん強制ではないらしいが、ドラゴンは強いものに従う傾向があるので、よほどのことがない限りこの決闘の勝者についていくことになるようだ。
〈ふふふ、殺される準備はできたかナギニよ〉
〈ほざけ。お主の方こそ最後の祈りは済んだのかクルドよ〉
リーダー二人の掛け合いとともに、この場の空気が重くなっていく。これはそんな気がすると言うレベルではなく、二頭の殺気でこの場の魔力が濃くなっているのだ。
〈では始めようか。ナギニよ。その方が開始の合図をせよ〉
〈よかろう。では始めるぞ〉
「ガァァァァッ!?」
クルドの言葉に従い開始の咆哮をあげたナギニめがけて、何とアグニがブレスを放ってきた。
(おいおい、これはフライングじゃないか。最初っから狙ってたなこいつら。卑怯な手を使ってでも勝ちに来てると言う訳か。それならこっちにも考えがあるぞ)
僕は進化してドラゴンになってはいるが、次の進化でまたこの姿は変わるだろう。いつまでもドラゴンでいる気はないから、この戦いもサポートに回ってナギニ達に決着をつけてもらおうと思ったけど、相手がこんなに卑怯なら話は別だ。
万が一この戦いでナギニ達が負けたら、ドラゴン族はあいつらに従うことになる。そうなればあいつらはいとも簡単に他の種族を滅ぼそうとするだろう。そんなヤツらに勝たせるわけにはいかない。ここは僕もちょっと本気を出させてもらうぞ。
アグニの不意打ちによるブレス攻撃に対し、僕はすかさず結界を張ってそれを防いだ。アグニのブレスはなかなか強力だったようだが、さすがに僕の魔法防御力を超える威力はなかったようだ。ブレスと結界が衝突した衝撃で舞っていた土埃が収まったとき、無傷の僕等を見てアグニの目が鋭く光ったのを僕は見逃さなかった。
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