第五章 ドラゴン編
第71話 ドラゴンへの進化 ○
オーロラに別れを告げた僕は、ハヤトとサヤカと約束した場所へと向かった。昨日、2人と戦った場所だ。
僕が着いた時にはすでに2人が待っていた。
「時間通り来てくれたのかよ。だが、あのお嬢ちゃんはよかったのか? 大切な人なんじゃねぇのか?」
!? まさかハヤトがこんな気遣いができる人だとは思わなかった!
「お前、俺が気を遣ってやったのが意外だと思っただろう?」
なぜバレた!? ハヤトは心を読めるのか!?
〈いやいや、意外だなんて、そんなことはこれっぽっちも思ってませんよ〉
「嘘が下手くそな野郎だぜ。まぁいい。ここに来たってことは、問題ないってことだろうからな。それでお前さんがあの時言った『考えがある』ってのはどう言うことか説明してもらえるんだろうな?」
昨日はあんなにぼろくそに負けたくせに、なんだこの態度は。そりゃあ確認したら、ハヤトとサヤカの方が年上だったから、怒った後は元日本人として下手に出てあげたけども……まあ、仕方がない。変に怯えられるよりよしとしよう。
〈もちろんだよ〉
僕は自信を持って答える。
「私も早く聞きたいわ。ステータスで劣る私達が魔王に勝てるっていう根拠をね」
一応、2人ともに念話を送っているので、今度はサヤカの方から答えが返ってくる。しかし、サヤカお前もか。お前さんは昨日、青ざめた顔でブルブル震えてただろうが。先輩ってそんなに偉かったのか。
〈実は僕、"特殊進化"っていうスキルを持っていて、ひとつの種族がレベル上限に達すると、別の上位種族に進化できるんだよね。でもって、今、この種族のレベル上限だから、次の種族に進化できるってわけさ。そしたら今よりもっと強くなれるのさ〉
「「!?」」
ふふふ。驚いてる驚いてる。最初から魔人や人間を選んだ2人は、進化するなんていう概念がなかったのだろう。これは苔から始めた僕の特権みたいなもんだ。
「そいつはすごいスキルだな! それで、猫から何に進化できるんだ?」
〈ふふふ、それは見てのお楽しみだよ!〉
ここは少し焦らしておくのがいいだろう。何せ僕が次に進化する種族を言ったら、絶対進化するところを見たいと言い出すだろうからね。
〈それと、進化するのにとあるアイテムが必要なんだよね。今からそれを取ってくるから、先に防衛都市タイタンに向かってほしいな〉
もちろん進化にアイテムが必要というのは嘘だが、進化の時は短時間だけど無防備になるので、ハヤトたちの目の前で進化する気はない。
2人を疑っているわけではないけど、万が一がないとは言えないからね。
ハヤトとサヤカは進化するところを見れなくて残念だとは言いつつ、いつまでもここに留まるわけには行かないので、先にタイタンの街に行くことを了承してくれた。
ちなみに防衛都市タイタンとは帝都の北にある街で、かつて近くにあるダンジョンから溢れてくる魔物から街を守っていたゴーレムの名前が由来らしい。今でこそ、そのゴーレムは動いていないが、その体の一部は街の外に残っているとか。
街を守る巨大ゴーレムとか、男なら一度は憧れる存在だ。
そして、その防衛都市タイタンの北に今回のお目当てである
2人を見送った後、僕は彼らとは反対方向へと歩き出す。ここ1ヶ月囮役を続けていたおかげで、この森についてかなり詳しくなった。そのついでに、進化に丁度いい洞穴をいくつか見つけておいたのだ。そのうちのひとつ、一番大きな洞穴へと周囲を警戒しながら向かった。
(確かこの辺だったはず……あった!)
そこは岩と岩の隙間から入ることが出来る地下に出来た空間で、入り口は狭いが中の広さは学校の体育館ほどある。ここなら十分だろう。
入り口に覆い被さった草をくぐって中に入り、入り口を土魔法で塞いだ。"生命探知"と"魔力探知"を使い周囲に誰もいないのを確認して、洞穴の中央にちょこんと座る。真っ暗な広い洞穴の真ん中に小さな猫がちょこんと座っている。端から見たら随分シュールな光景だろうな。
僕はステータスを開き、進化欄の『ホーリードラゴン』を選択する。直後に自分が光に包まれているのがわかり、洞窟内が明るく照らされた。
身体がどんどん大きくなる。体育館ほどあったスペースがなくなっていく。
(これはまずいか!?)
と思ったが、天井スレスレで巨大化が止まった。
光が収まった時に体長20m、高さ10mほどの美しいドラゴンが姿を現した。
種族 ホーリードラゴン(変異種)
名前 ミスト
ランク S
レベル 1
体力 926/926
魔力 1106/1106
攻撃力 775
防御力 755
魔法攻撃力 1216
魔法防御力 1206
敏捷 1055
スキル
特殊進化
言語理解
詠唱破棄
暗視
念話
矮小化 New!
アイテムボックス Lv30
鑑定 Lv30
ステータス隠蔽 Lv26
思考加速 Lv30
生命探知 Lv30
魔力探知 Lv30
敵意察知 Lv30
危機察知 Lv30
気配遮断 Lv26
魔力遮断 Lv26
体力自動回復 Lv28
魔力自動回復 Lv30
幻惑 Lv28
魔眼(麻痺) Lv24
ブレス(聖)Lv20 New!
光魔法 Lv30
水魔法 Lv30
風魔法 Lv27
土魔法 Lv27
雷魔法 Lv30
聖魔法 Lv20 New!
結界魔法 Lv20 New!
時空魔法 Lv20
重力魔法 Lv20
猛毒生成 Lv30
麻痺毒生成 Lv26
睡眠毒生成 Lv26
混乱毒生成 Lv26
痛覚耐性 Lv26
猛毒耐性 Lv27
麻痺耐性 Lv23
睡眠耐性 Lv23
混乱耐性 Lv23
幻惑耐性 Lv23
聖耐性 Lv20 New!
闇耐性 Lv20 New!
水耐性 Lv30
風耐性 Lv27
土耐性 Lv27
雷耐性 Lv30
瘴気 Lv23
飛翔 Lv15
硬化 Lv20
雷纏 Lv28
称号
転生者
スキルコレクター
進化者
暗殺者
同族殺し
加護主
ステータスは、ミラージュキャットの時の最後のステータスをほぼそのまま引き継いでいる。高ランクになると、あまり弱体化しないようだ。この状態でレベル1という事は、レベルが上がったらどれほど強くなるのか楽しみだね。
新しいスキルも確認しておくか。えーと、まずは"矮小化"だね。これは身体を小さくするスキルか。よかった。このまま大きいままなら、ハヤト達と一緒にいるのも一苦労だからね。ただ小さくなっている間はステータスが半減するみたいだから気をつけなければ。
それから"聖属性のブレス"か。ドラゴンと言えばブレスだからね。炎のブレスも欲しかったけど、それは手に入らなかったようだ。残念。
後は狙っていた"聖魔法"と"結界魔法"を無事ゲットできた。ようやく回復魔法を手に入れることができた。これで万が一ダメージを負っても大丈夫だろう。
それに新しいスキルではないが、"時空魔法"と"重力魔法"のレベルが20になった。お陰で"
"
"
とりあえず、どちらの魔法も優秀そうなので、優先してレベルアップさせていこう。
一通りのスキルとステータスを確認した僕は、早速、スキル"矮小化"を使い小さくなってみた。進化した時よりも小さな光に包まれ、僕の身体は体長30cmくらいまで縮んで止まった。それに合わせて姿形もデフォルメされたようで、ぬいぐるみみたいになってしまった。ちなみに鱗の色は白ベースだが、見る角度によって色々な色が混ざって見えるようだ。これも変異種だからだろうか。
小さくなった僕は覚え立ての"
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