第35話 2匹でSランク? ○

 ファントムタイガーを葬った僕は、次の獲物を探して奥へと進んでいく。ちなみにA+ランクでレベル80台のファントムタイガーを倒したが、僕のレベルは10しか上がっていない。

 いや、10上がれば十分だとは思うけど、Cランクになってからは以前ほどレベルの上がりが速くない。ランクが上がればステータスは格段に上がるが、レベル上げに必要な経験値も格段に多くなっている。AランクやSランクになればますますレベル上げが大変になるだろう。


 それでもAランクやA+ランクの魔物を倒して進んで行くうちに、それなりにレベルも上がっていく。2週間ほどかけて40階層まで到達する頃には、僕のレベルは65へと上がっていた。


種族 アサシンキャット(変異種)

名前 なし

ランク C

レベル  65 

体力    505/525

魔力    613/710

攻撃力   539

防御力   460

魔法攻撃力 699

魔法防御力 695

敏捷    536


スキル

特殊進化

言語理解

詠唱破棄

暗視

アイテムボックス Lv24

鑑定 Lv24

ステータス隠蔽 Lv17

思考加速 Lv25

生命探知 Lv25

魔力探知 Lv25

敵意察知 Lv23

危機察知 Lv21

気配遮断 Lv17

魔力遮断 Lv17

体力自動回復 Lv22

魔力自動回復 Lv25

光魔法 Lv22

水魔法 Lv26

風魔法 Lv15

土魔法 Lv15

雷魔法 Lv18

時空魔法 Lv12

重力魔法 Lv12

猛毒生成 Lv21

麻痺毒生成 Lv17

睡眠毒生成 Lv17

混乱毒生成 Lv17

痛覚耐性 Lv18

猛毒耐性 Lv21

麻痺耐性 Lv17

睡眠耐性 Lv17

混乱耐性 Lv17

幻惑耐性 Lv15

水耐性 Lv16

風耐性 Lv16

土耐性 Lv16

雷耐性 Lv16

瘴気 Lv16

硬化 Lv15

雷纏 Lv18


称号

転生者 

スキルコレクター

進化者

大物食いジャイアントキリング

暗殺者

同族殺し


 隠蔽していないとこんな感じか。


 それにしても、確かここの地下迷宮ダンジョンの最下層到達点は32階層だったような。あっさり超えちゃったな。見た目黒猫だけど。


 さて、ここまで順調に来たところだけど、今目の前には少々手強そうな相手がいる。炎を纏った狼と氷を纏った狼だ。


種族 フレイムハウンド

名前 なし

ランク A+

レベル 88 

体力   399/399

魔力   555/555

攻撃力 432

防御力 345

魔法攻撃力 600

魔法防御力 550

敏捷    488


スキル

咆哮 Lv20

ブレス(火)Lv20

火魔法 Lv20

火吸収 Lv20

風耐性 LV17

雷耐性 Lv17

状態異常耐性 Lv18

炎纏 Lv20



種族 フローズンハウンド

名前 なし

ランク A+

レベル 88 

体力   399/399

魔力   555/555

攻撃力 345

防御力 432

魔法攻撃力 600

魔法防御力 550

敏捷    488


スキル

咆哮 Lv20

ブレス(氷)Lv20

氷魔法 Lv20

氷吸収 Lv20

水耐性 LV17

土耐性 Lv17

状態異常耐性 Lv18

氷纏 Lv20


 この2匹はそれぞれがA+ランクの上位である上に、2匹同時に現れたときにはその危険度はSランクに匹敵すると言われている。ステータスの高さもさることながら、2匹の連携がやっかいらしい。


(どれほどの連携か見せて貰おう!)


 相手は僕を警戒してか、唸り声はあげているものの様子を見るようにその場を動かない。それならば、まずはこちらから攻めるとしてみるか。


「にゃ~」


 地下迷宮ダンジョンの40階層、Aランク以上の魔物達がひしめく危険地帯に、かわいらしい猫の声がこだまする。


 だが、かわいらしいのはその声だけで、僕の目の前には、ドリルのような形状で高速回転している凶悪な破壊力を持った水の塊が浮いている。


(行け!)

 

 少々形を変えて破壊力を増したウォーターバレットを、フレイムハウンド目掛けて飛ばしてみた。


 ある程度の距離を保ったまま様子を見ていたフレイムハウンドは、余裕を持ってウォーターバレットを躱したようだが、甘い!


 僕のウォーターバレットは魔力をたっぷり込めた特別製なのだ。躱されたかに見えた水のドリルは急カーブを描きながら、フレイムハウンドの背後を襲う。


「ガァ!」


 しかし、僕のウォーターバレットがフレイムハウンドに当たる直前に、間に割り込んできたフローズンハウンドによって防がれてしまった。


(なるほど、これがSランクに匹敵するという連携か。確かに2匹合わせれば5大属性全ての耐性が揃ってるからね。魔法による攻撃は、耐性がある方が防ぐという作戦か)


「にゃ~(だかしかし! 分断されたらどうする?)」


 2匹の意識がウォーターバレットを防ぐのに向いていた一瞬の隙をつき、2匹の間に土魔法第4階位"ストーンウォール"を唱え土の壁を創り出した。


 突如現れた土の壁に、反射的に距離を取る2匹の狼。ふふふ、作戦通りに分断することができたぞ。さて、これをどう受ける?


 僕はフレイムハウンドの方には再びウォーターバレットを、フローズンハウンドの方にはこれまた特製の巨大な雷の槍を放ってみた。


 2匹が慌てたように迫り来る魔法を躱そうとするが、残念。僕の魔法は当たるまで追尾し続けるのだよ。


 先程のウォーターバレットを見たから、追尾してくるのは予想がついたのだろう、すぐに被弾するということはないが、何度も躱しているうちに徐々に動きが鈍くなっていく。


 このままではいずれ当たってしまう。そう考えた狼が選択する方法はひとつしかない。


(当然、向かって来るよね)


 術者である僕を先に倒すという選択肢だ。僕を倒せば魔法は消えるし、倒せなかったとしても、土の壁は僕のところで切れている。2匹が合流できればまた同じように耐性を持っている方が受けることで、無傷で切り抜けられると考えたのだろう。


 だが、そうは問屋が卸さない。当然、向かって来るなら返り討ちにするだけだ。


 僕はまず雷纏を使用し自身に雷を纏わせた。バチバチと音を鳴らし、まるで僕自身が雷になったようだ。この時点で、雷耐性のないフローズンハウンドの動きが止まる。

 それならばと、僕は向かってくるフレイムハウンドを標的に定め、水魔法第3階位"ウォーターアロー"を準備する。ウォーターバレットよりもさらに貫通性を増した、鋭く回転する水の矢が、フレイムハウンドを囲むように数十本現れた。


 さらにフレイムハウンドが僕の元に到達する直前に、ウォーターウォールをフレイムハウンドの目の前に作り出す。突然目の前に現れた水の壁に為す術もなく衝突するフレイムハウンド。身体を覆っていた炎が小さな水蒸気爆発となって弾ける。そして、動きが止まったところに数十本の水の矢が襲いかかりその身体を貫いた。


(まずは一匹)


 フレイムハウンドを倒した僕は、すぐさま標的をフローズンハウンドへと移す。雷纏を纏った僕に直接攻撃は無理と判断したのか、魔法で攻撃してくるようだ。


(これは……氷魔法第2階位"アイスプリズン"か?)


 僕を取り囲むように氷の檻が一瞬で出来上がる。が、残念。僕は氷魔法に相性のいい雷魔法を持っているのだよ。


(サンダーウェーブ!)


 雷魔法第3階位"サンダーウェーブ"。僕自身を中心に、雷の波が広がる。


 バキィン! という音がして僕を閉じ込めようとしていた氷の檻が砕け散った。


 さて、次はこっちの番だ! 僕は雷纏を纏ったまま、弾丸のようにフローズンハウンドへと体当たりをする。慌てて身を躱すフローズンハウンド。敏捷では僕の方が上だが、少々距離があったためか僕の体当たりはぎりぎり躱されてしまった。しかし、これでいい。躱すのがぎりぎりになってしまったせいで、雷纏の雷がフローズンハウンドの後ろ足を捉えていた。雷纏まじ最高!


 麻痺状態になって動きが鈍ったフローズンハウンドに、改めて体当たりをかます僕。今度はしっかりと胴体に命中し、雷纏の効果も相まって致命的なダメージを与えたようだ。


(ふう、作戦が上手くいって良かった。2匹でSランク相当といっても分断しちゃえばA+ランクだからね)


 少々傷だらけにしてしまったフレイムハウンドとフローズンハウンドを回収し、少し休んで魔力を回復させた僕はさらに奥へと進んでいくのだった。

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