24ページ目.iデア・ショウジョ
当然、断れないわたしは、おどおどしながら鞄の中から漫画の原稿を取り出して、
海野さんは興味津々で、わたしの原稿をまじまじと見て読んでいる。
「へぇ、面白いじゃん! もしかして女子同士の恋愛物? あたし、こういう物語好きなんだ!」
「あっ、そうなんだ。それは良かった……」
わたしは身を縮ませて言った。
「これって実際にやったら、超ときめきそうなアイデアだよね! ってか、なんかやってみたい気がする」
海野さんも
なぜ、こんな女子同士の絡みをやってみたいという人が、次々とわたしのところに現れるのだろう。
「まあ、面白いというか、ドキドキはするというか……」
とはいえ、実際に先輩と同じことをやった身としては、返事に詰まる。
「あっ、マジ? もう終わり? 超面白くてあっという間に読んじゃった! ありがと」
そう言って足を組んで、海野さんはわたしに原稿を返してきた。
「あ、ありがとう。そう言ってもらえて、良かった……」
わたしはうつむきながら原稿を受け取る。
「面白かったからさ、続きの原稿も持ってきて読ませてよ!」
海野さんにまで、わたしの漫画の続きを期待されてしまった。
「あの……、それが続きはまだ描けてなくて……」
わたしは恐る恐る答えた。
「じゃ、続きが描けるのを楽しみに待ってるよ」
海野さんにそう言われて、わたしは思わず息を飲む。
「じ、実は、その、続きのアイデアが浮かばなくて……、いまはいつ描けるかもわからない状態で……」
わたしは相手の期待に応えられない申し訳なさに襲われながらも、いつまでも海野さんを待たせるわけにもいかないので、ここは正直に答えることにした。
「あっ、そうなの」
それを聞いた海野さんはちょっと驚いたような顔を見せて腕組みをした。
ごめんなさい、海野さん。
わたしが海野さんにがっかりさせたんじゃないかと、自分の情けなさに嫌悪感を抱いてうつむいていると、しばらくしていきなり海野さんは、
「よっしゃ! じゃあ、あたしもふわっちの漫画のアイデア、考えてあげるよ!」
と言って、手のひらをパンと打った。
わたしは目を丸くする。
えっ!? 今日まともに話したばかりの仲なのになのに、海野さんがわたしの漫画、手伝ってくれるの!?
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