第244話 注目されるシルス
もふもふな家の名前を無事決まったこともあり、暫く蒼唯の家に帰ってきていなかったリリスたちを招き、家の説明をしている蒼唯。
錬金術師用装備を作成した段階から、蒼唯の暴走は加速するだろうとは思っていたため、家全体をもふもふ化する旨を伝えられた際にも動揺は最小限で済んだ。
【なるほど、家自ら家事を行うのですか】
「そうです。この家の目玉機能です」
【…他にも機能があることは分かっておりますが、襲撃されても大丈夫なように家を改造した筈ですよね。なぜ家事機能がメインとなったのでしょうか】
「なにか言ったです?」
【いえ、可愛らしい家だなと】
「そうです! もふもふです」
【はい。私が指摘するまでもふもふさ全開でしたからね…間に合って良かったですが】
と言うより、リリスが動揺したのは、もふもふな家の話を蒼唯以外の者から伝え聞いた時であった。
蒼唯的には完璧な家であるシルス。しかし一つだけ大きな欠点がある。
それは目立ち過ぎるという事であった。確かに言われてみれば材質からしてもふもふしている家が住宅街にポツンと一軒建っていれば目立ってしまう。
「流石はリリスです。よく気が付いたです。危うく私たちが住んでいる場所がバレちゃう所だったです」
【……逆に蒼唯様方は何故…いえ、それほどの事はしておりません。それに間に合ったと言ってもアウト気味です。現にこのもふもふな家については、インターネットやSNSで話題となっております】
蒼唯はもふもふな家の出来映えや、持ち主である両親の反応などまでは気を遣えたが、それ以外の他人の反応までは気を遣えなかった。
そしてそれはぬいたちも同様であった。
「ぬいぬい!」
「まく~」
〖協会の方々も、蒼唯さんの家だろう、みたいなこと言っていましたね〗
リリスとルーシィは、探索者協会の土地に隠れていたため、そこで働く職員の話を聞くタイミングはあっただろうが、その特殊性から、他者との接触はリリスによって徹底的に排除されていたルーシィの耳にも入っているとなればその話の浸透具合は容易に想像できる。
「そんなに広まるなんてです。やっぱり皆可愛い家には注目しちゃうですね!」
【…はい】
「…まくまく」
蒼唯は探索者業界という枠を飛び越え一般人でも知らない人はいないレベルの有名人となってきていた。
しかし蒼唯にその自覚は無いため、彼女はとても無防備に日々を過ごしている。ネット上に蒼唯のおおよその住所地が載る程度には無防備に。
そんな中で住宅街に突如としてもふもふな家が、蒼唯の住所地と目される付近に出現すれば、蒼唯と関連付けない方が難しいというものである。
可愛い家だから注目されたのではない。もふもふな家が突如出現するなんて奇天烈な出来事と蒼唯を関連付けて注目されているのだ。
【幸い、蒼唯様の造った認識阻害兼人避け用のアイテムを設置しましたので、蒼唯様目当てに大人数が押し掛けてくる事は無いでしょう】
「まえーに造った、ダンジョン内での休憩用のモンスター兼人払いアイテム『
【名前は兎も角、効果は絶大ですからね】
蒼唯のアイテムの効果によって蒼唯の家を認識出来ないし近づけないようにはなっているが、突如として出現し突如として消え去ったことで注目度はより上がってしまうのであった。
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