第233話 保護者同伴

 天気を支配と言うには過言だが、どんな大雨や台風でも、蒼唯が認識できる範囲を強制的に晴れさせることが出来る『完璧な日傘てるてるいらず』。

 そんなモノを差しながら集合場所にやってきた蒼唯に対して皆は呆れ顔であった。

 尚、傘は車内でささねーですと言う一言により日傘を閉じた瞬間に土砂降りと暴風が襲ってきたため、呆れ顔はより濃くなった。


「ほらほら、見てください蒼唯さん、七海ちゃん。天気図を見比べると分かりやすいですよ。蒼唯さんが日傘さしてたときだけ台風消失バグが発生してますよ」

「沙羅…それは単純にバグってるです。台風を消し飛ばす程の範囲を晴らせられる程の効果範囲はねーです」

「あ、雨雲レーダーとかも軒並みエラー発生してるみたいですしね。流石は蒼唯さまです!」


 蒼唯の言う通り、『完璧な日傘てるてるいらず』の効果範囲的に台風を消し飛ばす程の広さはない。であるからして、突然過ぎる天気変動に気象レーダーくんたちもビックリしてしまったのだろう。

 そんな状況を作り出せる日傘というだけで凄まじいという話なため、蒼唯との付き合いが比較的短い七海などは、どのような感想を言えば良いのか分からず、取り敢えず誉める。


「あ、七海ちゃん駄目ですよー、前に輝夜さんに教わりましたけど、蒼唯さんのアイテムの誉めるタイミングを間違えると、そのアイテムを日常使いしちゃって大変なことになるって」

「それは…大変ですね」


 すると、蒼唯初心者の七海に対して蒼唯中級者の沙羅から指導が入る。


「輝夜がそんなこと言ってたです? そんな日傘を頻繁にするほど美容女子じゃねーですけど」


 お前の『日傘』は雨の日に使うだろう、と車内の皆が思ったが、皆、台風の中集合して疲れているので口に出すことはないのであった。



 『食トレ』合宿に向かう車内にリリスの姿はない。リリス的にも、神々のダンジョンと最高峰の料理人が揃い踏みな状況下で『食トレ』し放題。

 こんな何か起こることが確定している盤面を放置するのは怖すぎたのだが、『聖神』エルエルに注目されている上に、蒼唯から『聖神』印のマーカーを押し付けられているリリスが『試練の迷宮』に近づく方がギリギリ危ないという判断を下した。


「坪さん家の車、『ぬいぐるみ』の皆を入れると流石に手狭ですね」

「まあ、そうだね。こんな人数乗せることも少ないかもね」

「坪さんが希望するなら、『空間拡張』とかそこら辺付与するです?」

「うーん、この広さで十分、満足してるから大丈夫かな。それに魔改造して車検通らなくなっても困るし」

「しゃけん。確かにそう言うよく知らないモノに手を出すのは良くないですね。残念です」

「蒼唯は得意分野で頑張ればいいのよ」

「ありがとうです師匠」


 また、保護者同伴のであるため最悪な状況には陥らないだろうという打算も働いたのは言うまでも無いのである。

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