第225話 もふもふ夢
蒼唯が『もふもふ
これだけ聞くと単なるネタアイテムのように思えるが、詳しい性能を聞くとこれはこれで有用なアイテムであった。
「理想の姿に変身と言いましたが、それ以外に変化する所はありますか?」
「変化です? だから理想の自分ですよ?」
「……つまり、ステータスやスキル、その他諸々も理想の自分になれるという訳ですか?」
「そうなる夢を描ければです」
「なるほど…」
姿がもふもふ固定という奇抜さはあるが、理想の自分になれるというコンセプトは興行的に面白い。
そして、それ以上に探索者を筆頭として、様々な分野の者たちにとって垂涎の施設になると結羽は確信する。
自分の理想、つまり凄腕の剣士となった自分を夢想して楽園に入園した場合、凄腕の剣士の身体捌き、剣の扱い方などの感覚を体験できるということである。
それが儚い夢だとしても、学ぶのが難しいコツ等と呼ばれる感覚的な技術を実際に体感できるというのは、それだけで貴重である。
もふもふコスプレを死んでもやりたくない人とかでなければ是非来園したいだろう。
「やはり蒼唯ちゃんです。一生もふもふと縁がなさそうな屈強な探索者さんたちがこぞって集まる爆笑必死な園になりそうな予感がします」
「それは良かったです」
「でもそうなると色々園内の模様替えをしなきゃなりませんね。ここまで大掛かりなアイテムだとは思わず枠組みを造りすぎましたか」
「模様替えです? そんなのすぐ終わるです?」
「いやいや、蒼唯ちゃんが全力でやればそうかもしれない……あっ!」
結羽の想像ではぬいやまっくよ的な『ぬいぐるみ』 などを造ってきてくれると予想していたので、レジャー施設的なコンセプトで枠組みを設計していた。
しかし『もふもふ
今から大幅なコンセプト変更をするとなると、一から造り直すに等しい。
そのため結羽は枠組みを完成させ過ぎた事を反省していたのだが、蒼唯の言葉の意図に気付き呆気に取られる。しかし直ぐに蒼唯に問い掛ける。
「『もふもふ
「あれ、言って無かったです。『もふもふ
「なるほど……それは助かります」
そんな2人のやり取りを見ていたリリスは、蒼唯の奇想天外なアイテムに振り回されない結羽をみて、
【あ、この人はぬい様やまっくよ様と同様、アクセル寄りの人ですね】
と要注意人物としてマークするのであった。
☆☆☆☆☆
七夕が誕生日の利点は、元旦とかとトップタイで、「誕生日いつですか」って質問に対する回答の文字数が少ないくらいしか思い付かない今日この頃。
また一つ歳を…
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