第184話 似てくるモノ

 ダンジョンマスターなどのキャラについての台詞は【】で統一していたのですが、よく考えたらルーシィはアーサー(ダンジョンボス)の脱け殻を放置して、元の身体に戻ったので〖 〗にします


※分かりにくいとの指摘があったので、変更します。


☆☆☆☆☆


 蒼唯やリリスの預かり知らぬ所で、蒼唯たちを連想させるようなダンジョンが産み出された。

 ぬいとまっくよ、そして『ミラグロ』の住民たちに軒並み寄生している『のこちゃん』たちの仕業であることは、まず間違いない。

 間違いないのだが、ダンジョンを食目的以外ではあまり見ないぬいとまっくよが、ダンジョン造りに協力したのは意外に感じられた蒼唯であった。


 蒼唯が、ぬいたちを呼び出し、巷では『蒼の別荘』やら『蒼唯てんこ盛りセット』など様々な呼ばれ方をし始めているダンジョンが造られた経緯を聞くと、2匹はよくぞ聞いてくれたと言った様子であった。

 結果として、大枠は元『ミラグロ』最高司祭であり、現『のこちゃん』が造ったが、ぬいとまっくよも自身の得意分野での制作は手伝ったようであり、その理由は、蒼唯がダンジョン造りしている様子を見ていて興味が湧いていた所で、好き勝手できるダンジョンと、その手段が手に入ったためであったそうだ。


 そして興味の赴くままに力を提供したため、絶品茸と極上の睡眠の部分は自信の作であった


「ぬいぬい!」

「まく~」

「ぬいとまっくよが自信を持って改造したダンジョンってことは、この様子だけでも伝わってくるです」

【蒼唯様が自信作を造った時に、自慢したくてしょうがない様子とそっくりですね。ペットは飼い主に似るとは良く言いますが】


 飼い主とペット、それに加えてぬいたちを造り出した張本人でもある蒼唯に似るのは、当然と言えば当然である。


「ぬい?」

「まくまく」

〖 ぬいさんとまっくよさんが蒼唯さんに似て凄いって話ですよ〗

「ぬいー」

「まく~」

【私的には蒼唯様に似ていて怖いって感覚なのですが…まあルーシィ様もそのうち分かりますか】


 ぬいとまっくよを呼び出し、後始末を任せたら、不始末な案件を増やされた事について小言でも言いたいと思っていたリリスだが、ぬいたちの態度とルーシィの一言で場が和んでしまい、そんな雰囲気でも無くなったため、一緒に和むことにするのであった。


 蒼唯としては、ぬいたちの勝手を叱っていたら、好き勝手し放題の彼女自身も、お説教タイムだけで1日を過ごすことになってしまう。

 そもそも今回の目的である、『魔王』ルーシィの魂の奪還は成功しているため、そのついでに少し遊んだくらいでは、叱るまでもない。


「私は好き勝手推奨派ですから、危ないことじゃなければ、ぬいたちの好きにすれば良いとは思うです」

「ぬいぬいー」

「まくまく!」

【危ないこと? 蒼唯様の危ないのボーダーが緩すぎますよ】

〖…私やサタンさんも、リリスさんを相当振り回していた自覚あるけど、こんな、へなへなしてるリリスさん初めてだ〗

【今にして思えば、ルーシィ様もサタンも、比較的常識的だったなと。行動に脈絡があるので】

〖そうなんだ! 常識的なんて、あの頃一度も聞かなかった言葉だよ〗


 ルーシィという絶対的権能と戦闘慣れしていない思考を持つアンバランスな存在や、サタンという悪巧みばかりする問題児的な存在にいつも翻弄され気味であったリリスだが、蒼唯たちに鍛えられた今、その頃のルーシィたちの行動が常識的に感じられるのであった。


「そういえば、リリスは昔の事、あんまり話さないですから気になるです」

「ぬいぬー」

「まくま~」

【いえ、そんなに大層な話が有るわけではありませんので】

「そうなんです?」

〖そんなこと無いよ。リリスさんに助けて貰った話はたーくさんあるよ! 例えばね――〗


 そのまま、蒼唯系ダンジョンに混乱する世間を放って、昔話に花を咲かせる蒼唯たちであった。  


 

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