第175話 のこちゃん
施設や人員ごとこの世界にダンジョンとして召喚された『聖教』総本山『ミラグロ』。
そのダンジョンにやって来た3匹の『ぬいぐるみ』。
その中の一匹であるもふもふモードのリリスの手には、ハンマーのようなモノが握られていた。
ダンジョン入り口に立っていた門番役の者たちをまっくよが熟睡させ、作戦開始を阻むものはいない。
【ぬい様、まっくよ様。いきますよ?】
「
「
【では、『
そのハンマーをダンジョンの入り口に向かっておもいっきり打ち付けるリリス。それにより『ミラグロ』に張られた『神域』の性質が逆様になる。
『神域』は各種ステータス強化や状態異常無効化、常時回復等の強力なバフが味方全体に掛かる壊れ特性を持っていたがそれが全て逆様になった。今頃、自分たちを守護していた『神域』に苦しめられてることだろう。
とは言え、死毒都市を逆様にしたときとは異なり、『ミラグロ』はダンジョンである。魔力消費は激しいが、『神域』をリセットすれば問題はない。
リリスに『
【『逆様の搥』の残り使用回数は2回ですので、取り敢えず作戦通り『聖十字治療院』から狙いましょう】
「
【ぬい様も仕込みをよろしくお願いいたしますね】
「
そのため、リリスたちは、今回の作戦において一番の障害となり得る『聖十字治療院』を壊滅させるべく向かうのであった。
―――――――――――――――
向かう途中、ふらふらになりながらリリスたちの行く手を阻もうと立ち向かってきた騎士団員たちもいたが、『神域』が逆様になっている影響で、ぬいの眠りとまっくよの茸が効きやすくなってしまっている彼らでは、防ぐ術は無かったのである。
「
【やはり『神域』が反転していることで、まっくよ様の眠りが通常より凶悪になっておりますね】
「
【はい、っと『神域』が張り直されました、ねっと!】
『聖十字治療院』に到着すると、まっくよがその場にいた神官たちを順に眠らせていく。途中でダンジョン機能を使った『逆様神域』のリセットがあったが、リセットされたと同時に『逆様の搥』で『神域』を逆様に戻す。
「
そんなリリスを尻目にぬいは、茸栽培に勤しんでいた。
ダンジョンのリセット機能で生物を殺せないと言うのは、『エデンの園』でも確認したことであるため、ダンジョン攻略と茸は相性が良いのだ。
そのためリリスが『逆様の搥』で『神域』を何度も張り直させ、その間にぬいが茸である『魔力喰らい』を栽培するという、『エデンの園』を崩壊させたときよりも更に凶悪なコンボが使える訳であるが、今回はそれを採用しない。
その作戦は回数制限付きの『逆様の搥』が無くなった瞬間崩壊するためだ。
『神域』が復活すれば、元の屈強な状態に戻った騎士団たちによる壮絶なキノコ狩りが行われることになる。
更に魔力切れも敵勢力に『ミラグロ』のためなら命を懸けられる魔法使いは何人も存在しており、長期戦なら兎も角、短期で魔力切れを狙うのは現実味が無い。
「
そのため、ぬいは、ダンジョン内に『魔力喰らい』を生やさず、
そして栽培が終わる。
「
「
「
「の…こっ、はーい」
「
「わかりました!」
身体の本来の持ち主である神官たちは、まっくよにより魂から熟睡している状態にある。そのため、ぬいの命令を受けて身体を動かしているのも、神官たちに生やした『のこちゃん』たちであった。
【さて、ひとまず作戦の第一段階は完了ですね】
「
「
【ええ、今回はあの方の魂が相手ですから。ここからです。それにしても…茸、『のこちゃん』が身体を動かすとどことなく奇妙な動きになりますね】
普通の人間の動きと異なり、ノコノコと歩く神官たちを見て作戦が上手くいくか少しだけ不安になるリリスであった。
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