閑話 リリスのとある1日
『吉夢の国』のダンジョンマスターであるリリスの朝は早い。ダンジョンの核に縛られているリリスは、魔力が有る限り負の状態をリセットできる。昼夜問わずダンジョンに来る探索者がいることもあり、毎日睡眠をとるダンジョンマスターは殆どいないだろう。
リリスも睡眠を司る猫に出会う前は寝る間も惜しんでダンジョン運営に勤しんでいたものだ。
【『夢魔姫』の私が、まさか睡眠の魅力に取り憑かれるとはなー】
それが今や、蒼唯が造った可愛い睡眠セットを駆使し、稀に出張『小常闇』も頼んで睡眠に勤しむように変容していた。
蒼唯からのサポートもあり、ダンジョン運営はかなり楽になった。『吉夢の国』には戦闘を目的とした探索者は殆ど来ないためコストが掛からず、『魔力炉』と遊覧目的の一般客たちから徴収する魔力で賄えるのも大きい。
しかし真面目なリリスはダンジョン運営もしっかりとこなしていた。
【さて、仕事の時間ね。今日の仕事は…】
「
【ああ、蒼唯様が発案して、まっくよ様が監修した『
「
【蒼唯様から提供していただいたアイテムやら羊たちの衣装がなければ、本当に運搬作業を見せるだけよねあれ。特別なイベントはそれだけか。分かったわ】
予定を確認したリリスは仕事を開始するのであった。
パレードは、眠らせ担当として来ていたまっくよが、夢羊の毛皮で寝てしまっておりそれに気が付かずパレードに参加してしまうという事態が発生したが、『吉夢の国』でまっくよの目撃情報は度々あったためか、観客たちが特に騒ぐことはなく、逆にまっくよを見れた事でパレードは更に盛り上がったため、事なきを得た。
【気が付かなかった私にも落ち度がありますが、まっくよ様も羊たちと一緒になって寝ないで下さいませ】
「まくまく~」
【そうですか。気持ちの良い睡眠だったのなら幸いです】
今日、『吉夢の国』でリリスが居なければならない仕事は終わった。後は配下の夢魔や羊たちで事足りるため、リリスはまっくよと一緒に蒼唯の家に帰る。
「あ、まっくよ、リリスお帰りです。何かさっき柊さんと輝夜からまっくよがパレードにって意味分からんメッセージ来てたですよ?」
「まくまく~」
【まっくよ様が出演シープと眠ってしまいそのままパレードに出演なされたのです】
「なるほどです。確かに羊は見た目もふもふで眠りやすそうですしね」
蒼唯の家に来たら、蒼唯たちと今日の出来事について喋りつつ家事をこなすリリス。
「蒼唯様は何をなさっているのですか?」
「『着ぐるみパーカー』の最終調整です。明日雁木さんに送るですけど、さっきぬいの動きを見て『全力クマモード』を搭載するアイディアが降ってきたです」
「ぬいぬい!」
【『全力クマモード』?】
「リリスの『縫包化』にも今度搭載――」
【結構ですので、雁木様への製作に全力を尽くして下さい】
「そうです? まあ、取り敢えずこっち優先ですね」
「ぬい…」
何とか『全力もふもふモード』の搭載を先送りにする事が出来たリリス。おそらく近いうちによくわからないモードが搭載されることになるだろうが。
その後、リリスが用意した晩御飯を皆で食べ、風呂も終えたリリスたち。明日も学校の蒼唯は早めに就寝するようである。
「リリスは今日はこっちで寝るです?」
【…特に向こうの予定もありませんし、此方で寝かせていただきます】
「なら、今日はぬいとまっくよも一緒に皆で寝るです」
「ぬいぬい!」
「まく~」
【はい】
こうしてリリスのとある1日は過ぎていくのであった。
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