第151話 気付きを得る
『錬金術師』というジョブを授かって以降、見向きもしなかったダンジョン探索。これを行った事により、蒼唯のステータスは大幅に上昇した。
生産ジョブである『錬金術師』であるため、『錬金術』を扱うのに必要なステータスが主に伸びているが、それ以外のステータスも生産ジョブとしてはトップクラスの値まで成長した。これこそほぼ単独でレイド級の階層ボスを複数体倒した実績の凄まじさを表していると言える。
新たな事に挑戦した者には気付きが与えられる。蒼唯も別人格とは言えダンジョン探索を行った事により気付きを得た。
「ダンジョン探索に1ミリも興味が無かったですからこれまでやってなかったですけど、やってみることも大切ですね」
【そ、そうですか?】
「食わず嫌いは良くないです、お陰で学びを得たです。やっぱり私にはダンジョン探索は必要ねーです」
【そうで――はい? なぜそのような結論に?】
一瞬、今回の件でダンジョン探索の有用性を認め、ダンジョン探索に興味を持ってしまったと警戒していたリリスは、肩透かしを食らう
「『錬金術』がどんなに上手に使えるようになった所で、可愛いを探求する事にあんまり寄与しないですし」
「そ、そうですか」
『錬金術』か向上することで得られるのは性能の上昇である。性能の上昇は、蒼唯が求める可愛いに結び付かない。
こっちの蒼唯ともダンジョン探索に行きたい感満載のぬいはアピールする。
「ぬいぬ? ぬいぬい!」
「新しいことをするのは大切だとは思うですよ? 今回のダンジョン探索でも色々インスピレーションは受けたです。でもそのために興味の無いダンジョン探索は大丈夫です」
【なるほど】
「普通に『錬金術』使ってたり、裁縫してたりする方が楽しいですし」
「ぬい…」
「まくまく~」
アピール失敗で落ち込むぬいを慰めるまっくよ。
蒼唯にとって可愛いモノ製作や『錬金術』は趣味活であり、ダンジョン探索はそれらのトレーニングである。
趣味を極めるため、それらの練習をするのは楽しいが、それを行うための基礎トレーニングはやりたくない。スポーツが趣味の人がスポーツの練習はしても筋トレや体力錬成はしたくないのに似ている。
もっと言えば蒼唯の趣味活ランキング的に可愛いモノ製作が圧倒的1位で『錬金術』は2位だ。
「ダンジョン探索行くと、私の造るモノがどんどん可愛くなってくとかだったら考えるですけど。いやそれはそれで気持ち悪いですね」
「ぬいぬい!」
「まく~」
「無条件に行かないって思ってたですけど、明確な理由があって行かないって言える気付きを得たですから、まあ良しとするです」
【蒼唯様が得た気付きと、今回の件で起こった影響が釣り合って無いですよね…】
世界最高峰の探索者たちでも出来ないような偉業を成し遂げて得た気付きで、可愛いモノ造りに関係ないからもうやらないと言う結論が導きだされたと知れば、全探索者たちが咽び泣く事であろう。
「でも、ぬいとまっくよが本気で戦ってるのを見れたのは楽しかったですね。折角ですし『
「ぬいい?」
「まく~」
そんな事蒼唯の知ったことでは無いのだが。
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