第118話 神淵を覗く
ぬいたちの『
【さて、これで蒼唯様に国際探索者協会が何かを要求する事はほぼ出来なくなりましたし、ついでに協会内に種も蒔けました。上出来ですね】
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【ええ、今回の会議に出席した者たちはそこそこの役職の方々ですし
そして保険も掛けておいたため、今回の会議はリリスのお陰で大成功と言える。
【さてと、それでは向かいましょうか】
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会議は終了した。しかし蒼唯からの頼まれ事は、国際探索者協会との交渉だけではなかった。
無職救済サービスを初め、申し込みのあった無職騒動の被害者たちから『無職』を取り除く事は出来たが。しかし蒼唯がジョブの操作が出きることが知られたため、『無職』ではない者の転職依頼が殺到したのだ。そんな依頼を受けるつもりは毛頭ない蒼唯は無視しているが、現段階で蒼唯に頼む以外に転職出来ないため、相当数の依頼が『ブルーアルケミスト』に届いているらしい。
そのため『転職の神殿』を攻略し『転職の間』を解放出来れば、そんな無駄な行いも減るだろうと考えたのであった。
【これが正攻法の攻略であれば、交渉でもっと搾り取れたのですが、まあダンジョンマスターを引きずり出す攻略を大っぴらにする訳にはいきませんからね】
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また『転職の神殿』の一連の騒動の全てが裏目にでた後になって、攻略しますと言えば国際探索者協会が落ちるのを見計らったように思われるため、交渉では攻略予定である事は明かさなかったのであった。
―――――――――――――――
『転職の神殿』はこれまでの方法ではダンジョンマスターを引きずり出せない。それは『神罰』により『無職』を付与させられれば、強制的にダンジョン外に送られ、再入場不可となるためである。
前のように茸の胞子をばら撒き、一斉に生やすことや、ミッション空間ごと食い荒らすなんてことをすれば、その瞬間『無職』が付与されダンジョン外に送られる事だろう。
【では私はここで待機していますのでぬい様とまっくよ様は打ち合わせ通りによろしくお願いいたします】
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そのため、今回はその仕様を逆に狙っていく作戦を予め立てており、その作戦に必要な蒼唯作のアイテムはぬいの首輪に付けられていた。
『転職の神殿』に入場したぬいとまっくよ。彼らは迷うことなく、最後に残された試練、生産系ジョブ限定のミッション空間に侵入する。まだジョブを授かっていないぬいたちだからこそ、ジョブ制限を受けずに侵入する事が出来る。
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ミッション空間では情報通り挑戦者の上位コピーが現れる。真っ正面から戦えば負ける可能性も高い。しかしここは生産系ジョブ用のミッション空間なためか、コピーたちは戦闘行動を取らない。
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そのため、先の『無職騒動』の際同様、コピーは録に抵抗も出来ず消滅するのであった。しかしこれも前と同様、コピーは消滅してもミッション空間は消滅しないのであった。
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そのため脱出の方法を探ろうとしていると、その不穏な会話を察知したかのように、ダンジョンマスターと思われる者の声が何処からか聞こえてくる。
【転職神様の試練を愚弄する愚か者たちよ。しかも貴様らはジョブすら持たずにこの試練に参加しておる。貴様らには『神罰』が下る。二度とこの場所に立ち寄るな!】
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ダンジョンマスターが下す『神罰』によってぬいとまっくよに『無職』が付与される。そしてその瞬間を待っていたかのように、ぬいが身に付けていたアイテムが光出す。
蒼唯が今回の作戦用に造ったアイテムの名前は『
そしてここで問題である。ダンジョンのルールとして『無職』の者はダンジョンから強制的に退出させられる。それはダンジョンマスターにも適用されるか否か。
答えは勿論、適用される。
【な、『夢魔姫』リリス! 貴様が何故ここに?】
【あら? 私の事を知ってるってことは前の世界で会ったことあるのかしら? ごめんなさいね覚えていないわ。それで『無職』になった気分はどうかしら?】
【『無職』? …な、なぜ】
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【ぬい様とまっくよ様への『神罰』が貴方にも跳ね返ったってことよ。御愁傷様。貴方の失敗は…『無職』の性能が蒼唯様好みだったことね。…本当に御愁傷様】
リリスは名前の知らないダンジョンマスターに同情するのであった。
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