第91話 変幻自在
新たなスキルを試運転するため、ぬいとじゃれ合うまっくよ。
「ぬいぬい!」
「まく~」
これまで身体能力に差があったため、ぬいの全力を受け止められなかったまっくよだが、身体を『
ぬいもその一撃で『幻想金属』の硬度を把握したため、それすら破壊する勢いで犬パンチを繰り出す。しかしぬいのパンチがまっくよの身体を捉えることはなく、まっくよの身体は幻の様に霧散した。
「ぬい! ぬいー」
「ま~く」
最初はいつものじゃれ合いだったのにどんどんヒートアップしていってしまう。そんな2匹を蒼唯は制止する。
「大体『変幻自在』で出来ることも分かったですね。そろそろ何か壊れそうなのでストップです」
「ぬーい」
「まく」
『|幻想金属』を食べたまっくよは、もっと『幻想金属』を食べたいと願った。ぬいが茸を皆にも食べさせたいと願い『茸師』を習得した時と状況は似ていたが、茸を支配する能力と『幻想金属』を生み出す能力であればハッキリ言って差がありすぎた。
その結果、『幻想金属』に付与されている『変幻自在』のスキルを、そのまま習得してしまったのだ。ぬいとより一層じゃれ合えるようになったことは嬉しいが、願ったスキルでは無いため残念そうである。
「まく~」
「やっぱり得られるスキルにも上限があるですね。...まっくよより沢山食べてて『食トレ』が育っているぬいなら可能性はあるです?」
「ぬいー、ぬいぬい!」
「まあ『夢幻喰い』が無いぬいにとって『幻想金属』はただの硬い物体ですもんね。どっちかと言えばぬいの方が『変幻自在』欲しかったかもですね」
まっくよが得た『変幻自在』は自身の身体を自由自在に変化させられるスキルである。
『幻想金属』レベルで固くすることも、『ぬいぐるみ』以上に柔らかくすることも可能である。
ただ1つだけ制限が存在し、使用者がしっかりと理解しているモノにしか変化できないということである。まっくよの場合は実際に食したモノにだけ変化することが出来るようであった。
とは言えまっくよが使えば破格の性能であるので、リリスも呆れ気味であった。
【その制限をもってしても、物理的に最硬の『幻想金属』や物理に捕らわれない夢や幻に変化できるんですよね】
「身体を夢や幻に変えるって感覚がよく分からんですね。というか『幻想金属』に付与されてた『変幻自在』も同じように何にでも変化するですかね?」
【『幻想金属』に付与されている『変幻自在』は少し柔らかくするだけで複数人で魔力供給する必要があるほど燃費の悪い代物です。そのため研究が全く進んでいません】
「そうですか」
【まっくよ様の自在っぷりを見れば、それこそ伝説となっている『
「そんなのがいるんですね。まっくよが見たら涎を垂らしそうですね」
柊の話では人気ダンジョンのボスドロップのため、これから採取され出すであろうとの事であったが、まっくよがお菓子として食べたいのであれば到底足りない。
「結局はまっくよたちに自分でドロップさせるのが手っ取り早いですかね。でもレアドロップって話ですよね」
【そのようですね。しかし蒼唯様なら運を操るアイテムの製造など容易いのでは?】
「私を何だと思ってるですか。まあ確かに『幸運』付きのお守りとかそれなりに造ってるですけど運とかは中々難しいですよ。それになーです」
【何か問題でも?】
「幸運の象徴って言えば黒猫なんですよね。それなのに更に幸運アイテムをまっくよに持たせるのって邪道じゃないです?」
【そう、ですか? ならぬい様にお渡しすればよろしいのでは?】
「確かにです!」
ということでぬいの首輪に『絶対幸運』が付与された黒猫型のお守りが付けられることとなった。
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