第57話 依頼外
結論としてまっくよの活躍により、『夢牢』は解除されている事が分かった。ただこの場にまっくよと意志疎通できる者がいないため、どうやって『夢牢』が解除されたかは分からなかった。
『夢牢』から解放された者たちの証言で『悪夢の国』の構造が分かってきた。『悪夢の国』はテーマダンジョンと呼ばれる種類のダンジョンであった。ダンジョン側が設定したミッションをクリアする事で、先に進めるタイプのダンジョン。ミッションをクリアできなければ何かしらのデメリットを課される場合が多いが、今回のデメリットは『夢牢』だったのだろう。
[テーマダンジョンは確かに難易度が跳ね上がる傾向にあるが、世界中から集まった探索者が1人も突破できない難易度なのか?]
[初見殺しなミッションが多かったようで、クリアするのに多くの犠牲者を出したとか。さらに『悪夢の国』では『
[なぜだ?]
[何でも、夢を操れる能力を持ったモンスターは、『悪夢の国』では文字通り何でもできる可能性を秘めているそうです]
他のダンジョンで出てくる『夢の羊』はただぼんやりしている羊でしかない。研究の結果夢を見ていると分かったが、それだけであった。しかしダンジョンが変わっただけでこうも脅威度が跳ね上がるとは想像できないだろう。
取り敢えず『夢牢』を解除する方法が存在する事が分かった。しかし方法が分からない。まっくよたちを他の『夢牢』患者の元に連れていけば良いのだが、2匹への依頼は本来、夢遊病状態となった『夢牢』患者を眠らせること。『夢牢』の解除は依頼外である。
非常事態どあるしそんなこと言ってられないと思う。現にまっくよはやる気に満ちている様に感じる。しかし、まっくよたちは蒼唯の持ち物という認識である。主人の許可なく勝手に別の依頼に使う訳にはいかない。
[取り敢えず確認だ確認!]
[Mr.来馬に連絡をとれ!]
そのため、即座に蒼唯への連絡をする運びとなった。自由意思を尊重する蒼唯は、まっくよのやる気に満ち溢れた目を見て許可を出すのだった。
―――――――――――――――
まっくよ渾身の『小常闇』を受け、深く黒い眠りに落ちる『夢牢』患者たち。『魔力炉』がなければこの大人数を眠らせて回るのは難しかっただろう。
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最後の『小常闇』も終了した。少し経てば夢から解放された探索者たちが起き始めるだろう。
まっくよたちが連れてこられたのは、『悪夢の国』の直ぐ側に仮設された臨時の病棟であった。まっくよたちに与えられた休憩スペースからも『悪夢の国』が見えるほど近い。
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そんな会話をしていると、そこら中から歓声が上がる。『夢牢』から解放された者たちが現れ始めたのだ。病棟のスタッフや対策本部のスタッフたちが慌てながら対応を始める。
誰もが『夢牢』から解放された者たちに注目していた。そのため、いつの間にか休憩スペースから、まっくよたちが居なくなったことに気が付く者はいないのだった。
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