第13話 掲示板3

『黄昏』がレイド失敗した件について


1

『黄昏』がレイド失敗ってもう無理じゃね?


2

しかも特攻隊長の健次が死亡したって報道出てるし、暫くは建て直しも難しいだろ


3

『終末帝』ってそんなヤバいの?

『黄昏』って世界でもかなりトップクラスのギルドって話じゃなかった?


4

そうだぞ

実際、『終末帝』は75層の階層ボスとして出てきて良いレベルのボスじゃなだろ


5

配信見てたけど『不死者召還』とかで一人軍隊やりつつ、後衛で『即死魔法』ぶっぱしてくるの無理ゲーすぎ


6

てか配信、アーカイブで見られなくなってるな


7

『黄昏』ってプライド高そうだし、負けた配信なんて残さんだろ


8

普通にメンバー死んでるのに配信残す方がどうかしてるだろ


9

まあそうだな


10

でも後続のためにも残しておいて欲しいけどな


11

まあ大手ギルドは『黄昏』のレイド配信なんて視聴してるだろうし


12

そんなことより、75層の攻略が滞るって結構ヤバくない? 


13

ダンジョン大国って呼ばれてる国は、それぞれ攻略階層伸ばしてるからな...


14

別に一回、レイドに失敗とかはそこまでだけどこれで『黄昏』が『終末帝』レイドに消極的に成らざるを得ないのが厳しい


15

これは他のギルドが『終末帝』攻略するしか無いな


16

階層ボスは一度倒すと、いちいち倒さなくても下行けるようになるからな

どっかが倒しちゃえばなぁー


17

どっかってどこだよ

『黄昏』が無理だったんだからそれこそギルド連合とかじゃないと無理だろ


18

ギルド連合って何度か結成されてたけど、配置で揉めて、戦利品で揉めてって感じですまともに機能したことなくね?


19

利益度外視で『終末帝』討伐やるほど切羽詰まってないだろうしな


20

じゃあやっぱり『黄昏』が建て直すまでこのままかな?


―――――――――――――――


 『黄昏』のレイド配信で彼らの敗走を見届けた『流星』ギルドマスターの星蘭は、既に動き出していた。


星蘭:「柊、『終末帝』レイドに必要な物資は仕入れてあるわよね?」


柊:「あの配信見て用意しとかない商人はいないぜ、ただなぁー」


星蘭:「分かってるわよ。うちじゃ力不足だって言いたいんでしょ?」


柊:「それ以前の問題だぜ。『黄昏』の対策は既存の対策方法では最高峰だった。特に『即死耐性』は今のところ、あれ以上の品はない」


星蘭:「やっぱり」


柊:「あそこら辺をちゃんと対策しなきゃ死にに行くようなもんだぜ」


 『黄昏』は準備を怠らなかった。それでも失敗したのは想定以上に『終末帝』の『即死魔法』が強力だったためだ。


星蘭:「分かってるわ。でもここで躊躇しているようじゃ『黄昏』は越えられないわ」


柊:「危険だぜ? お前もギルドのメンバーも」


星蘭:「それでもやるの。探索者なんだから」


柊:「なら尚更、対策は必須だぜ」


 星蘭の決意を確認した柊は、対策を考える。しかし現状『黄昏』が揃えた装備や物資以上のモノを与えることは難しい。

 敢えて言うならば『流星』の幹部メンバーに与えられている『地獄龍』装備が持つ『呪い耐性』であれば『即死魔法』に少しは効果があるだろうと言う点であるが、それだけでは心許ない。

 星蘭と柊は既存の方法では難しいという結論に至る。


柊:「やっぱりアオっちに頼む以外に方法はないと思うぜ」


星蘭:「そう...なのよね」


柊:「どうした? 今さらアオっちに頼むのが忍びなくなったか?」


星蘭:「そんなんじゃなくて、前にアオ言ってたのよ」


柊:「なんて?」


星蘭:「『耐性』って何度考えても不合理ですって」


柊:「...えっ?」


星蘭:「大丈夫なのかしら『即死耐性』」


 その問いに柊は自信を持って答えられなかった。しかし選択肢は他にはない。結局、2人は蒼唯のところに話を持っていくことにするのだった。

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