第2話 1年生 4月 学校編1

月日は流れ 4月


午前7時半


家を出て、俺は目的の場所へと向かっていた。


その道筋は、この先3年間毎日使うであろう通学路だ。しばらく歩くと、商店街へと入り、見慣れた喫茶店の前にいたのは幼馴染の楓だった。


「おはよ、優夜」


「おーす」


いつも通りの挨拶をし、楓と合流した。


「今日も手伝いか?」


「そんなところ。手伝わないとソワソワするんだよ。」


この喫茶店は、楓の両親が営んでいる『アレグリア』。


地元の客だけでなく、たくさんの人が利用する。俺にとっても昔からお世話になっている場所だ。すると、扉が開き中から楓の両親が出てきた。


「優くん、おはよう。早起きして偉いねぇ。」


「おはようございます。由梨さん、直樹さん」


「おお、制服にあってるじゃないか。」


2人は昔から俺を褒めてくれて、可愛がってくれる。そして、とても仲が良く商店街ではラブラブ夫婦として有名である。


「今日はいよいよ入学式ね。私たちも行くからね!」


「ちゃんと写真取ってやるからな!」


「高校生になるのに恥ずかしいっすよ。」


「こうなったら止められないから素直に諦めた方がいいよ。」


恥ずかしがる俺に笑いながら楓がいう。


時間が迫っていることに気づき学校に向かって歩き始めた。


ある場所とは学校だ。

今日から俺たちは高校生になるのだ。


商店街を抜けて、しばらくすると駅近くに着いた。


同じ制服を着ている人もいれば別の学校の制服を着ている学生が目に入る。


「初めて通るわけじゃないのに、なんかいつもと違って見えるな。」


「そうだね。でも楽しみでしょ。」


いつもと違って見える景色を楽しみながら俺たちは学校へと向かった。


近くまで来ると新入生を歓迎するかのように桜の花がシャワーのように舞う。


俺たちは心を踊らせながら校門を抜けた。

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