完璧な俺の人生物語

しょう

第1話

中学3年生の夏 あるスポーツにおいてその男たちの名は全国に轟かせた。


『リバウンドをとって一人、、二人抜いたぁ!』


コートを颯爽と駆け抜ける背番号5番をつけた黒髪の男に会場は注目する。


実況にも熱が入る。


『決死のディフェンス!スティールを狙う!』


伸ばされた手はボールに触れようと近づいてくる。


しかし、黒髪の男は焦ることなくただ笑っている。


後ろから走ってくる奇麗な金髪の色をした背番号4番をつけた男に向けてノールックでビハインドパスを出す。


まるで最初から走ってくることが分かっていたかのように。


『ここでパス!しかもノールック!これで3人を躱した!』


残るはセーフティで下がっていたディフェンス2枚。


一人が向かってくるがあざ笑うかのようにロールで躱す。


「速すぎだし、上手すぎだろ!」

「これで4人!最後はどうやってフィニッシュする!?」


会場にいる人たちすべてがそのプレイに注目する。


会場のボルテージがその日最大を迎える。


そしてフリースローラインから左側後ろからストップし、シュート体制に入る。


「くそっ!!」


最後の1人が意地を見せてブロックを試みる。


タイミングは完璧。完全なブロック。


それにビビったのか4番の男はボールを空中へと放り投げる。


会場の誰しもがミスだと思った。





2人の男を除いて。


走りこんできた5番の男がリングに向かって飛ぶ。


パスをした4番の男は静かに微笑み、


「ナイスパス」


と5番の男は白い歯を見せながら笑顔でボールをリングへと叩き込んだ。




おおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!


会場は一瞬の静寂からすぐに大歓声へと変わった。


『なんと!ミスショットだと思われたボールはまさかのアリウープへと

繋がるアシストだった!!そしてそこに走りこみ、リングへと叩き込む跳躍力!!』


『2人の選手は顔を一度も合わせずフィニッシュまでもっていきました!!』


会場の興奮は冷めず、大盛り上がり。


そして、試合終了のブザーが鳴り響いた。


『ここで試合終了!優勝は喜松中学校!初の中体連3連覇達成!』


整列し、相手校の選手、監督、保護者にあいさつをし自陣のベンチへとやってくる。


「「「ありがとうございました!」」」


応援してくれた友達、保護者にあいさつをしチームメイトと勝利を分かち合う。


みんなが騒いでいる中で2人は少し離れたところでハンドシェイクをする。


かっこつけかもしれないがそれは2人にとって互いを称えあう一瞬の動作である。


2人は見つめあい笑いあう。チームメイトが集まりより一層賑やかになる。


会場も優勝を祝福するように大きな拍手や声援がとんでくる。



「やっぱりあの2人すごいな」

「しかも、2人ともちょーイケメン!」


会場にいる人たちが2人に注目する。


「高い身体能力を持ち合わせ、得点を量産する5番 黒瀬 優夜(くろせ ゆうや)そして、冷静で正確無なスリーポイントを放つ4番 清嵐 楓(せいら かえで)」

「最強コンビだよ、あの2人は」


優勝セレモニーが行われ、賞状をもらう。


そして、個人賞の発表が終わり、その大会のMVPが発表される。


今大会のMVPは





黒瀬 優夜



会場から大きな拍手をうけ、前に出る。


賞状を受け取り、チームメイトから祝福される。


楓は悔しそうにするも笑顔で迎える。


「おめでとう、僕は1つ。君は2つだね」


優夜は少しだけ驚きながらも頷く。


「ああ。これで2回目だ。ま、選ばれて当然かな」


「今大会のアシストとスリーポイントは僕の方が上だったけど?」


「俺の方が点とってるし、リバウンドも取ってますけどー」


「あれ?ディフェンスの貢献度は僕のほうが上だけど」


「こっちは試合の流れを作ってるし、間接的なアシストがおおいだけですー」


どちらが優れていたのかお互いの目立ったポイントを挙げ、言い争う。


「また始まったな。」


「いつものことだろ。ほっとこうぜ。」


チームメイトは呆れつつも、笑いながらその議論の様子を楽しんでいる。


「よし。こうなったら帰って試合を振り返ろう。」


「分かった。それでも決着がつかなかったら?」


「そんときはいつも通り」


       「「1 on 1だろ・だね」」


同時に放った言葉に笑いあう。



これは最高の友達とともに自分のやりたいことで楽しく生きていく

俺、黒瀬優夜の物語である。

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